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好きだって、言った。

俺には幼なじみがいる。小さな頃、それこそほんとに記憶が曖昧なくらい小さなころ、俺はこの街に引っ越してきた。出会ったときのことはあんまり覚えていない。

 幼なじみの、佐々木良子。良子は気づいたらそばにいた。その頃の俺は思い出せる程度でも手の着けられない暴れん坊だった。でも良子は俺のそばにいた、といっても全然いい話とかはない。

 きっと良子はよそ者で後からきた俺を子分と思っていたのだろう。俺にああしろこうしろあれをするなと制限してきた。当然むかつくのでそれに反発するが、良子は当然のように俺と殴り合ってでも言うことを聞かせようとしてきた。

 他の男相手には喧嘩できたが、さすがに一回り小さい良子には本気では……と考えるほどの知能がなかった俺は毎回本気で良子をボロボロにしたが、所詮お互い幼児だ。体格さよりも根性のある方が勝つ。良子は鼻血をだしても俺を殴るのをやめなくて、その気迫が怖くていつも俺が負けるのだ。それでも懲りずに毎日喧嘩していた。

 性別なんてあってないみたいなもので、俺にとって良子は口うるさいがなんだかかなわないし、何だかんだ良子の言うとおりにすれば誉められる。素直に言うことを聞くのは嫌なので反発するし喧嘩はするが、頼りになる友達だった。


 それが変わったのは小学生になった時だ。いつものようにうるさく言ってくる良子に、いつものように少し喧嘩しようとすると、良子は何故か俺を殴らずこういった。


「剛君は男の子で、私は女の子なんだから、暴力はやめて」


 言われて初めて、良子が女の子だと気づいた。

 良子はそう言われて見れば小さくて、足も遅くて力も弱い。守らなきゃと思った。そう思ってから接してしばらくして、気づいたら俺は良子を特別に好きになってた。


 良子に好かれるにはどうしたらいいか、俺は頭がよくないなりに色々考えたが、ちっともわからない。

 勉強は苦手だし、良子に頑張って教えてもらってやっととれたいい点数も、それくらい当たり前だと言われる。まぁそれでも褒めてくれるし嬉しいけど、それで良子にアピールできてるとは思えない。

 隣町の小学校のボスに喧嘩でかっても、学校中の男子が俺をたたえたのに、良子は俺を馬鹿だと怒鳴った。

 頭を使っても体をつかっても、良子に俺を見直させることができない。どうしたもんか。とりあえず何でも頑張ってみることにした。手あり次第に頑張って一番をとれば、いつか良子も俺を好きになるだろう。


 そう思って、頑張ってきた。それが報われたのは高学年の運動会。リレーのアンカーで一番になった俺。

 いつものように笑顔で報告すると、何故が良子は真っ赤になっていて、戸惑ったように、良子らしからぬ歯切れの悪さで俺を褒めた。

 その日から良子は急に俺に対して照れたり赤くなるようになった。理由はわからないが、良子は運動会を切欠に俺を意識してくれたらしい。

 とても嬉しいが、今までは良子が俺を眼中にないからがむしゃらに恥も外聞もなくアピールしてきたが、いざ、良子が意識してくれると、恥ずかしい。

 もの凄く恥ずかしくて、今まで平気で一緒にいようとか言えたのに、いえなくて、手を繋ぐのもできなくなった。

 良子も俺を好きになってくれたはずなのに、なんで余計に遠くなるんだと思ったけど、でも良子の赤い顔を見るだけで、凄くドキドキしてたまらない気持ちになるから、どうしようもない。

 好きだと言って、特別な関係になりたかったけど、でも気恥ずかしい。それに意識はしてくれてもどこまで俺のこと好きと思ってくれてるか自信がなくて、今の関係を崩すのが怖くて、俺は告白できないまま、時間がたった。

 時間がたつほど、まだいいかと思う気持ちが強くなる。意識されるだけで嬉しくて、一緒にいれるだけで楽しくて、十分だった。


 その気持ちに終止符をうったのは、隣のクラスの友達の言葉だった。


「佐々木って、結構可愛いよな」 

「そ、そうか? 良子なんて、口うるさいしお節介だぞ」


 嘘だ。優しくて、放っておけないだけだ。恥ずかしがり屋で、心にもない強がりや強い言葉を言うけど、すぐに嫌われないかと不安になる、そんな可愛い女の子だ。

 だから、俺以外のやつが良子を好きになっても全く不思議ではない。なのに、その可能性に気づかなかった。いや、意図的に考えないようにしていたのかも知れない。


 良子が俺以外の誰かと付き合うなんて嫌だ、まして俺以外の誰かと手を繋いだりキスをするなんて考えただけで殺意がわく。


「お、おい剛? お前顔恐いぞ?」

「いいか、よく聞け。良子は全然可愛くないし、うざい、いいな?」

「わ、わかったよ、佐々木はブスだ」

「はぁ!? 誰がブスだ! 超然可愛いだろうが! お前マジでぶっ殺すぞ!?」

「どうしろってんだよ!? 別に佐々木にどうこうする気はないっての!」


 とにかく俺は良子に告白することに決めた。これ以上ぐずぐすしてられない。

 俺はさっそくその日の放課後、良子を手紙で呼び出した。


「お待たせ、剛君」


 どこか照れたようにはにかみながら、良子は視線を泳がせる。何を言うか見透かされてるのかも知れないと思った。

 でもそうだとしたら、恥ずかしいが、こうして来てくれた良子の態度は色よい返事を期待できる。


 俺は勇気をだした。


「好きだ」


 余分な言葉は出てこなかった。前から、どう告白すればいいかとか考えたことはあるけど、そんなのは出てこなかった。

 良子は真っ赤な顔をして、じっと俺を見ている。可愛い。すごく可愛い。ああでも何とか言ってくれよ!


「よ、良子、黙るなよ。俺、本気でお前が好きなんだ。恋人になってくれよ!」

「う、うん」


 不安でたまらなくて泣きそうになりながらもう一度言うと、良子は頷いた。え、まじで? まじで? 嘘じゃないよな?


「ほんとか? 良子も俺のこと好きなんだな?」

「うん」

「やったーー!!」


 嘘じゃない! 夢じゃない! ずっと、もしかしたらと思ってた。でも確信も勇気ももてなくてぐだぐだしていた。でもついに、良子と恋人になったんた!













一週間以内に続き書くのが目標です。

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