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徳川埋蔵金の謎  作者: 伊吹 由
第2章  動き出す影
25/45

第24話  銃  撃

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 慎吾のスピリチュアル事件簿 First season


      「徳川埋蔵金の謎」 


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前回までのあらすじ


2012年4月。大学生となった慎吾は、大学の講義で1つ上の先輩リナと出会う。課題のため、TVSへ訪れた2人は【徳川埋蔵金の謎を追え!】の観客として番組収録に参加した。


収録後、慎吾は黒ずくめの男等に誘拐される。誘拐を指示したのは、番組プロデューサーの糸見。さらに娘を人質に取られた霊能力者・江浜も糸見側につき、慎吾の前に現れた。


リナはTV局に侵入し、慎吾を救出。江浜は自身の娘を助けるべく、行動を別にしようとするが、慎吾とリナもついてくる。


江浜の娘・あんずが監禁された事務所に辿り着いた3人。

慎吾の立てた作戦で、リナが事務所に侵入。あんずを連れ、トイレの窓から脱出を試みようとするが・・・その窓には鉄格子がかかっていた。


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   第24話  銃  撃


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慎吾「ちょっと遅いですね・・・」


江浜「あぁ・・・」


事務所の隣のビルで身を隠している慎吾と江浜。リナとあんずの2人が出てくるのを待っていた。



慎吾の作戦はこうだ。


あんずの監禁されている事務所にデリバリーされるピザを、リナが横取りする。そして配達員を装ったリナが事務所に入り、トイレを借りる。


江浜は娘とコンタクトを取り、トイレに向かわせる。


小さな建物のトイレは、その構造上、外へ通じる窓がある。トイレでリナとあんずが合流し、トイレの窓から外へ脱出する。



だが・・・


リナ「・・・ や・・・ ヤバい・・・」


第1の誤算は・・・あんずの見張り役の男がトイレの中、個室の前にまで来てしまった事。これは、リナがその男をスタンガンで撃退する事で突破。


第2の誤算は、逃げる予定の窓に鉄格子がかかっていた事。両手で鉄格子を前後に揺さぶるも微動だにしない。


そしてリナ達が気づいていない第3の誤算は・・・糸見から事務所へ連絡が入ってしまった事。連絡を受けた黒ずくめの男達は、トイレに向かっていた。



リナ「ど・・・ どうする・・・?」


あんずは個室の前で足をガクガクし、ただ立ち尽くしている。それを横目で見たリナ。


リナ「・・・ アテにならないってわけね・・・」


リナは一直線にトイレの出入り口に向かう。スタンガンのスイッチをONにすると、迷わずドアノブに押しつけた。


男「ぐぁ!?」


反対側からトイレのドアを開けようとした男が、ドアノブを通して感電する。


ドアノブを必死に離そうとするが・・・筋肉が硬直して意志とは反対にドアノブを強く握ってしまう。


男「ぐぐぐぐ・・・」


数秒後、男は失神した。この日リナが倒した4人目の男である。


しかしすぐに・・・事務所の奥から、糸見の連絡を受けた数名の男達がかけよってくる。



リナ「ちょっと、あんた!!」


ドアの向こうの足音を確認したリナは、大きな声であんずに声をかけた。


あんず「は・・・はぃ・・」


小さな声で応えるあんず。だがその両手足は、恐怖で小刻みに震えている。


リナ「そこに掃除用具があるでしょ! 

    洗浄剤とかあるはずだから取って! 渡して!」


言いながらリナは、目の前にあったバケツを手にした。それを持って、手洗い場まで走っていき・・・蛇口をひねると、バケツに水を入れる。


あんず「あ・・・」


リナ「早く!! マジやばい状況だから!!」


あんず「は、はい・・・」


リナにせかされたあんず。奥にあるトイレの清掃用具入れから、ボトルに入った洗浄剤を見つけた。すぐにリナの元へ走っていき、それを渡す。


リナ「・・・ ・・・」


ボトルを渡されたリナはラベルを確認した。


リナ「ナトリウム・・・よし!!」


容器のキャップを開けると、リナはバケツの水に洗浄剤を混ぜる。手早く作業しながらも、あんずに声をかけた。


リナ「あんたお父さんと話せるんでしょ!

