仕草、言草、民草
「民草」以外にも「草」がつく言葉がありますよね。なぜ、この言葉に「草」なの?と思う言葉。
「仕草」
「言草」
この二つの言葉、不思議だと思いませんか? なんで草なの?
私は不思議に感じるので、自分の小説の中ではこの二つの言葉はひらがな表記にしています。なんとなく。
ちょっと辞書で調べてみました↓
角川古語大辞典
しぐさ【為種[仕草]】
名 動作。仕方。やりかた。
また、特に劇場での役者の演技的な表現をいうこともある。「たれを見まねに、おぬしが仕ぐさを、アノ、わしがふだんを、みならつたのよ」〔東海道四谷怪談・二番目・中幕〕
日本国語大辞典
しぐさ
【仕種・仕草・為種】
〔名〕(「し」はサ変動詞「する」の連用形から)
①ある物事をする時の態度ややりかた。
*歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)三幕「『この強悪も、見やう見真似の』『そりゃア誰れを』『おぬしが仕草を』『アノ、わしが平常を』『見習ったのよ』」
*宝の山(1891)<川上眉山>発端「偶来ませし客人を喜ばすべき仕種も無ければ」
*或る女(1919)<有島武郎>前・一四「それがどうしても少女のやうな仕草だった」
②舞台上の俳優の動作、表情。所作。転じて一般的に、動作、表情。
*安愚楽鍋(1871‐72)<仮名垣魯文>三・上「兎角役者は一文上りでごぜへやすから仕種がよくなって人気が乗ってくりゃア万事ひゐき目が寄ってきやすはネ」
*吾輩は猫である(1905‐06)<夏目漱石>九「鏡を相手に色々な仕草を演じて居る」
日本国語辞典
いいぐさ
【言種・言草】
〔名〕
①口に出す言葉や事柄。また、ものの言い方。
*滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)七・下「ままよ源太におれがならふ。そのかはり、いひぐさは出たらめにやるがいいか」
*人情本・英対暖語(1838)初・四回「何だか言葉がまだほんとうに出来ねへのう。しかし今は女郎衆の言葉がむかしの様ではねへといふから」
*大発見(1909)<森鴎外>「情夫の放浪的な恬然たる言草も好い」
②話題の材料。話の種。語りぐさ。
③言いがかりの文句。また、苦情。
④言い抜けのための口実。いいわけ。
⑤つねづね口にすることば。くちぐせ。
*吾輩は猫である(1905‐06)<夏目漱石>三「弁じますなんか講釈師の言ひ草だ」
*夜明け前(1932‐35)(1905‐35)<島崎藤村>第一部・下・八・六「吉左衛門の言草ではないが」
《引用おわり》
「仕草」は「仕種」「為種」とも書くのですね。「言草」も「言種」という漢字があります。
元は「種」という表記だったのがいつの間にか同じ読みの「草」になっていったのかもしれないなぁと思います。
「たみくさ」は「民種」と書く例もあることから(倭訓栞、古事類苑)、「種々=様々な、色々な」という意味があったのではないか? 「民草」=「様々な人」=「庶民、人民」という意味だったのではないか?
と、以前、私は仮説をたてました。
(江戸時代の学者新井白石も『東雅』の中で私と似たようなことを書いていました。)
「民種」だったのが、「民の草葉」や「青人草」「人草」という言葉と混ざって「民草」になったんじゃないかなぁと。
あくまで素人の仮説です(*´∀`*)