表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王、体育祭を謳歌する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/114

無自覚バカ



 昼休憩の時間が終わり、午後の部が始まる。

 あまり腹を膨れさせては今後の種目に支障が出る。かといって、腹にものを溜めなければいざという時に動けない。


 その辺りのバランスを考えてくれていた、見事な弁当だった。


「さて、次は……」


 午後の部が始まるにあたり、応援団がそれぞれのチームを応援している。

 その間の時間を使い、今一度プログラムを確認する。


 すると、次に書かれてあった種目は……部活対抗リレーの文字だった。


「おぉ、ついにか」


「はー、この時が来たねー」


 横から、ひょこっと顔を覗かせるあい。

 次の種目を見て、考えていることは多分俺と同じだろう。


 ……なぐも先輩が、いやだいやだと駄々をこねるのが、目に浮かぶ。


「真尾、悪いが次……勝たせてもらうぜ」


「おぉ、がんばれー」


「他人事!?」


 むかつくウインクをする鍵沼に、エールを送っておく。

 当然だが、陸上部の鍵沼も、部活対抗リレーに出場する。


 人数がぎりぎりの写真部とは違い、それなりに人数がいる中で、一年生の鍵沼が出場することになっているとは……

 陸上部の中でも、期待されているのだろう。



『俺、期待のエースだから!』



 以前そんなことを言っていたが、まんざら嘘でもないらしい。

 まあ、その時の顔がむかついたので、軽く頭を叩いてやったわけだが。


「なんだよノリ悪いな!

 もっとこう……あれよ、あれ!」


「陸上部相手に勝てると自信満々には言えん」


 こっちは写真部で、向こうは陸上部。

 いかにこちらには、俺を除けばあいと小鳥遊がいるとはいえ、走ることが部活動である陸上部に勝てるとは、思っていない。


 ……ま、ハナから諦めるのは俺らしくないし、やるからには勝ちを狙いに行くが。


「それで、なぐも先輩は……」


「あ、いました!」


 出場選手の集合場所、そこでなぐも先輩を探して……さなが、見つけた。

 さなが指さした場所には、いた……


 うずくまり、どんよりと暗い空気を出している生徒が。


「あれは……先輩だろうね」


「間違いないな」


 顔を確認するまでもない、あれはなぐも先輩で間違いない。

 これから部活対抗リレーに出ようって人間が、ああも暗い空気を出すわけがない。


 周囲では、話しかけていいのか迷っているのか、みな見て見ぬふりだ。

 やれやれ、仕方ない。


「なぐも先輩」


「こ、光矢ぐん……」


「うわ……」


 彼女の肩を叩いたことで、なぐも先輩は振り向く………

 その顔は、鼻水を垂らしていた。


 美人が台無しだ……いや、ホントに。


「せ、先輩……あの、ティッシュです」


「ありがと……」


 貰ったティッシュで、ズビッと鼻をかむ。

 泣いてまではいないようだが、大丈夫かこの人。


 その場に遅れて小鳥遊も合流し、出場人数が揃う。


「う、吐きそう……」


「こ、こらえてください先輩!」


 なぐも先輩の背中を、擦り励ましているさな。

 あぁ、優しいな。


「あの……あいちゃん、さっきは、なんのお題で鍵沼さんを、連れて行ったの?」


「へ? いや、別に……たいしたことじゃ、ないわよ!」


 あっちでは、小鳥遊が先ほどの借り物競走の件を、やんわりとあいから聞きだそうとしている。

 しかしやはりあいは、誤魔化すばかり。


「……大丈夫かこれは」


 期待できる二人には、どちらも多かれ少なかれ鍵沼への邪念がある。

 正直期待できない二人は、すでに一人がダウン寸前だ。


 その上……


「いやー、楽しみだな真尾!」


「楽しみじゃない、自分の部活へ帰れ」


「なんだよつめてーよー」


 なぜか鍵沼が、俺の近くにいる。

 その存在を認めた小鳥遊が、さりげなくあいの影に隠れようとするが……


「お、その子が新しく入ったっていう、新入部員?」


「ひゃ!」


 突然、鍵沼は小鳥遊に意識を向けた。

 ああもう、普段バカの癖になんでこういうときは鋭いんだ。


 隠れた小鳥遊を、放っておいてくれればいいものを。


「あ、さっきリレーで走ってた美人さんじゃん!」


「びっ……」


「いやぁ、速かったよ! 俺びっくりしちゃって!」


 やめろバカ! それ以上小鳥遊を刺激するな!


 鍵沼はすぐに小鳥遊の側へと駆け寄り、人懐こい笑顔で対応する。

 小鳥遊は、対面早々美人なんて言われてしまい、沸騰しそうなほどに顔が赤い。


「ちょっと、さらさちゃん怖がってるでしょ」


「えー、んなことないでしょーよ」


 小鳥遊の気持ちは知らないが、怖がっていると解釈したあいが鍵沼を、引き離そうとする。

 しっしっ、と手で払う仕草に、鍵沼は口を尖らせる。


 ナイスだ、あい。あのままでは、小鳥遊がどうなっていたかわからない。


「おーい鍵沼、そろそろこっち並べ!」


「あ、はーい!

 んじゃさらさちゃん、またな!」


「!!?」


 じゃーな真尾、と、陸上部の先輩らしき男に呼ばれた鍵沼は、この場を去っていく。

 最後に、とんでもない爆弾を落として。


「さ、さら、さらささ……」


 あいつ……よりによって、小鳥遊を名前で呼んで、行きやがった。

 そりゃ、名字は知らないだろうとはいえ、だ。


 小鳥遊のやつ、もう見ていられないほどに真っ赤だ。

 好きな人に名前で呼ばれる……それだけの行為に、そこまで赤くなる要因があるかとも思う。

 だが、これを自分のことに当てはめてみよう。


 もし、さなに名前を呼ばれたとしたら……


『真尾くん!』


「…………」


 あぁ、ダメだ。想像だけで、なんかダメだ。

 事前に覚悟してこの破壊力だ、いきなりだった小鳥遊にはどれほどの破壊力だったか。

 あぁ、あの無自覚バカ……!


「さ、さらさちゃん!?

 どうしたの、顔真っ赤だよ大丈夫!?

 熱中症じゃないよね!?」


「らら、らいじょうび……」


「うぇえ、出たくないよー」


「よ、よしよし……」


「……」


 本当に、本当に大丈夫なのか、これ……

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