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徳川埋蔵金の謎  作者: 伊吹 由
第4章  最後の戦い
40/45

第39話  絶体絶命

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 慎吾のスピリチュアル事件簿 First season


      「徳川埋蔵金の謎」 


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前回までのあらすじ


2012年4月。大学生となった慎吾は、大学の講義で1つ上の先輩リナと出会う。課題のため、TVSへ訪れた2人は【徳川埋蔵金の謎を追え!】の観客として番組収録に参加した。


収録後、慎吾は黒ずくめの男等に誘拐される。誘拐を指示したのは、番組プロデューサーの糸見。さらに娘を人質に取られた霊能力者・江浜も糸見側につき、慎吾の前に現れた。


リナはTV局に侵入し、慎吾を救出。さらに誘拐された江浜の娘・あんずも救出した。江浜はリナ達を逃がすため、身代わりに捕まってしまう。


敵とコンタクトをとった慎吾は、江浜とひき替えに徳川埋蔵金を差し出すと交渉。埋蔵金を見つけられぬまま、慎吾達は糸見の息子・小太郎を赤城山へと案内する。


糸見の体に乗りうつった風魔小太郎の霊は・・・埋蔵金を見つけられぬ慎吾達を襲い始めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第39話  絶体絶命


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小太郎「・・・ ・・・」


糸見の体から出た、風魔小太郎の霊は・・・3人を静かに見つめた。


小太郎「ふ・・・ 元々、この体では・・・

     力の半分も出せなかった・・・」


妖しい光沢を放つ、妖刀村正を肩にポンと置く。


慎吾「!?」


刹那、小太郎は3mを越す大ジャンプを見せた。向かった先は・・・リナ。


リナ「・・・ ・・・」


冷静に両手でワイヤー型スタンガンの銃口を・・・飛んでくる小太郎に定める。しかし小太郎の体は、空中で物理に反する動きを見せた。


突如リナの手前で、彼の体は右へと方向転換。着地するとリナの左側から、向かって走っていく。


リナ「同じ手は・・・」


先ほどと同じ動きをする小太郎に対し・・・


リナ「通用しないっつーの!」


リナはすぐに銃口を向け直し、引き金を弾く。


小太郎の顔面に、ワイヤーの先が命中した・・・


リナ「よし!」


と思った瞬間、そのワイヤーは彼の体を通り抜けていった。


小太郎「ふ・・・」


リナ「な!?」


小太郎「一人目!」


小太郎が言葉を発する直前


あんず「・・・ ・・・」


リナと小太郎の間に、あんずが立ちはだかる。その手には力強くパワーストーンが握りしめられ、小太郎に向けてその拳を差し出していた。


あんず「唵!」


握りしめたパワーストーンから、父親譲りの光の剣が現れる。そして迷わず、小太郎に振り抜いた。


小太郎「む!?」


その太刀を、村正で受け止める小太郎。


小太郎「ふ・・・父ほどではないな。非力なり!」


あんず「っく・・・」


小太郎は、あんずの太刀筋を力で押し込んだ。


慎吾「・・・ ・・・」


小太郎の背後をとった慎吾は、光の円盤で攻撃する。


慎吾「お・・・ おん!!」


小太郎は慎吾に背中を向けたまま、村正を左手1本で握り直し・・・右手の平を慎吾に向けた。


小太郎「むぅんん!!」


気合いの声と共に、慎吾とあんず、そしてあんずの後ろにいたリナも一斉に3mほど飛ばされた。


慎吾「うわ!!」


あんず「っく・・・」


