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転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王は青春を謳歌する

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接吻の話



「きゃー、かわいい!」


 ウチに訪れたさなは今、俺の部屋にいる。

 部屋の本棚に飾られたぬいぐるみ、ペピンタンを見て、さなは目を輝かせている。


 鳥なのか犬なのか猫なのか、よくわからない絶妙なバランスのぬいぐるみだ。

 正直、俺にはよく良さがわからん。


 だが、こうして喜んでいるさなを見ていると、俺も嬉しい。いやあ、捨ててなくてよかった。

 せっかく自分で手に入れたものなのだ、変なキャラクターとはいえ愛着が湧くというもの。


 おかげでさなの喜ぶ表情が見られているわけだし。

 よほど、ペピンタンというキャラクターが好きなのだろう。少し嫉妬してしまうくらいだ。


「そんなに喜んでくれるなら、よかった」


「はい!

 ……そ、それにしても、男の子の部屋、初めて入りました」


 はしゃいださなは、部屋の中を見回し改めて恥ずかしそうにしていた。

 男の部屋に入るのは、初めて……か。なんと甘美な響きだろうか。


 ちなみに、さながウチに来た理由はペピンタンを見て触るためなので、極論を言えばペピンタンをリビングにでも置いておけばさなの目的は達成される。

 だが……それだとなんか、味気ないだろう?


 部屋に招き入れるのはこちらとしても相応の準備がいるが、かといってせっかくウチに来てくれたのに入れない、というのはもったいない。


「そう緊張する必要はないさ。適当に座るといい」


「は、はい」


 適当に座れ、と言われても、まあ迷うよな。

 ベッド、椅子、床……ちなみに俺はベッドに座っているが、さなもベッドに座るのなら隣同士に座ることになる。


 それはそれでいいことなのだが、果たしてさなが恥ずかしがらずにできるかどうか。


「で、では、失礼します」


 結局さなは、床に座る。

 一応座布団を用意しておいてよかった。さなを固い床の上に座らせるわけには、いかないからな。


 さなは、ペピンタンぬいぐるみを抱きかかえている。

 変な生物と言うかキャラクターだが、それもさなが抱きかかえるだけでなんとも愛らしい存在に変わるのだから不思議だ。


「ほら、さな。遠慮せずに食べるといい」


「はい、いただきます。

 ……わぁ、クッキーですね」


 持ってきたお菓子の袋を開けると、中からいくつかの個袋を取り出す。

 持ってきたのはクッキーで、それを見たさなは瞳を輝かせた。


 そして、一つを口の中に放り込む。


「んんっ、おいひいです」


「それはよかった」


 さなは嬉しそうに頬を緩ませる。俺の表情も、おそらく和らいでいることだろう。

 俺もクッキーを手に取り、口の中へ。チョコ味のクッキーだ、なかなかにうまい。


 人間界の菓子というものは、美味なものが多い。


「んくっ……ぷはっ」


 コップに注いだリンゴジュースを飲み、さなはほっこりとした表情を浮かべた。

 普段見ることのない表情だ。しまったな、カメラを用意しておくんだった。


「ふぅ」


「こういうまったりした時間も、いいものだな」


「そうですね」


 少しは慣れたのか、さなに先ほどまでの緊張した様子はない。


 せっかくさなが、部屋にいるんだ。この機会に、少しは距離を縮めたいところ。

 しかし……彼女が部屋に来た場合、彼氏はどうするべきなのだ。今日までにいろいろ調べはしたが、どれもたいした手掛かりにはならなかったというか。


 というか、距離を縮めるって……交際の後は、なにをするべきなのか。

 ここはやはり、あれか……接吻、というやつか。


「なあさな」


「なんでしょう?」


「さなは、接吻をしたことがあるのか?」


「!? ぶふっ、ごほごほ!」


 俺の問いかけに、さなは顔を真っ赤にして咳き込んだ。

 先ほど飲んでいたリンゴジュースが、変なところにでも入ったのだろうか。心配だ。


 俺は立ち上がり、咳き込むさなの背中を擦ってやる。

 つい条件反射で動いてしまったが、さなの背中に触れてしまった。なんというか……これは、やばいな。


「げほごほ! す、すみま……っ」


「いや、落ち着いて。深呼吸をしろ」


 それからさなが落ち着くまで、背中を擦り続ける。

 しばらくして、ようやく落ち着いたのかさなが大きく深呼吸を繰り返した。


「すぅ……はぁ。ありがとうございます、落ち着きました」


「あぁ、それならよかった。しかし、いきなりどうしたというんだ」


「なっ……」


 落ち着いたと言うさなだが、またも顔を赤くしていった。


「ま、真尾くんのせいじゃないですか!」


「俺の?」


 いきなり、俺のせいだと言われてしまった。

 まさか、俺がなにかをしたのか? 特に、なにかをっした覚えはないが。


 さなが咳き込む直前の行動、あるいは言動のことだというのならば……


「接吻のことか?」


「せっぷ……そ、それです! いきなりそんなことを言われたら、驚きますよ!」


 さなは顔を真っ赤にして……なんならちょっと怒ってもいるように見える。

 怒っているさなもかわいいが、どうやら俺の先ほどの言動がさなを動揺させてしまったのは間違いないらしい。


「それは、すまなかった」


「……なんでいきなり、そんなことを言ったんですか」


「さなともっと仲を深めるために、次はなにをするべきか考えていてな」


「…………っ」


 さなは目をぱちぱちと開いては閉じてを繰り返し、これ以上赤来ることないと思われていた顔をさらに真っ赤に染め、顔を両手で覆う。

 またさなを怒らせてしまった……いや、怒っているとも少し違うような?


 どうしたというんだ。

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