1/1
プロローグ 「はじめての異世界転生」
「君がこれから転生する世界は、ユグトラジアという平和な世界だ」
ーーーユグトラジア?
「そう!様々な種族が住まう広大な世界。魔法もあれば妖精もいる世界さ!壮大な冒険譚がお望みなら少しばかり退屈かも知れないがね」
仰々しいローブを纏った優男が、身の丈程もある杖を地面に叩きつける。瞬間、杖の先端から円陣が広がり、光を放ちながら現れた魔法陣が俺の身体を包み込んだ。
ーーーああ、そりゃあよかった。よくあるゲームみたいに、魔王を倒せ、なんて言われたらいくつ命があっても足りなそうだしな。
そう返すと優男は一考し、ニヤリと笑った。
「安心しろよ少年!君が勇者になることはないさ」
薄れていく意識の中、遠のく優男の呟きが耳に残る。
「なにせこの世界の魔王は、100年も前に勇者によって倒されているのだからねーーーー」