メッセージ
「ただいま」
自宅に戻り、玄関のドアを開ける。
両親とも働きに出ているが、ついただいまと口に出てしまった。
自室に行き、荷物を置いてベッドに寝転がる。
高校生活初日だったためか、疲れた……すっかり、人間の体にも慣れたと、思っていたが。
学校からの下校中、俺は昨日と同じように、さなを家に送り届けた。
さなの家に寄っていては遠回りになるが、そんなもの大した問題ではない。
『あ、ありがとうございます、光矢くん』
その一言だけで、俺は天にも昇る気持ちだ。実際に昇りはしないが。
こうして、少しでも一緒にいる時間が増えれば、さなの俺に対する気持ちにも変化が訪れるだろう。
これまでさなと話していて、感じたのが……
あいには、タメ口だ。だが俺や鍵沼、他のクラスメートには敬語。
これは、さなの性格の問題があるだろう。
つまり、さなにタメ口で話してもらうには、それくらい仲良くならなければならないというわけだ。
『ねぇねぇ、光矢クン番号教えてよ! あとメッセージアプリもやってたら、アカウントも!』
とは、あいと別れる前に交わした会話だ。
あいのおかげで、俺はさなの連絡先を得ることができた。
話の流れで、三人で連絡先を交換する。
すでにさなとあいは連絡先を交換していたので、正確にはさな、あいと俺の連絡先を、だ。
俺一人では、今日もまたさなの連絡先を得られないところだった。
まったくあいの機転には頭が下がる。
「……一気に二人追加、か」
スマホの連絡先一覧を開き、そこに保存されている名前を見る。
あい
鍵沼
さな
両親を除けば、そこに保存されているのは三つの名前だけだ。
そもそも、スマホを買ってもらったのが、高校の入学祝いとはいえ……おそらく、中学の時から持っていても、連絡先は増えなかっただろう。
どこで知ったのか、俺がスマホを手に入れたことを知った鍵沼は、無理やり連絡先を交換してきた。わざわざ家にまでやって来てな。
そして、今日二人……
「なかなか、いいものだな」
正直、両親との連絡はともかくとして鍵沼からのうっとうしいくらいのメッセージ送りは、めんどくさかったのだが……
ここに名前がある相手と、いつでも連絡ができる。
その気持ちがあるだけで、また随分と違うものだ。
「お?」
そうやってスマホを眺めていると、一件のメッセージが届いた。
そこには、さなの名前が表示されていた。
『今日は、ありがとうございました。同じ部活動で、心強いです。
明日からも、よろしくお願いします』
こういった、内容が書かれていた。
「文面でくらい、もう少し砕けてもいいのだが……ま、これからだな」
堅苦しい、とまではいかないものの、さならしい文面だ。
これが砕けた文面になるくらいに、親密度を深めていきたいものだ。
俺も、似たような文面を打ち込み、返信する……が。
鍵沼には適当に返していたから、あまり考えずに打っていたが……どうも、さなに返信すると考えると、やたら文面の内容を考えてしまう。
結果として……俺が、さなのメッセージに返信をしたのは、十分後のことだった。
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