    早く【外に出られない!】って伝えて!! 


    【すぐに助けにこい】って!!」


あんず「あ・・・は、はい」


小さな声で返事をすると、あんずは目を閉じ・・・意識を集中する。


(あんず「お父さん・・・ お父さん!!」)



・・・ ・・・。


娘の声を受け取った江浜はすぐに言葉を返す。


(江浜「どうした!?」)


(あんず「窓から出られない・・・鉄格子があって・・・」)


(江浜「わかった! すぐに行く!」)


慎吾「どうかしました!?」


江浜の様子に気づいた慎吾が声をかける。


江浜「トラブルだ・・・ 事務所の裏に行くぞ!

    見つからないよう気をつけろ!」


慎吾「わ、わかりました!!」



・・・ ・・・。


リナは洗浄剤を混ぜたバケツの水を、入り口の扉の下から反対側へとぶちまける。


リナ「・・・ ・・・」


扉の向こうから複数の足音が聞こえてきた。リナはスタンガンをONにして、ドアノブにそれを押しつける。



・・・ ・・・。


事務所の1階にいた4人の男。糸見の指示を受け、トイレに駆けつけると・・・トイレのドアの前で、一人の男が倒れていた。江浜の娘を見張っていた男だ。


男「やろう・・・。さっきのピザ屋だな!!!」


先頭の男がトイレの中にいる人物の正体を突き止め、真っ先にドアノブに手をかける。


バチバチッ!


瞬間、冬場の静電気とは比較にならない程強烈な電気が流れた。


男「ぐぉ!?」


男は反射的に手をひっこめ、尻餅をつく。



・・・ ・・・。


バチバチッ!!


ドアノブの音を確認したリナ。すぐさま地面にスタンガンを突き刺した。

電気はさきほどぶちまけたバケツの水を伝わり、反対側にいる男を感電させる。


男「ぐぁあああ!!!」


扉の向こう側から、悲鳴が聞こえた。


リナ「まだ何人かいる・・・ 1分も持つか・・・」



この時、扉の向こうの男が・・・ 銃を取り出している事に、リナは気づかない。



・・・ ・・・。


慎吾と江浜は事務所の裏にたどり着いた。壁1枚を隔てて、向こう側にはリナとあんずのいるトイレだ。


慎吾「鉄格子・・・」


(江浜「あんず! 中の状況は!?」)


(あんず「リナさんが、扉の向こうの相手をせき止めているところ・・・

      でも、もうす・・・」)



パーン!  パーン!!!



トイレの内外にいる全てに、銃声が聞こえる。



リナ「ちょ・・・」


2発の銃弾が、扉を突き抜けリナの横の壁にめり込んだ。


リナ「いよいよヤバいわね・・・」


リナはすぐにヘアピンをはずし、ポニーテールを止めているシュシュもはずす。


スタンガンのスイッチをヘアピンで固定し、常にON状態にすると・・・ 横にあったモップの先にスタンガンをシュシュでくくりつけた。



そして扉の横に身を隠し、銃弾を避けつつドアノブと地面の水に電気を流す。扉を死守しながら、あんずに大声をかけた。


リナ「こっちはもう限界!! お父さんに何とかしてもらって!!」



(慎吾「残るは強行突破しかない・・・」)


横を見ると、江浜が壁に向けて拳を垂直にあてている。


(慎吾「気功・・・?」)


江浜「・・・ ふ~ ・・・ 」


呼吸を整え、壁に添えた拳に意識を集中する。


江浜「唵!!」


かけ声と共に、手のひらからエネルギーを流し込んだ。


しかし・・・


江浜「・・・ ・・・」


壁の表面が少しくぼんだ程度。


江浜「この壁の厚さでは・・・

    うち破るには10分かかる・・・」




パーン、パーン!!!!