リナ「きゃー!!」


背中から着地した慎吾は、痛みをこらえてすぐに態勢を整える。


慎吾「ハァ・・・ ハァ・・・」


そして、小太郎を睨んだ。


慎吾「はぁ、はぁ・・・ 霊力が・・・ 強すぎる・・・」


小太郎「ふ・・・ 死への恐怖を感じるか?」


吹っ飛ばされたあんずは、綺麗に足下から着地。背後で倒れているリナの無事を確認する。


リナ「いった・・・ なんで、私はあいつへの攻撃出来ないのよ!?」


リナは強打したお尻をさすりながら、大きな声を吐き捨てた。


あんず「霊は光のようなものだと、父が・・・。

     霊エネルギーならば攻撃できるのですが・・・」


リナ「じゃぁ・・・ 私、無力じゃん! やっべーな・・・

    それにしてもあいつ・・・


    人の体にいた時より、戦闘力上がってるじゃない」


あんず「えぇ・・・霊そのものの方が・・・

     本来持ってる能力を引き出せますから」



・・・ ・・・。


慎吾「おん!!」


持てるエネルギーを振り絞り、慎吾はさらに大きな光の円盤をパワーストーンから出現させた。


慎吾「はぁ、はぁ・・・」


小太郎は女2人に一瞬視線をやるも、すぐに慎吾と向き合う。


小太郎「いいだろう・・・長年の恨み・・・ 今、はらさん!!」


再び大ジャンプを見せると、今度は慎吾の方に襲いかかった。


慎吾「はぁああ!!!」


慎吾は気合いと共に、持てる霊力をパワーストーンに送り込む。すると、円盤状の青白い発光体が5枚出現。


慎吾「おん! おん!! おん!!!」


それを小太郎に向けて1枚ずつ放っていった。


小太郎「ふん! 霊力だけは一流だが・・・

     力の使い方は修行されておらんな!」


小太郎は1枚1枚円盤をよけ、確実に慎吾との間合いを詰めていく。



・・・ ・・・。


リナ「じゃぁ、何故今まで人の体に憑いてたのよ!

    霊の方が楽でいいじゃん!」


あんず「人の体に憑いてる時は、その霊核が人体に潜り込みます。

     でも、今なら・・・霊核がむき出しになっているはず。


     万が一、霊能力を持った者に襲われた場合・・・

     それは危険な状況となります」


リナ「でも、あれだけ攻撃力あったら・・・ 霊でも十分。

    ちょっと待って!」


何かに気づいたリナ。


リナ「霊核って・・・破壊したら霊自体も消え去るっていうヤツっしょ?

    ど、どこよ!? その霊核って場所は?」


あんず「普通の霊は心臓の位置ですが・・・」


リナ「心臓ね!」


あんずは、慎吾と戦っている小太郎の方を見た。


あんず「いえ・・・ 彼は場所を変えているようです・・・」


リナ「じゃ、じゃぁ・・・ その場所、どうやって見抜くの!?」


あんず「よく見ればわかると父は言ってました。

    霊核は他の部分と違って、かたまりのようだからと。


    でも・・・ 私にもどこだか・・・」


リナ「と、とにかく・・・

    霊核の位置さえわかれば・・・


    あいつをぶっ倒せる事は確かなのね・・・」


リナもまた、小太郎の霊核を探ろうと・・・じっと男達の方を見つめた。



・・・ ・・・。


小太郎が振り下ろした妖刀村正の刀身を、慎吾は光の円盤で受け止めた。


ガキィン!!


慎吾「ぐぅ!!」


小太郎「どうした? 汗をかいてるぞ?」


涼しげな表情の小太郎は、力で慎吾を押しつけていく。


慎吾「ぐぐ・・」


歯を食いしばって耐える慎吾に、あんずが助太刀に入った。小太郎の背後から忍び寄り、光の剣を横から一閃。


あんず「唵!!」


小太郎「ふん・・・」


目で見ずともあんずの気配を察知した小太郎。コマのように高速で1回転しつつ、村正を振り回した。


ガキィン!!


