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ドリームドール  作者: ゆうゆう遥か
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ぬいぐるみの噂

皆様こんにちは。

今回はファンタジックなアクションに挑戦したく

小説を書きました。

ぬいぐるみと出会うまでの話です。

週末のデパート、特にオモチャ売り場は、親子連れでごった返している。

きゃっきゃっ、ガヤガヤと子どもの声に大人の声。

私はその中を一人で佇んでいた。

私の名前は、花山遊那はなやまゆうな

私は此処に、ある商品が目当てで探しに来たのだ。

商品がズラリと並んだ棚を、一つずつ確認する。

すると、ドンッと、肩に男の子がぶつかって来た。

男の子の手にはオモチャの飛行機が握られており、走りながら遊んでいたようだ。

みるみる目に涙を溜め、父親の名前を呼びながら傍を離れて行った。

「男が泣くんじゃないよ」

そんな母からの受け売りの言葉を呟く。



遡ること2日前。

小学校の保健室に私は先生と二人でいた。

「どうだい?最近は」

「‥‥‥眠れません」

ベッドで横になりながら、カーテン越しの先生に言う。

先生はペンを走らせながら

遊那ゆうなさんに教えたい事があるんだ。なに、医学的効果がある訳でない、

ただのおまじないだがね」

含みのある言い方に、イラッときて

「勿体振らずに早く教えて下さい」

「ごめんな、とある知人から聞いたんだが安眠できる方法があるらしい。

ある ぬいぐるみを抱いて眠ると、良い夢を見ながら、ぐっすり眠れるそうだ」

それを聞いた私は、ガッカリした。

なんて子ども騙しな話。

「君のよく見る悪夢も、もしかしたら見なくなるかも」

「‥‥言わないで」

思い出したくもない。

私は布団の中に潜り込む。

その様子に気付いた先生は、作業をやめてベッドに近付く。

「開けていいか?」

シャッとカーテンを開けて中に入ると、隣にしゃがむ。

「大丈夫。いつか怖い夢を見ずにゆっくり眠れるから」

「それはいつよ」

「今日かもしれないし、明日かもしれないな〜」

あははと呑気に笑いながら、布団越しに私を撫でる。

布団の隙間から先生の顔を覗き見ると、優しい目をしていた。

だんだんと、眠気がやって来る。

私はこの先生の傍じゃないと少しも眠れない。

故に保健室登校になっている。

しばらく仮眠が取れた私は、伸びをする。

気付くと先生は居なくなっていて、少し寂しい。

時計を見ると、給食時間だった。

給食はクラスに戻っていつもとるのだが、クラスメイトからの奇異なものを

見る視線に耐えて食事している。

「給食だけ食べに学校来てるんだぜ‥‥」

また今日もヒソヒソと、話し声が聞こえてくる。

全く、よく飽きないよね。

その時、女の子達が輪になってある話題を話していた。

「あのぬいぐるみ欲しいよね〜。素敵な夢が見れるんでしょ」

「知ってるよ〜。でもどこに売ってるのかなぁ」

まさか、さっき先生が話してくれた例の噂か。

私は食事を終えると、詳しい話を聞く為、先生を探しに教室を出た。



そして現在、私はオモチャ売り場をかれこれ1時間も探している。

無い‥‥。

売り切れたか、もとより売ってないか。

諦めかけた時、ゴトンッと音と共に、足元に落ちた何かが転がっている。

それは1つの箱だった。

恐る恐る拾って見ると、

「あった。これだ‥‥」

箱に貼ってあるラベルには、『ドリームドール』と書かれている。

不思議な運命の巡り合わせで、それを手に入れた私は、この時まだあんな事に

巻き込まれるとは思っていなかった。


購入し帰宅した私は、いつものように自分の部屋へ一直線に向かう。

母は恐らく居るのだろうが、家の中は静まり返っている。

包装紙を破き、箱を開けようとして手を止める。

今、箱の中が光ったような。

‥‥気のせいだよね。

躊躇いなく、箱からぬいぐるみを取り出す。

それは犬のようだが、左腕が棒状で手袋をはめており、右腕は普通で肉球が付いている。

サイズは私の顔くらい。

スッと左腕の手袋を外して見ると、バズーカが左腕と一体化している。

犬のつぶらな瞳とバズーカが、どう見ても不釣り合い。

肉球を触ってみる。プニプニぷにぷに。

「意外に気持ちいい‥‥」

先生の話によれば、このぬいぐるみを夜、月の光に照らして、水をちょっぴり鼻先に

付ける。

そしてぬいぐるみを抱いて布団に入れば準備完了だそうだ。

「夕飯よー」

階下から母の声がしたので、私はぬいぐるみを残し部屋を出た。

息が詰まりそうな母と2人きりの食事。

父がいた頃とは、まるで違う。

私も、母も、あの時から変わってしまった。

食器と箸が触れる音と、咀嚼音だけが台所に聞こえる。

母は俯きながら、ひたすらに箸を口に運ぶ。

私も無心で食べようとするが、母の暗い表情が気になって仕方ない。

「今日は、何か買い物へ?」

ふいに私に聞く。

「えっと‥‥ぬいぐるみを」

それだけ答えると、母は深く追求せずまた食べ始める。

沈黙が只々流れる食卓。


部屋に戻るとカーテンを開けて、窓辺にぬいぐるみを置く。

今夜は満月だ。

数分間、月の光を浴びせ水滴を鼻先に付ける。

「これで良いのかな?」

ぬいぐるみを持って、ベッドへ向かう。

抱き心地は、まずまずだ。

布団の中で、ぬいぐるみを抱き締める手に力を込める。

先生を信じるよ‥‥。

そっと瞼を閉じる。

どのくらい時間が経っただろう。

やはり眠れない。

「この、ワンこうめ」

苛立ちをぬいぐるみにぶつけるように、肉球をつねる。

ぬいぐるみは知らん顔して、ポーカーフェイス。

「また今日もあの夢しか見れないのか‥‥」

そう呟く自分が、急に弱々しく感じた。

次第に瞳から涙が溢れて、

「お父さんごめんなさいごめんなさい‥‥」

と震え声で繰り返す。

「先生、助けてぇ‥‥」

絞り出すように言った時、抱き締めていたぬいぐるみが喋った。

「苦ちい、離せ」

溢れ出している涙は驚きのあまり止まった。

腕から抜け出そうともがきながら、

「あー、肉球が何やらヒリヒリするぜ。君の仕業かッ⁈」

「なんだ、私寝れたんだ。これは夢の中ね」

「ちがーう‼︎この涙が証明だ」

鼻先の雫を私に見せる。

成る程、水は水でも涙が必要だったのだ。

「えぇと、よく分からない事になってるけど、早く良い夢を見させて

ちょうだい」

「グゥ、我にあまり驚かない人間は始めてだぞ」

悔しそうに顔を歪ませると、可愛い顔が台無しだ。

ゆっくりと腕の力を緩めようとすると、

「構わん。そのままで。願い通り、夢を見せてやるぞ‥‥」

ふわっと一陣の風が私を通り過ぎる。

気付くと、そこは‥‥‥






















犬のぬいぐるみは、強気で偉そうな性格にしました。

主人公ちゃんと、衝突しそうですね。

次回もよろしくお願いします!

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