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民草とは青人草とは   作者: 完結しました
7/21

倭訓栞について調べました

感想欄にてご教示いただいた青人草の語源説「貴人を木、賤人を草にたとえる」という説について、前回、その引用元のひとつ『古史通』について紹介しました。


では、今回は『倭訓栞』について調べたことを書いていきます。


『倭訓栞』て何?

何の本なの?


という初歩的なところから調べました。


まずはスマホで「倭」「訓」「栞」と打ってググる→どうやら「谷川士清」という人が書いた物らしいと知る。


→この時点で「倭訓栞」を「わくんかん」と読むと思い込んでいた私。「谷川士清」も「たにがわしせい?」と思い込む。


→とりあえず図書館に行き「たにがわしせい」について調べようと蔵書検索で「谷川士清」と打ち検索。


→『倭訓栞と谷川士清』というドンピシャなタイトルを発見。さっそく借りる。


ということでこの本を読んでみました。



まず、「谷川士清」は「たにがわことすが」と読む人でした。

そして「倭訓栞」は「わくんのしおり」でした(^_^;)


谷川士清は江戸時代中期の国学者で、現在の三重県の人です。


あの本居宣長とも親交があって、「倭訓栞」の序文は宣長が書いています。


谷川士清は私が思っていた以上に凄い人でした。


何がすごいって日本で初めて五十音引きの国語辞典を作った人なのです。それが『倭訓栞』です。


それまでにも辞典はあったのですが、イロハ順のものだったのです。


竹内令『倭訓栞と谷川士清』

p8

士清が生きていた江戸時代も、こうしたイロハ引きの辞典が広く使われていました。しかし士清は、五十音図が日本語にはとても大切だということに、日本語を調べる中で気づいていました。ですから、国語辞典には五十音を使うほうがふさわしく、理に適っている、と考えたのです。こうしてできたのが、『倭訓栞』です。

《引用おわり》

※この本の奥付には出版社名がありませんでした。もしかしたら自費出版かもしれません。著者の竹内さんは谷川士清を顕彰する「士清の会」の会員でボランティアで活動、調査をされている方みたいです。




現在の辞書も五十音順ですよね。谷川士清はいちはやく五十音順の便利さに気づいたということでしょうか。


谷川士清は『倭訓栞』を出版するおよそ十五年前、『日本書紀通證』全巻(三十五巻)を出版しています。これは『日本書紀』全巻を注釈するという偉業でした。

しかし、それ以上に当時の学者たちに注目されたのは、『日本書紀通證』の付録であった「倭語通音」でした。


「倭語通音」は「日本語の動詞の活用図表」です。『日本書紀通證』を著す過程で気づいた日本語の語尾変化をまとめたものなんだとか。



当時としては画期的な発明でした。


若き日の本居宣長も「すこぶる発明あり」と感動し「倭語通音」を書き写したそうです。


ちなみに宣長は士清へ長文のファンレター(?)を送っています。


内容は、年上の士清への敬意を表しつつも『日本書紀通證』への批判だったようです。


これが士清と宣長の最初の出会いらしいのですが、士清は若い宣長に対して大人な態度をとったのでしょう、後に二人は親交を深めます。



話を『倭訓栞』にもどしますね(*^_^*)


『倭訓栞』は士清が『日本書紀』の研究のために長年集めてきた古い書物を活用し、そして「倭語通音」を根拠に五十音順でつくった国語辞典なのです。


しかし、悲しいことに出版されたのは、士清が亡くなった翌年でした。その後、子孫の手によって長年かけて全編出版されました。



◇◇◇


竹内さんの著書を読み「フムフムなるほど~、『倭訓栞』を読んでみたい!」と思った私。



国会図書館デジタルコレクションで読みました。


パソコンでカチカチ……


『倭訓栞』にある「あをひとくさ」「たみくさ」の項目をチェックしました。



『増補語林 倭訓栞 上』皇典講究所印刷部


あをひとくさ 神代紀上に蒼生をよめり 古事記に青人艸と書り小人は草に成へし



たみくさ 民種なりそれを歌に草の義にとりて民の草葉民の千草なとよめる也 續千載集に 風わたる民の草葉も年あれは君にそなひく千代の秋



《引用おわり》


うーん、士清も新井白石と同じように青人草の解釈は「私記」を参考にしたのでしょうか?出典を書いていないのでよくわかりません……


「たみくさ」を民種という漢字にしているのは私としては大注目ですね。


「民種という語を歌を詠むときに草という言葉に仮託して“民の草葉”“民の千草”といっている」

という解釈でしょうか?

この解釈が正しければ、「民草」はもともとは「草」ではなく「種」と書いたということでしょうか?



感想欄にてご教示いただいた、日本国語大辞典の青人草の語源説①に本居宣長の『古事記伝』を引用して


「人口の増加することを、草が生い茂りはびこることにたとえたもの」とありましたね。


師匠ともいえる士清の「たみくさ」「青人草」の見解と違う見解を宣長はもっていたということでしょうか?


……これは……宣長の「たみくさ」「青人草」についても調べなけれなりませんね!


楽しいです。


さっそく調べたいのですが、明日からまた忙しくなるので(/_;)


気長にお待ちいただけたら幸いです。




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