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女子マネ甲子園  作者: ふじふじ
10/15

マネージャー

「あーっはっはっは、複数点ホームラン、複数点よ〜」


狂ったように叫ぶあきらをすずみは一生懸命静止していた。あきらは目をさますとタブレットを叩き壊し、ずっと同じことを叫んでいる。


加賀が倒れ涙目のすずみだったが、そんなこと言ってられない。


「あきら、あきら、もう無理なのよ。あなたがタブレット壊しちゃったから、作戦変更はできないわ」

「なんですって?あたしの!あたしの甲子園は!?」


ダメだ。自分が泣いたりするからあきらの心のへんなトリガーを引いてしまった。こんど自分が心折れたらどうなるかわからない。強くならなければいけないのだ。


すずみはグッと、胸に手を押し当てると。これ以上涙を流さないと誓った。


スコアは6ー3、相手は堅実なピッチングで攻めてくる。こちらが作戦変更できない以上、何か相手のウィークポイントを見つけるしかない。


バント、バント、バント


見えてこない。相手はマネージャーはわざと聞こえるようにメガホンをこちらに向けて叫んだ。


「おーっほっほ。あなたたち、バントしかできないのね。馬鹿の一つ覚え。バントバントバント。こちらは、ボール球で釣るだけよ」


バント、バント、バント


見えてこない。相手マネージャーの取る戦術は隙がなく、どんどんスコアが離されていく。


7-3

9-4

11-5


4点、5点、6点。ついに試合は9回の表。このままでは次の裏に大量得点を取らない限り、冥王星高校は準決勝敗退である。


残されるのは、心が壊れた2年生と、18歳にして大量の婚約者を抱えた結婚詐欺犯。


「ど、どうしよう」


すずみはオロオロし始めたが、もう、どうしようもないのである。


「おほほほ、もうおわりね。部員を手玉に取って今までやってきたらしいけど、万策も尽きたようね」


不死鳥高校のマネージャーは高笑いをした。


「手玉…」


あきらが言った。


「今の相手マネージャーの発言。手玉…のところ、再生して、すずみさん」


「えっ?」


突然我に返ったあきらにおどろいたが、すずみは審判に全方向カメラのビデオ判定の依頼をすると、先ほどのマネージャーの発言を再生した。


ビデオがシュルシュル言う。


「!@#$%…部員を手玉に今まで…%$#@!」


「間違いない」

「何が?」

「あれは男よ」


まさか!神聖なる野球場フィールドに男子マネージャーなんて!すずみは耳を疑った。


「あきら、どういうこと?」

「ほら、あの’手玉’のセリフ時、あのマネージャー」

「確かに、こ、股間に手を当ててるわ」

「あんな動作、女はしない。最後の最後にボロを出したわね」

「あなた、わざと狂ったふりを」

「相手のマネージャーが調子に乗るのを待っていたわ。もし相手マネージャーが男子だとわかれば…」

「私たちの勝ち…!でもどうやって…このビデオ判定を証拠に?」

「それでは不十分ね、決定的な証拠がなければ!…ピッチャー交代!」


あきらはそう告げると、ライトの名手’レイザービーム’横田をピッチャーにした。


「いいこと?牽制球のふりをして、あのマネージャーの前が開くところを狙って、股間めがけて本物リアルボールを投げるのよ」

「あきらさん。あなたのおっぱい、一生忘れません!」

「いいからそれはもう忘れて。あなた、すずみさんの婚約者なんでしょう?」

「わかりました!あきらさん、おっぱいの通りに」


1球目、振り被るふりをして、牽制球!


ドカーン。ボールは一塁側ベンチにものすごい音を立てて飛び込んだ。


本物リアル…どこ投げてるのよ!、ヘボピッチャー!」


不死鳥高校のマネージャーはおもわず前に飛び出して、悪態をついている。


「チャンス」


2球目、走者はいないが一塁へ牽制球。ボールは一直線にマネージャーの股間めがけて…


「パシッ」


わかってないファーストの田口がボールをキャッチする。


「何やってるの!何やってるの!」


あきらは激昂しながらファーストを罵った。


「落ちついて、あきら、いい感じにカモフラージュになっているわ」


不死鳥高校のマネージャーはもう、ベンチの柵に足をかけて、指示を出している。


3球目、全力で投げた牽制球は一塁の田口を超え、相手マネージャーの股間に…


「パシッ」


なんと相手選手がベンチを飛び出てグラブを差し出し、マネージャーの股間の前でキャッチ。ニヤける相手選手。


気づかれた。


もうこうなったらベンチの指示は一つ、あきらとすずみは声をそろえて言った。


「あのマネージャーのスラックスを下せぇぇぇぇ!」


わあああああああ!


ナインとベンチの選手が一斉になだれ込んだ。逃げる不死鳥高校マネージャーを執拗に追いかける冥王星ナイン。


乱闘の末、トランクス一枚にされた、相手マネージャー。完全に男だとばれてしまった。


主審が、判定を告げる。


「えー、乱闘を仕掛けた冥王星ナインも悪いですが、”神聖なる球場”に男子マネージャーを仕立てた不死鳥学園は、球場を汚したとして、この勝負、冥王星高校の不戦勝とします!」


「やったぁ!決勝よ!」


あきらとすずみはハイタッチ。


決戦は、明日。


決勝の相手は、全国一の実力を持つ、私立・帝国エンペラー学園である。

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