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お嬢様学校の超美人



「ま、バカはほうっておくとして」


「ちょっ、ひどくねー!」


「バカはバカだろ、バカ鍵沼。いやバカギヌマ」


「ひでぇ!」


 一応、したくもない紹介をしてやったんだ。

 これ以上お前に費やす時間などない。


 すると、さなとあいが、俺たちを不思議そうに見つめていた。


「どうかしたか」


「あ、いや……なんか、意外で」


「意外?」


「うん。その……光矢くん、初対面の私たちのこと、な、名前呼びにしたのに。

 えっと……」


「中学で一緒だったそいつのことはこれとかバカとか、鍵沼とか……名前で呼ばないのね」


 ……あぁ、そのことか。

 なぜ鍵沼を名前で呼ばないのか……それは……


「呼ぶ価値を感じられない」


「ぅおい! てか、一言二言しか話したことないやつも、名前で呼んでたよな!

 マジで俺だけ名前で呼ばれないのどういうことよ!」


「あー、わかるわ」


「わかるな!」


「それに、お前が流水ってかっこいい名前なのがなんかムカつく」


「どうしようもねえじゃねえか!」


 そう、価値を見出だせないのと、ムカつくから……

 だから鍵沼……


 悪いが、今後もお前の名前を呼ぶことは、ないだろう。


「あいちゃんと鍵沼くんは、幼馴染なんだね?

 そういえば、幼馴染の男の子がいるって、聞いたことがあるかも」


「耐え難いことにね。家も隣同士、毎日のように顔をあわせることになるのよ」


「俺だって同じ気持ちだっつうの。なにが悲しくてちんちくりんと」


「なによ」


「なんだよ」


 あいと鍵沼……か。この二人の関係は、おおよそ把握できた。

 幼馴染、それもかなり付き合いが長い。


 家も隣同士で、学校も一緒となれば、それこそ毎日顔をあわせることになるだろう。


 仮に、俺と立場を置き換えてみよう。

 俺が鍵沼と幼馴染で、毎日顔をあわせる……


「……苦労しているんだな、あい」


「いきなりどうしたんだよ!」


「わかってくれる、光矢クン!」


「うむ」


 考えただけでも、おそろしい。かなりのストレスになるだろう。

 それに耐えているさなは、もはや尊敬に値する。


 ……しかし、毎日顔をあわせる、か。

 もしも俺とあいが、幼馴染だったとしたら……



 ー妄想中ー


『おはよう光矢くん、今日もいい天気ね!』


『あぁおはようさな。だが、さなの笑顔の前には太陽すらも霞むさ!』


『やだもう、光矢くんったらうふふふ』


『本当のことさあははは』


 ー終わりー



 ……うん、いい!


「いいじゃないか、幼馴染」


「お前はさっきからなにを妄想しているんだ!?

 俺たまにお前が怖い!」


「確かにイケメン幼馴染だったら、望むところなんだけど……」


「俺だって顔そんなに悪くねえよ!」


「……」


「……」


「黙るんじゃねえよ!」


 やはり、やかましいな……ただでさえ、金髪で目がチカチカするというのに。

 存在もうるさいししゃべってもうるさい。


 こいつの存在に、救われたところが……ないわけでは、ないのだが……


「できれば、さなちゃんをこいつに会わせたくなかったんだけどね」


「わかる」


「なんで!? 別にいいじゃんか!

 俺だって噂の超美人に会ってみたいっての!」


 そういえば、先ほどもさなのことを知ってる風だったな……有名人なのか?

 そして、美人と言われて顔を真っ赤にしているさなはかわいい。


 有名とは、どういった意味でだろうか。


「で、さながどう有名だって? お嬢様学校がどうとか」


「あぁ。女子しか通えないお嬢様学校、そこで常に成績トップだった、スタイル抜群の美人がいたって話。

 それが、如月 さなだ」


「俺のさなを呼び捨てにするなよ、様をつけて敬え」


「それがものを教えてやった者への態度か!?」


 お嬢様学校……か。それなら、俺が知らないのも仕方ない……はずだ。

 こいつだけでなく、クラスの人間はみんな知ってそうな雰囲気ではあったが。


 俺が単に世間知らずなだけか。


「ぷっははは……も、ものを教えてやった……者……!」


 説明した鍵沼の横では、なにかツボにハマったのか、あいが腹を押さえて笑っている。


 ……好印象な人物だったんだが、笑いの沸点は理解できないな。


「そ、そんなたいしたことじゃない、よ。成績だって、ただ勉強が好きなだけで……」


「くぁー、一度は言ってみたいね勉強が好き!」


 勉学に励んでいるのか、常日頃から。

 いい心がけだ。


 それに、謙遜も美徳だ。


「けど、勉強が好きって言うなら、今回真尾に入試トップ負けたの、悔しいんじゃないの?」


「……そ、そんなことないよー」


 意地の悪い笑みを浮かべる鍵沼、そんな鍵沼の言葉に対して……

 さなは、わかりやすく目を泳がせた。


 ……悔しかったのか、わかりやすいな。

 嘘をつけないほど素直なところも、かわいいぞ。


「はー、入試トップだなんだと、俺らには関わりのねえ話だわ」


「なに私もくくってんのよ」


「あん? お前も成績良くねえだろ。しかも俺以上に」


「……」


 幼馴染であるこの二人は、ウマが合わないようだ。

 が、それでも付き合いが長いからわかっているところも多いよう。


 あいも目をそらしているあたり、さなと同様わかりやすいな。


「お嬢様学校、それだけ聞くと、いかにも勉強ができそうな人材が集まってそうだが……あいはこいつよりバカなのか」


「言い方!」


「いや、お嬢様学校といえば聞こえはいいけど、実際はそんないいもんじゃないよ。女子校だよ要は。

 周りが勝手にそう呼んでるだけ。女子校なんてこの辺に一つしかないし。

 それに、こいつより頭が悪かったのは昔の話! 今じゃボクの方が頭いいね!」


 悪かったのは本当なのか。


「あんだと!? なら今回の入試結果比べてみるかぁあん!?」


「上等だよ!」


 いがみ合わないと気が済まないのか、この二人は。

 また不毛な争いが始まろうとしたとき……


「はーい、皆さん席についてください」


 このクラスの担任と思われる、女性の教師が、教室に入ってきた。

ここまで読んで下さり、ありがとうございます!

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