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転生魔族は恋をする 〜世界最強の魔王、勇者に殺され現代に転生。学校のマドンナに一目惚れし猛アタックする〜  作者: 白い彗星
転生魔王は青春を謳歌する

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緊張してきたな



 ……俺とさな、あい、そして鍵沼が遊んだ日から、早いもので数日が経った。

 あの日は、その後ゲームセンターでもう少し遊んでから、いい感じの時間になったので解散した。


 そして、帰宅中に気付いたのだ。これは、俺とさな、そしてあいと鍵沼のダブルデートのつもりだったのに、途中からすっかり忘れてしまっていた、と。

 俺としたことが、さなとのデートにすっかり浮かれていた。


 まあ、あいと鍵沼二人の関係は知らないが、俺たち四人はさらに仲良くなれたんじゃないかと思う。

 で、今日となったわけだが。


「……」


 俺は柄にもなく、落ち着きがなくそわそわしていた。

 自分で言うのもなんだが、俺は何事にもどっしりと構えておくタイプだ。魔王であった頃も、人間が魔王城に攻め込んできたときどっしりしていた。


 そんな俺が、こんなにもそわそわしている理由。それこそが、今日この後起こる出来事に収束されている。



『はぁ、すっごいかわいい……直接触ってみたい、もふもふしてみたい』


『なら、俺の家に来るか?』


『! いいんですか!?』



 ダブルデートをしたその日。ゲームセンターに向かう道すがら、俺とさなの間にはこんな会話があった。

 それは、俺が以前ゲームセンターのクレーンゲームで取ったものをスマホの写真で見せた時のやり取り。


 それは、何気ないやり取りのはずだった。言った自分も自分だが、まさかさながうなずくとは思っていなかった。



『あ、あぁ、もちろん』


『! 約束ですよ!』



 その後、もしかしたらその場の勢い任せで言ってしまっただけのさなから「やっぱなし」という連絡が来るのも覚悟していた。

 だが、そんな気配はなく……むしろ、いつなら都合がいいかとか、着々とウチに来る準備が進められていき……


 こうなった。


「はぁ……」


 あまりの展開に、俺はため息を漏らす。

 もちろん、さながウチに来ることが嫌なわけではない。嫌なはずがない。


 だが、あまりにも突然の出来事で……数日経つのに、まだ心の整理ができていない。

 それに、ウチに来たいと言ったきっかけがクレーンゲームのペピンタンというのも……なんというか、複雑だ。


「これでいいよな……できているよな……」


 俺は自分の部屋で、何度も何度も片づけを繰り返していた。

 昨日のうちから、自分なりにきれいにしたはずだ。母さんにも、充分きれいだとお墨付きはもらった。


 両親は共に留守だ。それは当然さなも知っている。

 そんな相手の家に来るなど、さなが俺を信頼してくれている、ということなのだろうが。


「あと五分くらいか……」


 先ほど、さなから家を出たとメッセージをもらった。

 ウチとさなの家の位置関係から計算すると、ウチに着くまで残り五分程度というところだ。


 よし、最後にもう一度、部屋の中を整理して……



 ピンポーン



「なん、だと」


 家の中に鳴り響く、インターホンの音。それは、来訪者を報せるものを意味していた。

 まさか、さなか!? さながもう来たのか?


 俺は部屋から出る。歩きつつ、考える。

 いや落ち着け、さなとは限らない。そう思わせておいて、実は鍵沼だったりするのだ。


 思わせぶりな奴め……そうだ、あいかもしれない。まったくあいつら、驚かせよって。

 もしも鍵沼だったら、扉を開けた瞬間に殴ってやろう。


 そんなことを思いつつ、インターホン越しに外の人物を確認する。


 ……さなだった。


「さっ……」


 間違いない。俺がさなを見間違えるはずもない。

 なぜだ、普通に歩けばあと五分はかかるはずだろう。それとも、実はメッセージを送った五分前に出発していたとか?


 いや待て……さなの、肩が上下している。

 もしかして……急いで、来たのか? 歩くではなく、走るまでいかなくても駆け足で来たというのか?


 そんなのまるで、ウチに来るのが楽しみだと、言っているようではないか。


「っと、いかんいかん」


 考えに耽って、いつまでもさなを外で待たせておくわけにはいかない。

 俺はインターホンの応答ボタンを押し、外にいるさなに言葉をかける。


「さ、さな」


『! 真尾くん、こんにちは』


 顔は見えていないのに、さなが俺に向かって微笑みかけてくれているかのようだ。

 画面越しでもかわいいのは反則だな。


 俺は、急いで玄関の扉の鍵を開けにいく。

 そして扉を開き、さなを迎え入れた。


「お邪魔します」


「あぁ、どうぞ」


 さなは白いワンピースを身に纏っており、清楚な雰囲気はまるでどこかのお嬢様だ。

 手にはなにやら紙袋を持っており、それを俺に差し出した。


「これ、つまらないものですがよかったら」


「え、あぁ、どうも」


 こういうのは確か、人間界での社交辞令……のようなものだったか。

 俺は紙袋を受け取ると、中身を覗く。


「お菓子か?」


「はい。ご両親は不在とのことでしたので、渡していただければ。皆さんで食べてください」


「ありがとう」


 俺は紙袋をリビングに置き、母さんが一緒に食べろと用意していたお菓子があったのを思い出した。

 これと、なにか飲み物を。


「あ、お構いなく」


「ふふ、そうかしこまらなくてもいい。

 さなは、なにを飲むんだ?」


「あ、えっと……では、リンゴジュースはありますか?」


「よしきた」


 要望のリンゴジュースを、二人分のコップ。そしてお菓子を盆に載せ、さなを俺の部屋へと案内する。

 き、緊張してきたな……この俺が。

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