――不遇たる所以――
第一話 「――不遇といわれる所以――」
ここはマリアフォード、たくさんの冒険者が暮らし、拠点にしている街だ。
「そこのヒョロいの、精々死ぬなよ、ガッハッハッハッハ」
「装備もまともにしてないような奴がアウトサイドにねぇ・・・」
そう、よほど物好きな鍛冶屋ギルドでもこんな職の装備など作らない。
「せめてパーティは組めばいいのにねぇ・・・」
こんな職を拾ってくれるパーティがあるもんか。
「あぁぁぁもう! こんなんならプリーストにでもすればよかったぁぁぁ!」
そう、すでに悪いこと、デメリットしかなかった。
この世界は近接職がトップメタ、いわば環境を支配している。
それ以外の職は頼られるどころか煙たがられ、もちろんパーティにいれてもらえることもない。
そして俺の職業は・・・「メイジ」
完全に終わってる。オワコン、マイナー職だ。
俺がそんな職業を選んだ理由はただ一つ、高位魔法の圧倒的ダメージだ
だからこそこの職を選んだのに・・・
高位魔法はおろか低位魔法さえ少ねぇじゃねぇかぁぁぁ
周りの目はあまりに冷たく、メイジなどは仲間にも入れてもらえなかった。
「せめてまだシーフにするべきだったかなぁ・・・ ハァ」
「いやいや、俺がメイジの強さを見せつけるんだ!」
そう、ついに来たこの日、俺は街を出て、アウトサイドモンスターをド派手に討伐するのだ。
もちろんソロで、周りの冒険者にメイジの強さを見せつけてやる!
と、思っていた・・・