進んでいく種目
始まった騎馬戦。
複数の騎馬が、それぞれ相手チームと組み合い、鉢巻を奪う姿は圧巻だった。
その中で、我らが写真部部長であるなぐも先輩を騎手とする騎馬はというと……
「あぁああああ……!」
……まるでそう言っているかのような表情で、戦場を右へ左へと走り回っていた。
あんなに意味なく走り回っては、騎馬はもちろん騎手の体力も消耗するだろうに。
だが、動き回っているおかげで、相手チームから狙われにくくはなっている。
代わりに、先輩が相手チームの鉢巻を取ることも、なくなっているが。
そうしている間にも、事態は動いていく。
騎馬戦では、相手チームを全滅させるか、あるいは時間制限が来れば終了となる。
「なぐも先輩、生き残ってはいるが……」
「えぇ、鉢巻全然取れてませんね」
「物騒だなぁ」
激しくぶつかり合う体と体、巻き起こる土煙、うるさいくらいの歓声……
それは、まるで戦のようにも感じられた。
なんとなく、体の中が熱くなっていく感覚がある。ずんずんと、体の中にまで地響きが鳴り響くような。
今でも目を閉じれば、鮮明に思い出す。
そう、魔王だったころもあんな風に……
「あ、終わったみたいです」
「お」
ちょうどそのタイミングで、騎馬戦終了の合図。
残っている騎馬は、片手で足りるほどだ。
その中には、なぐも先輩のいる騎馬も残っている。
戦果は、残念ながらないが。
結果としては、相手チームの生き残り数が多い。
奪い取った鉢巻、生き残ったチーム、共に白チームの勝ちだ。
「負けちゃったねぇ」
「でも先輩、頑張ってたよ」
「逃げてばっかだったような……」
その後も種目は、進んでいく。
そして、午前の部が終わるひとつ前の種目……
「あれ、あいは?」
「あいちゃんは、次の種目に出るんですよ」
「ほぅ」
プログラムを、確認する。
次の種目は……
「借り物競走、か」
借り物競走……確か、大まかにはリレーと同じだ。
だが、ある程度走ったところでお題となるものを誰かから借り、それを持ってゴールしなければいけないというものだ。
ある意味、運要素も関与するものだ。
すぐに手に入るものならばいいが……
「というか、あいは走ってばかりだな」
「走るの、好きですから」
先ほどのリレーに、午後からは部活対抗リレーもあるのだ。
走るのが好きとはいっても、これはよっぽど、だな。
これは、走るのが遅くても大したハンデにはならない。
だからか、出場するのは足の速さに自信のない者も、多い。
さて、あいは……いた。
「気合い入ってる顔だな」
「ですね。楽しそう」
メンバーは、それぞれ並び……今、競技がスタートした。
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