終わりも近い
「おぉ……おぉお……!」
影から、真尾とさなのやり取りを見ているあいは、ひどく興奮していた。
今二人は、互いに買ったプレゼントを交換している。
鼻息荒く、その様子を見守っているわけだ。
「どうしたんだよ、そんなに興奮して」
「だって、プレゼント交換だよ。うわぁ、いいなぁ」
そういう経験のないあいにとっては、それは憧れと言ってもいいだろう。
同じく経験のないさなは、ここから見てもわかるくらいに顔を赤らめている。
二人が交換したのは……ネックレスだろうか。ここからでは、詳細までは見えない。
傍から見れば、それは初々しいカップルそのものだ。
それに、美男美女でお似合いだとも思う。
あいから見ても、さなはかわいいし……
「うぅう……」
先ほどの流水ではないが、あいも少しばかり嫉妬してしまうわけだ。
さなのようにかわいくないし、背だって低いし、胸だって……
……自分で考えて、虚しくなってきた。
「しっかし、あの二人付き合うまでもう秒読みって感じだな。
真尾はもちろん、如月さんも楽しそうだし」
「そうだね……」
そもそも、告白したのは真尾からなのだ。さなは、その返事を保留としている。
まだ出会って数日……とはいえ、彼に対するさなの印象は、悪くないだろう。
互いにいろいろ知ってしまえば、さなだって告白を断る理由は、ないはずだ。
そうなれば、こうして二人で出かける機会だって……
「……増えちゃうよねぇ」
それは、喜ばしいことだろう。お祝いすることだろう。
さなのことをあれだけ想ってくれる人が、いるのなら。
でも……そうなれば、これまでのように遊べなくなるのか。友達よりも彼氏を優先する子は、これまでにもいたし。
もちろんさなは、そんなあからさまではないだろうが……
それでも、これまでのように遊べる時間が少なくなるのは、確かだろう。
……寂しくならないかと言われれば、嘘になる。
「いやでも、さなちゃんが幸せならそれで……」
「さっきからなにブツブツ言ってんだお前」
「う、うるさいなぁ。なに聞いてんだよ変態」
「理不尽すぎんだろ」
この胸の内の繊細な気持ちは、がさつな鍵沼にはわかるまい。
おそらく、これでデートも終わりとなるだろう。日も傾いてきた。
結局、今日一日尾行して二人のイチャイチャぶりをまざまざと見せつけられた気分だ。
正確には、真尾のほぼ一方的なものではあったが。
まあ、さなも満更でもない様子であったが。
「はぁー、私もああいう甘酸っぱいデートしてみたい」
「お前が? 似合わねー」
「うるさい!」
この後ろのおじゃま虫のせいで、感慨にふける暇もない。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
もし面白い、続きが見たいと感じてもらえたなら、下の評価やブックマークを貰えると嬉しいです!




