「たみ」って何だろう
そもそも、民って何?
ちょっと語源を調べてみました↓
諸説あるみたいです。
『日本語源大辞典』小学館(2005)
民【たみ】
君主・帝王に統治されるすべての人々。臣民。貴族、また、武士階級を除いた庶民。百姓。また、現代では広く国家社会を構成する人々。国民。
語源説
①タベ(田部)の転。田を作る群生の意〈東雅・松屋まつのや筆記・大言海〉。
②民は万物の霊であり、尊むべきであるところからタウトミの略。また、田の実を食するところからともいう〈日本釈名〉。
③タモリ(田守)の義〈名語記・日本語原学=林甕臣〉。
④田におり立つ人の義〈日本語源=賀茂百樹〉。
⑤タモチ(田持)の義か〈名語記・名言通〉。
⑥田を作る身の意〈本朝辞源=宇田甘冥〉。タミ(田身)の意か〈小学館古語大辞典〉。
⑦タ(田)オミ(人・臣)の約か〈岩波古語辞典〉。
⑧タミ(凡身)の義〈言元梯〉。
⑨アマタノヲミの略か〈国語蟹心鈔かいしんしょう〉。
⑩賤しいものであることからシタミ(下見)の略〈紫門和語類集〉。
《引用おわり》
一体、どの説が真実なんでしょう?
個人的には②のタウトミが素敵だと思うけど、うーん、ちょっと胡散臭い気も(^_^;)
次に古事類苑でタミやタミクサについて調べてみました。
古事類苑とは、六国史以下1867年(慶應三年)以前の基本的な文献から採録した各項の起源・内容・変遷に関する史料を原文そのまま掲げる大百科事典です(広辞苑より)。
抜粋して以下に引用します(全部引用するとめっちゃ長いんすよ;)。
※異体字、旧字は一部現代のものに変えて引用しました。また漢文調になっているものは私が読み下し文にしました。
『古事類苑 産業部1』
〔書言字考節用集四 人倫〕
百姓 此れ出づ
〔成形圖説一 農事〕
大御寶
古事記、書紀に、人民、億兆、衆庶、百姓、蒼生、黔首等並に訓り、古は良賤にわたりての泛称といふ、
(中略)
多美 即民なり
(中略)
民種
歌に、草の義に取て民の草葉、民の千葉などよめり、続千載集に、わたる民の草葉も年あれば君にぞなびく千世の秋まで
《引用おわり》
百姓をタミクサと読むという説、興味深いですね。百姓は農業に従事する人というイメージが強いですが、一般の人民、公民という意味もありますよね。
また、民種と書いて「タミクサ」と読むのも気になります。
もしかしたら、本来は「草」ではなく「種」と書いたのかもしれませんね。
それが「青人草」「民の草葉」という言葉と混ざって「民草」になったのかもしれないな、と考えました。
「種種」(しゅしゅ、くさぐさ、種々)という「色んな」という意味の言葉がありますから、「民種」とは「色んな人々」という意味だったのかも。
あくまで素人の私の仮説です(^_^;)
余談ですが、荷田春満の娘(養女)の名前は蒼生子と書いて「たみこ」というらしいです。
蒼生子という字面、綺麗だなぁと私は思います。
次回は江戸時代の「民草」用例を紹介したいと思います。
最近忙しくて更新が遅くなりがちですが、読んでいただけたら嬉しいです。