あんず「っく・・・」


あんずもまた、攻撃を受け止めるのがやっと。またしても数m吹っ飛ばされた。



・・・ ・・・。


リナ「あの霊が・・・素粒子の波のような物だとして・・・

    打撃を与えられるわけがない・・・


    波にパンチしても無駄なように・・・」


小太郎と間合いをとって、打開策を見つけようと必死になるリナ。


リナ「霊核が固体のような物だというなら、振動が少なく・・・

    ならば他の部分より・・・


    物理的な動きが遅れて見えるかも・・・」


自らの仮説を立て、目を凝らして小太郎の動きを見た。


リナ「・・・ ・・・」


赤いメガネの奥から、鋭い視線を小太郎に突き刺す。


リナ「み・・・ 見えた!!」


そして、霊核と思われる場所を見つけた。


リナ「た、多分・・・ あそこね。

    で、でも・・・ どうやって、あんな化け物相手に?」



・・・ ・・・。


尻餅をついた慎吾とあんずに、小太郎は笑みを浮かべる。


小太郎「ふふふ。霊能力があると言っても、まだまだ子供。

     こうも力に差があっては・・・話にならないな」


村正をポンと肩に置く小太郎。


リナ「・・・ ・・・」


その動作をリナは見逃さなかった。


小太郎「そろそろ・・・ 死ぬ時間だ・・・」


小太郎の言葉を、リナがさえぎる。


リナ「慎吾!」


慎吾「!?」


リナの方を見る慎吾。リナは真上を指さし、合図を送った。


リナ「鍾乳石よ! あんたの円盤で・・・

    私の真上の鍾乳石を切り落として!!」


小太郎「・・・ ?」


小太郎はリナの方へ視線を移した。


リナ「早く!! 鍾乳石に円盤を!!」


小太郎「・・・ ・・・」


最初不覚をとった相手に、少しばかり嫌な予感を感じた小太郎。


小太郎「・・・ ・・・」


攻撃の方向をリナへとチェンジした。


小太郎「貴様は・・・なかなかやっかいな相手だった!」


小太郎は、リナに猛然とダッシュしていく。


リナ「早く!!」


慎吾「は、はい・・・   おん!!!」


慎吾は気合いを込めて、パワーストーンから出した光の円盤を・・・ブーメランのように、リナの真上の天井めがけて投げつけた。


スパパパパ・・・・


円盤はリナの真上にある7本の鍾乳石を切り落とした。そしてそれらはリナに向かって落ちていく。


あんず「リナさん! よけて!」


リナ「・・・ ・・・」


リナは迫り来る鍾乳石に目もくれず、じっと小太郎の動きを見ていた。そして再度ワイヤー型スタンガンの銃口を小太郎に向ける。


小太郎が村正を振りかぶるより早く、鍾乳石がリナを襲ってきた。


リナ「・・・ ・・・」


リナは微動だにせず、銃口を狙いに定めている。7本の鍾乳石は、はかったようにリナの体・・・前後左右スレスレを通り過ぎ、地面に突き刺さった。


慎吾「!?」


一瞬動きを止めた小太郎だが、鍾乳石ごと切り裂かんと再度村正を振りかぶる。


リナ「そう動くと思ったわ!!」


目の前で振りかぶった小太郎の右肩目指して・・・ 引き金を弾いた。


小太郎「む!?」


リナの放ったワイヤーの先は、狙った所に突き刺さる。


小太郎「ぐ!?」


リナ「やった!!」


先ほどのように通り過ぎず・・・ワイヤーの先端は小太郎の肩に刺さったまま。リナは霊核を直撃したと確信する。


ワイヤーを通って、高圧電流が・・・


小太郎「ぐ・・・ ぐぁああああ!!!!」


小太郎の右肩に流れていった。


リナ「よ・・・ よし!」


攻撃が効いてることで、勝利も確信したリナ。しかし・・・


小太郎「ぐぐぐ・・・ ・・・」


大粒の汗を数滴垂らした小太郎は、左手でワイヤーの先を抜き取り・・・


小太郎「・・・ ・・・」


リナを凝視する。


リナ「あ、あれ・・・?

    強制的に天に召されるんでしょ・・・?」


小太郎「ハァ・・・ ハァ・・・」


呼吸を乱した小太郎は静かに口を開いた。


小太郎「敵ながら見事よ・・・ だが・・・

     私の勝ちだ!!」


そういうと大きく村正を振りかぶった。


小太郎「貴様のような知将・・・

     戦国時代でも数えるほどしかいなかった。


     その見事な戦術に免じ・・・

     苦痛無く一瞬にて切り捨ててやろう!!」


リナ「ちょ・・・」


小太郎の背後から声がとぶ。


あんず「危ない! リナさん!」


慎吾「リナ先輩、よけて!」


慎吾もあんずも、小太郎を中心にリナとは反対側にいる。


リナ「う・・・ 動けな・・・」


地面に突き刺さった鍾乳石は、リナの動きを封じていた。


リナ「ま・・・ まさかでしょ・・・」


リナはただ、小太郎の村正の動きを見守るしかなかった。


小太郎「さらば!」


小太郎は力の限り・・・


村正を振り落とした。



              (第40話へ続く)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回予告


絶体絶命のリナ・・・激しい風魔小太郎とのバトルは、夜明けと共にその終結の時を迎えつつあった。


慎吾は洞窟内の異変に気づく。

そして小太郎を倒す作戦を思いつくのだが・・・?


次回 「 第40話  もう1つの霊核  」

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