――二人組――
第二話 「――外――」
世界観の共有のため、Twitterで敵キャラなどの画像を貼っています。
物語がさらに楽しめると思います 興味のある方は→@Makaron_narou
第2話の出現敵2体を載せています→@Makaron_narou
全身黒ずくめの装備に身を包んだ冒険者は、詠唱を終えると
その蒼き剣を一振りし、鞘にしまった。
同時に、周囲に氷の破片が飛び散る。
「大丈夫か?メイジ」
冒険者が差し出したその手は、赤い紋章がついた手袋に包まれていた。
「だ、大丈夫です。」
そういって僕は自分で立ち上がった。
「死ななくてよかったな、範囲魔法なんてめったに使うもんじゃないぜ」
そう冒険者は諭すように言った。
「でもでも~ フィアは範囲魔法大好きだけどね~」
いかにも魔法職といった感じの黒い三角帽を被った女の子が
たくさんの宝石がはめ込まれ、紫色のオーラを発する
ロッドを振り回しながら歩いてくる。
さっきの氷結魔法はこいつが・・・?
よっぽど魔力に自信があるんだろう。
「冒険者さんは何て名前~?」
そういうとフィアは俺の顔をみる。
俺の目にフィアの目が映り、その目は青く輝いていた。
フィアがこっちを見ながらニコリと笑う。
その瞬間、俺の意識の中に何かが入ってきた。
<<疲れのせいか・・・? いや、これは何か違う。>>
自分の心の中に手を伸ばされ、撫でまわされるような感覚。
無数の手が俺の心の中を自由に動き回り、もてあそぶ。
<<心の中を・・・全てみられるっ・・・>>
と、思った瞬間、この嫌な感覚はなくなり、
意識の外へと出ていった。
「うっ・・・何を・・・」
「リアムさんかぁ~ よろしくねっ♪」
俺はふらつきながらフィアの言葉を聞いていた。
解放されたのはいいが、どっと疲れが来る。
「おいフィア、それはやめろって言っただろ。」
「でも、この人結構まともな魔力あるよ~?」
俺は状況が呑み込めず、必死に理解しようとする。
この女の子が魔術を使ったのか?・・・
この二人組は敵なのか?それともただの冒険者?・・・
わからないことだらけだ。
「ごめんな、驚かせてしまって、名前を聞いた以上、
こっちも名乗らなきゃな 俺はグリードだ。よろしく」
いや、俺名前言ってないんだけど、勝手に見られたんだけど・・・
「フィアだよ~かわいくてつよい魔法使いなんだからっ!」
いまさらそんなあざとい顔されても、まったく興味はない。
第一印象最悪、まぁ魔法使いは変人ばかりだし仕方ないか・・・
「リアムです、魔法使いやってます。」
「あの~お二人はパーティなんですか?」
「まぁ、そんなところだな。」
「なぜこんな街エリア外すぐの場所にいるんですか?」
「リアムこそなんでこんなとこにいるのさ、もしかして知らないの~?」
フィアがニコニコしながら口を開く、とてもイラつく。
そんなフィアを遮るようにして、グリードが喋り始める。
「ここは、たまにさっきのホウオウみたいなレアモンスターが出現するポイントなんだ。レアドロップを落とすことがあるんだよな。」
「今回も何もとれなかったけどね!」
「まぁ、ほかのパーティに狩られなかっただけいいだろ。」
「そういえば今日ほかのパーティがいないね~」
ふふん、フィアはどうやら知らないようだ。
ここ、マリアフォードでは、この時期になると周囲のアウトサイドを使った
ランキング型大型狩猟イベント、[エリアレイド]が開かれる。
一年に一度のお祭りのようなイベントで、一日を通しパーティの総狩猟数がカウントされ、
その上位4パーティがその三日後、このエリアのアウトサイドのレイド級ボス4体とそれぞれ
対決し、一番早く倒したパーティが優勝、超お宝武器を得る。
エリアレイドの最中はマリアフォードは常にお祭り状態、それぞれのパーティが
全力でモンスターを狩るこのイベントは冒険者全員が熱中する。
「フィアは何にも知らないんだなぁー」
「知ってるし!」
「エリアレイドのことも?」
「エリア・・・レイ・・ド?し、知ってるし!」
「じゃあ今年の優勝賞品はなんでしょうか。」
今年の優勝賞品はレア度でいうなら最高ランク、そしてその性能も申し分ないらしい。
<<失われし武器・ティルスレイヴ>>
相当古くに打たれ、いまだ錆びることもなく残り続けているらしい。
一説では悪魔の武器として恐れられているとか。
「う、う~ん なんかの武器!」
「いやまぁ武器だけど・・・今年のはティルスレイヴ!」
一瞬グリードがこっちを向いた。
「それ剣だし! フィアは杖がいーの!」
「おいおい、フィアはめちゃくちゃいい武器もってるじゃないか。」
こんなところで宝石がはめ込まれた杖なんて存在しない。そもそも杖なんてあまり作られないし。
「じゃあグリード、ティルなんとかってやつ使わない?」
フィアが手持ちの武器を見ながら考え込んでいるグリードに話しかける。
「グリードさんはやっぱり剣士だったんですか!
さっきの一振りすごかったですね~」
「"さん"付けはやめてくれ、リアム、それに俺は剣士じゃない。」
「そうだよ~ グリードは二刀流なんだよ~」
二刀流・・・?
-キャラステータス-
名前:フィア・S・シュルツ
職業:高位魔法職?
性格:お茶目
魔術:大好き
剣術:体を動かしたくない