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恋煩い  作者:
君の思い出
2/5

2 First Love

駒場糸織(コマバシオリ)は小さな頃から、いやそれよりも前、俺たちがお腹の中に居た頃から一緒に居た。糸織は先に夏に生まれ、俺は半年遅れて冬に生まれた。家が隣同士で、それから一緒に大きくなって、家族のように育ってきた。毎日、登下校も同じ、休みの日もお互いの家に行き来した。同級生にからかわれる事もあったが、俺たちは気に止めなかった。俺の中の1番の友達は糸織であり、糸織の中でも俺は1番の友達であったに違いなかったからだ。


小学校を卒業する頃だったか、糸織が好きな人がいるのかと俺に聞いてきた事があった。俺はまだ恋愛に対しては無関心であった。糸織はもしもいるのなら、糸織と一緒に居ない方が良いと言った。俺を好きになった女の子がいたらしく、その子が糸織と話をしたと後から聞いた。糸織は小学生なりに、俺に気を遣ったみたいだったが、俺は糸織と一緒に居られなくなるのなら、好きな人なんて要らないと思った。


中学に入っても、クラスは違ったが、登校は共にした。下校は部活の連中とお互い帰った。糸織のいない帰り道は、部活の友達とバカみたいに笑っているというのに、少し寂しかった。たまに帰る時間が同じになり、糸織が部活の友達と帰っているのを見る事があったが、糸織はいつもの笑顔でニコニコとしていた。寂しいのは俺だけなのだと思うと、尚更寂しくなった。

俺はバスケ部に、糸織はテニス部に入った。テニス部には、学年一のイケメンがいた。その事が俺を悩ませた。イケメンであるだけならいいが、男女ともに優しく、学級委員長も任され、テニスは上手い。まさに、完璧な男だった。名前を実咲薫(じつざきかおる)と言った。

2年に上がって少しして、実咲のことを糸織が好きだという噂が流れた事があった。噂を耳にしてから、俺は毎朝、学校へ着くまで不思議な気分に浸るようになった。今までそんなこと考えたことはなかったからだ。クラスには付き合っている男女が出来始め、糸織もそんな風に付き合うことになるかもしれない。そうしたら、一緒に登校することも出来なくなるし、糸織とは距離を置かなくてはならなくなるだろう。考え事をする俺を他所に糸織はいつも隣で楽しそうに俺に話していた。

ある日、いつもの登校の時間、部活の話をしている時に、あいつの名前が出てきた。俺は突然、糸織の声が上手く聞き取れなくなった。俺は糸織に合わせた歩幅を崩して、糸織を置いて一人で学校へ足を進めた。俺を呼び止める糸織の声も、もちろん届かなかった。あんな気持ちは初めてだった。心が苦しくて、言葉が出なくなった。糸織とは次の日から別々に登校するようになった。

その時、俺の初恋が始まったのだ。

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