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 読み終えた手紙は、私の涙でびしょ濡れになっていた。彼女は最後まで、私の夢を心から応援してくれていたのだ。だというのに、今の私は自分の夢すら応援できていない。

「私…最低だ…。」

 私は青ちゃんに二度と会えない。だから約束を破ったことも、期待を裏切ったことも、彼女に会って謝ることは出来ない。そもそも、死んだ人間に約束なんて通じない。そんな事識っていた。識った上で、怖くて、怯えて、頑なに認めなかったのだ。そんな私は、やはり弱い。どんなに勉強しても、どんなに人と向き合っても、本質的な心の弱さは変わらなかったのだ。変えることは出来なかったのだ。私は、弱い。でも、だからと言って。

「このままで良いわけがない、よね。青ちゃん。」

 謝ることが叶わないのだから、これ以上彼女に謝らないといけない事はしてはならない。弱いなら、誰よりも力強く踏ん張らなければ、遠い場所には飛べない。その為には、錘があってはならない。私は机にしまい込んでいた、亡き友へ向けて書いた…いつか帰ってきたら渡そうと、そう非現実的な動機で書いたいくつもの真新しい手紙の束を、思い切り破って、破って、ハサミで粉々に切り裂き、ゴミ箱に捨てた。

「青ちゃん、ごめん。私達もう、二度と会えないみたい。」

 どうにか無理矢理にでも笑おうとしたが、涙は止まなかった。私を強引に引っ張ってくれたのは、いつも彼女だけだったのだ。やっぱり、私は弱い。

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