第31話 完全魔方陣
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慎吾のスピリチュアル事件簿 First season
「徳川埋蔵金の謎」
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前回までのあらすじ
2012年4月。大学生となった慎吾は、大学の講義で1つ上の先輩リナと出会う。課題のため、TVSへ訪れた2人は【徳川埋蔵金の謎を追え!】の観客として番組収録に参加した。
収録後、慎吾は黒ずくめの男等に誘拐される。誘拐を指示したのは、番組プロデューサーの糸見。さらに娘を人質に取られた霊能力者・江浜も糸見側につき、慎吾の前に現れた。
リナはTV局に侵入し、慎吾を救出。さらにリナが中心になり、誘拐された江浜の娘・あんずも救出する。逃走するリナと江浜の前に、謎の大男が立ちはだかった。
江浜はリナ達を逃す代わり、身代わりに捕まってしまう。敵とコンタクトをとった慎吾は、江浜とひき替えに徳川埋蔵金を差し出すと言った。
埋蔵金のありかを示したという銅板の謎に挑む3人。とうとうリナが・・・
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第31話 完全魔方陣
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リナ「いい? この銅板の表は3×3で見るんじゃなくて、4×4で見るの」
慎吾「4かける4?」
あんず「3かける3しか見えないのですが・・・」
5月7日月曜日、午前9時過ぎ。
目を覚ました慎吾とあんずに、リナは埋蔵金が眠っているであろう場所の説明をしていた。
リナ「表に書かれた縦線と横線。
この交わる点を【格子点】(こうしてん)と言うの。
この格子点だけ注目したら、実は4×4になってるのよね」
慎吾とあんずは改めて銅板の表を見る。
慎吾「確かに・・・」
あんず「ほんとだ・・・」
リナはパソコンの画面で、銅板の表の地図と裏の図形を重ねて見せた。
リナ「ほら、表の格子点と裏の図形の点が重なるでしょ」
慎吾とあんずは、目を丸くして首を縦にふった。
リナ「だから、この16個の点のどこかに埋蔵金があるとよんだわけよ。
そうすればあんずちゃんの言ってた・・・
9分割の正方形の1つだと、広すぎて特定できないってのも・・・
解決するでしょ?」
あんず「確かに・・・1点なら、ほぼ正確に特定できます」
慎吾「で、では・・・埋蔵金のある1点ってのは!?」
リナ「落ち着いて、ちゃんと説明するから」
そういうとリナは、パソコンの画面に銅板の裏の写メを大きく映し出した。
リナ「まず一番右上の点。これはあんずちゃんが言ってたように・・・
隣に【宣】、すなわち6代将軍を表す言葉があるから【6】を表す。
そして右下の点は隣に【光】、つまり3代将軍の表す言葉があるから【3】」
リナは1点1点を指さし、丁寧に解説する。
リナ「3から6へ行く間に2つの点があるので・・・
これらを順に【4】【5】とする。
そうすれば、残った点にも全て【1】から【8】と対応させる事ができる」
慎吾「・・・ ・・・」
数字の苦手な慎吾は、少しずつ話についていけなくなる。リナは銅板の表と裏を重ねたものを2人に見せた。
リナ「数字や線は、見やすいように色をつけてあるわ」
リナ「ならば残りの8点・・・【9】から【16】で対応するはず」
あんず「じゃぁ、【16】の対応する点に埋蔵金が?」
リナ「その通り!」
リナは笑顔で返す。
慎吾「で・・・では・・・その【16】の表す点は!?」
リナは人差し指を慎吾の前に差し出した。
リナ「この表の歸藏図が魔方陣表すって・・・
あんた、言ってたわよね?」
慎吾「はい」
リナ「そして宝を隠すのに魔方陣が使われるってのも・・・
珍しくないと言ったわよね?」
慎吾「言いました」
リナ「だから16個の点は、4×4の魔方陣を表すとよんだのよ。
8個も数字があるから、すぐに残りは計算できたわ」
そう言うとリナは、地図の格子点に【1】から【16】まで対応させた画像ファイルを見せた。
リナ「ほら、数字だけ見て」
12 7 9 6
1 14 4 15
8 11 5 10
13 2 16 3
リナ「縦、横、斜め、4つの数字の和は全て34になるでしょ?」
あんず「ホントだ」
慎吾は暗算が苦手なので、とりあえず無言で頷く。
リナ「しかもこの魔方陣。
普通の魔方陣と違って変則的な斜めの和も34になるの。
7+1+10+16とか、7+4+10+13とかね」
あんずは数字に強いようで、すぐに暗算を始めた。
あんず「角の4つとか、中央の4つとか・・・
たくさん34になる組合せがありますね」
リナ「えぇ。この魔方陣は特に・・・完全魔方陣と呼ばれるもの」
慎吾「な、何かわからないですけど・・・
とにかく、この【16】の位置に・・・」
リナは赤いメガネを軽くかけ直し、自信満々で言い放つ。
リナ「えぇ・・・ ここに埋蔵金があるわ!」
3人は地図上の1点・・・【16】の対応する点を見つめた。
慎吾「でも・・・」
ふと慎吾が口を開く。
慎吾「この1点・・・民家のようですが・・・?」
リナの自信に揺らぎはなかった。
リナ「例え民家だろうと、この銅板がさしてるのはここで間違いない。
色んな可能性を考慮し、パターンを論理的に解析したけど・・・
ここ以外考えられない!」
慎吾もあんずも、リナの自信に感化される。
慎吾「わかりました。銅板の謎は解けたわけですね」
あんず「・・・。またあの鳳という人に・・・電話を?」
リナは首を横にふる。
リナ「まずは私たちで確認しないと」
慎吾「そうですね・・・ すぐ行きましょう。
あ、でもリナ先輩徹夜でしょ?」
リナは再度首を横にふった。
リナ「全然眠くない。今すぐ出ましょう!」
あんずの肩に手を置いたリナが力強く声をかける。
リナ「必ずお父さんは助けるわよ!」
あんず「は・・・ はい・・・」
リナの真剣な眼差しに、あんずは涙目で深く頷いた。
3人はすぐに支度をして、ホテルをチェックアウトした。
そして・・・ 赤城山に向けて出発した。
(第32話へ続く)
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次回予告
銅板の示す1点に向かって3人は出発。
銅板のさす1点、半径100m以内の地点までたどりつくが・・・
ふと慎吾は何かに導かれるように【とある場所】に向かって歩いて行く。
そしてたどり着いた先には・・・
次回 「 第32話 行くべき場所 」
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