閉会
「やっぱり、あんたも感じてたのね」
闇野に、先ほど魔力の反応を感じたことを伝えると……闇野は、腕を組みつつやはり、とうなずいた。
人間だし元とはいえ、勇者であった闇野にも感じることはできたようだ。
「で、それを私に伝えて、どうしたいわけ?」
「いや、どうって……別に……」
どうしたいもこうしたいも、理由などない。
ただ、元勇者様的には、どう思っているのか聞いてみただけだ。
闇野は軽くため息を漏らし、正面を見据えたまま言う。
「魔力を悪用して、この世界の人たちに危害を加えるつもりなら、容赦はしない」
「先ほどのは悪用ではないのか?」
「……あんなしょうもない魔力の使用法、初めて見たわよ」
「俺もだ」
まさか身体強化して、リレーに勝つためだけに魔力を使うとは。
まさかまさか、とは思ったが……魔力が使われたことに、間違いはない。
闇野の言うように、あんな魔力の使い方は見たことがない。
「私はもう勇者じゃないんだし。積極的にどうこうしようとは思わないわよ」
「そうか」
思いの外ドライなんだな。勇者であったころならともかく、今はその必要もない、ということか。
それに、今のところ実害があるわけでもない。
……まあ、リレーに勝つためだけに魔力を使うようなやつだ。
警戒するに越しておくことはない、か。
謎の魔力の気配、誰が使ったものかはわからないが……この学校内に、魔力を使う者が、つまり転生者がいる。
それは、肝に銘じていたほうが、いいかもしれないな。
「ま、そういうことだから」
「はいはい、わざわざどーも」
とりあえず、情報共有はした。この場で他にできることは、ない。
俺はその場を、離れた。
その後も、体育祭の熱狂は冷めやらぬまま、種目は進んでいく。
中学の時とはまた違った熱狂があったが、こういうのも悪くはない。
盛り上がる会場……それも、時間の経過とともに激しくなっていく。
そして……
『これにて、体育祭を終了します!』
長かったようで短かった体育祭が、閉会を迎える。
結果は、赤組の勝利だ。
今回の体育祭で、意図せず鍵沼と小鳥遊が顔合わせしたり、あいが借り物競争で鍵沼を連れて行ったり、なんだかんだなぐも先輩もがんばっていたり……
結構、充実していた。
それに、魔力持ちの存在も明らかになった。
積極的に調べようとは思わないが、やはり気になるな。
「いやー、楽しかったなー!
まだ動き足りないけど!」
「体力バカ……」
満足そうな者、悔しそうな者、様々いるが、みんな余韻に浸っているようだ。
ともあれ、体育祭は終了した。
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