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(偽伝)『新たなる明日の始まり』

この話は4月1日のエイプリール・フール企画として書かれた嘘ネタであり、完全な『オマケ話』です。

後書きにもありますが、半熟侍さんの冒険は、異世界にてまだまだ続きます。

では、そういう事で今後ともどうか宜しくお願い申し上げます(ぺこり)

『焔クン、私は君の困っている顔が余りにも可愛いから、それを見たくてついつい君に悪戯をしてしまうんだよ。でも、本当に私が好きなのは君が笑った顔だよ』

・・・俺も貴女には何時までも素敵な『憧れのお姉さん』でいて欲しかったです。


『焔君、生きていれば必ず良い事があるなんてお為ごかしに過ぎないのかもしれない。でも活きていなければ良い事は訪れないんだよ』

・・・俺は貴方にこそ『生きて』いて欲しかったです。


『焔は何だかんだと文句を言っても、それでも誰かの為に戦う強い漢なんだよ』

・・・俺は自分が人間ヒトに見捨てられるが怖くて、人間を見捨てられない弱い男だよ。


 『夢』を見た。

 それは懐かしい『夢』だった。

 そして、二度と現実には見られない悲しい夢だった。

 だから、早くその『夢』に見る懐かしき人々に逢いたかった。


『焔クン……、』

『焔君……、』

『焔……、』


『それでも人間は生きて行かなければいけないんだよ』


 懐かしき三人の『友』が口にした言葉は、皆同じであった。


 俺は胸を刺す痛みに苛まれるように、その『夢』から覚醒した。


 目覚めてみれば、そこは良く見慣れた自分の部屋であった。

 どうやら昨夜ゆうべ疲れて転寝うたたねをしたまま、朝を迎えてしまったようである。

 周囲を見渡せば寝酒としてコンビニで買ってきたビールの空き缶と、そのお釣りとして机の上に置いてあった筈の小銭が床に転がっていた。

 お金を粗末にしてはいけないという祖父母の遺言を守り、小銭を拾う序でにビールの空き缶の方も拾おうと身体を動かすが、その瞬間、頭に激しい痛みを覚える。

・・・この感じ、前にも何処かで!

 後頭部に二日酔いの痛みとは違う別の『幻痛』を感じた。

 視線の先には、中国の幻獣である『麒麟』をラベルに描いたビールの空き缶があり、掌の中には『鳳凰』の絵が刻まれた一枚の硬貨が握られている。

・・・何故だろう。本の少し前に別の場所でコレを見た記憶があります。

 それが何処であるかを思いだそうとするが、どうしても思い出す事が出来なかった。

 必死に思いだそうとするがそれもかなわず、その事に頭を使い過ぎた所為か頭痛が余計に酷くなってくる。

 その痛みに耐えかね思い出すのを諦めた俺は、ふと背後に何者かの視線を感じて後ろをかえりみる。

 向けた視線の先には、窓の外からこちらを見詰める黒と灰色でできた縞々の毛並みを持つ一匹の猫がいた。

 少し釣り上がり過ぎな目の形をしたノラ猫であるの彼女(註・餌で誘って手懐けモフモフした時に性別を確認済み)の事を、俺は『モウちゃん』と呼んでいる。

 その名前の由来は、彼女が猫なのに牛みたいに『もぉ~ぅ!』と鳴くからであった。

 初めてその鳴き声を聞いた時には、その上手な牛の鳴き真似っぷりに大爆笑したモノである。

 そんな鳴き真似上手(?)な彼女に俺が付けた異名は、『師匠』であり『ニャン子大先生』だった。

 朝の挨拶代わりに彼女へと軽く手を振ってみると、何時もの通りに一瞥を返して何処かに去って行く。

 その背中を見詰める俺の心の中に言い知れぬ寂しさが込み上げて来る。

 何がそれを齎す原因かは分からなかったが、何かとても大切なモノを失ってしまったような気がした。

 その喪失感の正体を探ろうと考えれば考えるほど悲しくなり、何時の間にか俺は泣いていた。


『それでも人間は生きて行かなければいけないんだよ』


 失ってしまった筈の記憶の中で無くした、その大切なモノの大きさに打ち震え涙する俺の脳裏に、先刻の夢の中で聴いた言葉が甦る。

・・・確かにそうなのかもしれないな。

 辛い現実を繰り返す日々、それでも人間は前に進む為に生きなければならないのだろう。

 だから俺は前に踏み出す。

 俺を信じ、俺を愛してくれた大切な人達に報いる為に。 

 そう想いを固めて大きく背伸びした俺の身体に窓から差し込む朝日が降り注ぐ。

 それに癒されたのか先刻まで感じていた頭の痛みも何時の間にか治まっていた。

「夢は見るモノではなく、叶えるモノだ」

 祖父の親友が遺した言葉を噛み締める様にして呟き、俺は頬に残る涙を拭いその場から立ち上がった。


・・・もう一度歩き出そう、心に描いた『夢』を叶える為に!

 俺は歩き出す。

 見失った夢を掴み。

 果たせなかった約束を果たす為に。

 そして、失ってしまった大切なモノを取り戻す為に。


・・・先ずは皆の墓参りにでも行くとするか。

 抱いた想いを胸に俺は再び外の世界に踏み出す。

 自分を見守ってくれているであろう者達が眠る場所に赴き、新たに抱いた誓いを告げる為に。

      ・・・これが俺の新たなる出発たたかいだ!

この物語をここまで読んでいただき、誠にありがとうございました(ぺこり)

物語はここで一区切りとなりますが、半熟侍サカキ エンの冒険はまだ始まったばかりです。

必ず近い将来、再び描きたいと思います。

次回からは、可愛いネコ戦士さんが大活躍する冒険活劇、『スィーナの大冒険』が始まる予定です。

こちらもの方も何卒よろしくお願いいたします(ぺこり)


…、……因みに、皆さんは本日が何月何日かご存知でしょうか?

4月1日です。 エイプリール・フールです。

スミマセン、全てエイプリール・フールの企画として企てました『嘘ネタ』です。

半熟侍さんの冒険はまだまだ続きます。お願いします、続けさせてください(ぺこり)

では、今後とも『半熟侍さんは異世界に夢を探しに行きました』をよろしくお願い申し上げます。

                                4月1日 猫流師範

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