さらに銃声が聞こえた。


(あんず「もうすぐ侵入されそう!!」)


江浜は一瞬悩んだ後、娘に言葉を送る。


(江浜「あんず、壁に胸の高さで手のひらをあてろ! 急げ!!」)


あんずは言われた通り、壁に手のひらをあてた。


江浜は意識を集中し、娘と反対側から壁に拳をあてる。

そして調節するように・・・左下へと拳を移動させた。


慎吾「な、何を・・・?」


江浜「娘も鍛えてある!」


(江浜「あんず、1,2の3で発勁はっけいだ!」)


(あんず「わ、わかった・・・」)


江浜親子は静かに目を閉じる。


(江浜「1、2の・・・ 3!!」)


江浜「唵!!!」


あんず「唵!!!」


2人は同時に気合いのこもった声をあげた。体内で練ったを、あんずは手のひらを通し・・・江浜は拳を通し、エネルギーとして一気に放出する。


ビキビキビキ・・・


瞬間、壁に無数のヒビがはしった。


慎吾「な!?」


江浜「慎吾君、目を閉じておけ。次で壁が砕け散る!」


慎吾に指示すると、江浜はすぐまた娘に言葉を送る。


(江浜「あと1回! いくぞ! 1,2の・・・3!!」)


江浜「唵!!!!」


あんず「唵!!!!」


ドッッッッッゴン!!!  ガラガラガララ・・・


瞬間、鈍い音と同時に・・・2人を隔てた壁が一気に粉砕した。

あたりを多くの粉塵が舞い散る。


慎吾「す・・・すごい・・・」


左腕で顔をかばいながら、慎吾が砕けた壁を見た。

そこにはひと一人が余裕で通れる壁穴が開いていた。



・・・ ・・・。


リナ「・・・ ・・・」


抜け穴を確認したリナ。すぐにあんずに声をかける。


リナ「あんた先行って! すぐ私も行くから!」


言われたあんずは、壁穴を通り抜け・・・ 外で待機していた父と抱き合った。


あんず「お父さん!!」


江浜「あんず!!」


強い抱擁をかわした後、江浜はすぐに娘の両肩を握る。


江浜「まずはここを逃げてからだ」


あんずが無言でうなずいた直後、リナも壁穴を通ってきた。


慎吾「・・・ ・・・」


リナの後ろに、銃を持った数人の男も見える。


リナ「車どっち!?」


再会を味わう余裕もなく、慎吾に声をかけた。


慎吾「こ・・・ こっちです!」


いつものポニーテールとは違うリナの髪型・・・とまどいながらも、慎吾が応える。


江浜「急げ!!」


合流した4人はすぐに事務所から離れるべく、走っていった。


リナ「・・・ ・・・」


去り際にリナは、ON状態のスタンガンをトイレに投げ入れる。


男「ぐわぁあ!!」


男「ぐぅう!!」


数名の男の悲鳴が聞こえた。


慎吾「な、何が!?」


走りながら慎吾がリナに聞く。


リナ「壁抜ける前に、洗浄剤混ぜた水を床にも壁にもぶちまけてきたのよ!

    あのヌルヌル状態、靴以外に体が触れたら高圧電流の餌食よ!」


慎吾「あ! 水は電気を通すってヤツ!?」


リナ「バカ!! 水は電気通さないわよ!!」


慎吾「え!? じゃぁ・・・」



パーン、パーーン!!



慎吾「わ!!」


トイレを抜け出した1人の男が発砲してきた。



江浜「こっちだ!」


ビルの裏に隠れるように止めておいた車・・・すでにエンジンはかかっている。


駆け込むように4人が乗り込むと・・・運転席に座った江浜は、迷わず車のアクセルを踏み込み急発進した。



数発の銃弾を逃れた車は、大通りに出る。



リナ「はぁ、はぁ・・・ 何とか・・・」


慎吾「はぁ・・・ はぁ・・・」


あんず「・・・ ・・・」


江浜「・・・ ・・・」


安堵のため息をつく4人。



しかし・・・


銅板の追跡装置が作動している事に・・・


気づく者はいなかった。




                 (第25話へ続く)

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次回予告


あんずの救出に成功した一行は、江浜の仕事場に移動し態勢を整える。


しかし、銅板に仕組まれた追跡装置により追っ手の影が迫っていた。


再び追っ手から逃げるため、動き出す4人だが・・・


その時、江浜は慎吾に・・・慎吾の運命を変える物を手渡す。


次回 「 第25話  パワーストーン  」

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