表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王、体育祭を謳歌する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/114

ライバル視



 次の競技はリレー。

 出場するのは、鍵沼にあい、そして他男女二名ずつ。


 また、別のクラスではあるが……小鳥遊も、出場している。


「あいと小鳥遊は、同じ第五走者か……」


 同じチームであるため、別に競う必要はない。

 ただ、なんだろうか……小鳥遊から感じる、あいに対する敵意のようなものは。


「さすがに会話は聞こえないか……」


 ここはテントの中、あいたちがいるのはグラウンド。

 おまけに、周囲の賑やかな声、音にかき消され、彼女らがなにを話しているかなんて、わかるはずもない。


 ただ、同じ部活の仲間でもある。

 あいが鍵沼と幼馴染である、という情報は、小鳥遊も知ってはいるが……


「目の前で仲良くしている姿を見て、思うところがないわけではない、か……」


「え、なんです?」


「いや、なんでもない……

 ほら、始めるぞ」


 おそらく、現状のままであれば、あいと小鳥遊が気まずくなることはないだろう。

 あいは、小鳥遊が鍵沼に想いを寄せていることを知らない。それに、あいと鍵沼の間に恋愛感情はない。

 この二つが両立しているからこそ、良関係を築けている……



 パンッ



 空砲が鳴り、リレーのスタートである合図となる。

 直後、第一走者たちは走り出す。


 さすがに、リレーに立候補あるいは推薦されるだけあって、皆速い。

 あっという間に、第二走者、第三走者へと、バトンが渡っていく。


 その度、周囲の熱気は上がっていく。

 自分のクラス、チーム、もしくは個人的に応援したい人……各々が、声を張り上げ、応援する。

 それは、さなも同じだ。


 普段はあまり声を上げないさなだが、この時ばかりは、会場の雰囲気に呑まれてか、普段とは違った姿を見せていた。


「あ、あいちゃん! いけー!」


 舞台は、第四走者から第五走者にバトンが渡るところだ。

 ウチのクラスは、現在三番目……小鳥遊のクラスは、まだ第四走者が走っている。


「頼んだ!」


「任せて!」


 第四走者の男子からバトンを渡されたあいは、声が聞こえずとも頼もしい顔で、うなずいていた。

 そして、バトンを受け取り一気に駆け走る。


 さすがは、さなだ。第五走者とはいえ、それは全体での話。

 女子の中では、アンカー扱いだ。先を走る走者と、ぐんぐん距離を縮めていく。


「さらさ! がんばって!」


「!」


 この騒がしい声の中で、聞こえてきたのは……闇野の、ものだ。

 それは、友達である小鳥遊を思っての、もの。


 思わず、視線を動かす。

 小鳥遊が、第四走者からバトンを受け取るところで……


「……負けないっ」


 ……言葉は聞こえずとも、口の動きは、そう語っていたように感じた。


「お、おい、あの子……」


「あぁ、速くね!」


 小鳥遊が走り出したことで、周囲のざわめきが大きくなる。

 それも、そのはずだ……小鳥遊の足が、思っていた以上に、速かったのだから。


 小鳥遊の実力を知らない者は、驚いたことだろう。

 ……いや、実力を知らない者だけではない。

 実力を知っている……さなも、俺も、驚いていた。


「さ、さらさちゃん……?

 あ、あんなに速かったでしたっけ……?」


「……少なくとも俺は、あんなにも気合いの入った小鳥遊を見るのは、初めてだな」


 小鳥遊とは、部活対抗リレーの練習中、何度もその実力を見ている。

 だから、わかってはいたのだ……小鳥遊も速いが、あいほどではないと。


 だが、今の小鳥遊はどうだ。

 あいと同等……いや、あいとの距離が、確実に縮まっている。


『負けないっ』


 彼女は、おそらくそう言っていた。そして、こんなにも気合いの入った小鳥遊を、俺は初めて見た。

 ……部活対抗リレーの練習中、小鳥遊は気を抜いていた……というわけでは、ないのだろう。

 短い付き合いだが、小鳥遊は練習だからと手を抜くような人間では、ない。


 ならば、本番に強いタイプ……それも考えたが、おそらく違う。

 彼女が言った『負けないっ』とは、敵である白チームに対してか?


 ……違う。


「小鳥遊は、あいに負けたくないんだ」


「え?

 あいちゃん、に?」


 それは、単なる俺の推測。

 しかし、どこか確信があった。小鳥遊は、あいをライバル視している。


 だから、同じチームだとか関係ない……

 純粋に、個人として勝ちたいのだ。


『おぉっと赤組速い! どんどん距離を詰めていくー!』


 アナウンスも白熱する中で、ついに小鳥遊があいの隣に並ぶ。

 あそこまで開いていた距離を、こうもすぐに埋めるとは……

 もしも同時に同じ場所からスタートしていたら、あるいは……


「静海も速いが、あの子もすげーな!」


「ふたりとも頑張れー!」


 クラスの連中も、二人を応援し始める。同じチームだ、どちらが勝っても赤組の勝利に近づくことには、変わりない。


 だが、本人たちはそうは思っていない。

 それに、あいも……小鳥遊のことを、認識した。


 互いに、視線を交わらせて……ラストスパートをかけるように、一気に駆け抜けていく。


「……っ」


 気づけば俺は、拳を強く握りしめていた。

 意図せず、白熱していたのかもしれない。


 二位との差をぐっと縮めるが、まだ追いつけはしない。

 そして、彼女らが二位を追い抜く前に、走者は変わる。


「静海!」


 バトンを待つ、鍵沼の姿。

 それを確認し、あいは小さく笑みを浮かべていた。


「任せた……!」


 あいと小鳥遊……二人が、アンカーにバトンを渡したのは、ほとんど同時に見えた。


 そして、バトンを受け取り……最後の走者となった、鍵沼。

 その足で、地を蹴り、走り出していく。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