三題噺第19弾「入学式」「幻」「憂鬱な才能」
今日は“入学式”。
「どいてどいてどいてぇぇぇぇぇ!」
登校中の俺は後ろを振り向くと、自転車で突っ走ってきた女子学生から追突事故をもらった。
「イテェ!」
「どいてって言ったのに、どかなかった君が悪いんだからね」
これは俺が悪いのか? あきらかにぶつかってきた方が悪いだろ。
「いや、明らかにお前が悪いだろ。自転車なんだし」
「しかたないじゃん。ブレーキ壊れてるの忘れてて止まれなかったんだよ」
「足で止めれたよね! 実際止まってるし」
「君にぶつかったおかげで止まったんだよ。感謝してる」
なんていう女だ。昔から女難のそうが出てる“憂鬱な才能”があったんだった。これもこの才能のせいか。
「じゃ俺いくから。入学式間に合わなくなる」
「入学式なら一緒の学年だね。一緒に行こう。そうしよう」
「はぁ!? なんで自転車にぶつかられて、一緒にいかないといけないんだ! 一人で勝手に行け!」
「いいじゃん、ぶつかった仲なんだし、一緒に行こうよ。ねっ、決まり!」
勝手に決められて、勝手に一緒に行く羽目になった。
歩いていると、頭痛がしてきて、頭がクラクラしてきた。
そう、さっき自転車にぶつかったときに頭を打ったのだ。
その影響で学校に行く途中倒れてしまって、救急車に運ばれたのだった。
入学式に出るのは“幻”に終わり、病院のベッドの上で新たな学校生活を迎えた。
あの女、ぜってぇゆるすまじ。
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