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燐光集わす深藍の石玉

 



 (アインス)は土 (ツヴァイ)は水

 (ドライ)で磨き (フィーア)で願う

 魔石と清石が創る(ニヒツ)

 宝石(レルーヴァ)の宴 雪花を一片


 落ちる雫を水で払い

 炯眼の石に視線を送る

 偉大な透明 即ち硝子

 砕き混ぜるは燐光の素


 絡める銀粉に満つ器

 月光の夜想曲(ノクターン) 風玉を一つ

 いずる(フュンフ)の休息時


 始原の(リヒト) 瞬きは(クリンゲ)

 拍子(タクト)の先 (フィーア)の祈り

 古代の力と魔法の円舞曲(ヴァルツァー)

 (ニヒツ)の昇華 其は錬術と化す


 青光溢れる水源に満たし

 純白で飾られし布を伏せる

 白銀の宝玉 即ち風力

 浮かぶ光玉は青に輝く


 天に捧げる最後の(フィーア)

 沈黙の終独奏(カデンツ) 深き藍の煌き

 かざす手に乗る錬金物


 祈願成就 天に捧ぐ




 今回の初めに用意する物は、清浄なる土。次は、水。清水。

 元となる石をそれらで磨き、そして力を込めて願う。

 集めた魔石と清石を交互に並べ、そこに様々な宝石と雪の一欠けらを加え、魔法陣を描く。

 清めた石の水を切り、竜眼石の前にかざしてみる。

 澄んだ色をくすませなければ、この段階までは成功。

 透明なガラス板を砕き、これを燐光の素とする。

 その粉を満たした器に、窓から月光を送る。

 そこに風属性を宿した石を一つ、入れておく。

 今夜の作業はこれでお終い。


 目覚めに伴い、石を陽光で浄化する。加えて、短剣で小さな傷を、石に刻み込む。

 集中のために少し間を置き、そして再び、力を込める。

 すでに失われたはずの、古代の力と、風の魔法を石に込める。

 魔石と清石の魔法陣の上で、石に力が宿ってゆく。

 力を込めた石を、魔石を沈めた水場に沈め、穢れ無き布で覆い隠す。

 ガラスの粉と月光で清めた風の玉をとりだし、石を覆った布の上へ。

 魔法の融合の成功に伴い、青い燐光が布を抜けて浮かんでは消えてゆく。

 最後にもう一度力を込める。

 黙したままの願いには、石が深い色を魅せることを。

 そっと外した布の奥。出来上がった作品を手に持ってみる。


 深い藍の石玉を中心として、青い燐光が浮かび上る神秘の形。


 今回もまた、成功をそっと、天に告げた。



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