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徳川埋蔵金の謎  作者: 伊吹 由
第2章  動き出す影
15/45

第14話  拉  致

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 慎吾のスピリチュアル事件簿 First season


      「徳川埋蔵金の謎」 


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前回までのあらすじ


2012年4月。大学生となった慎吾は、大学の講義で1つ上の先輩リナと出会う。課題のため、TV局へと向かった2人だが・・・


アイドルのバッグ盗難事件に遭遇。リナの持つ特殊能力により、犯人を捕まえるに至った。バッグを盗まれたアイドル・松浦から、2人は特別番組【徳川埋蔵金の謎を追え!】の観客として招待を受ける。


その番組収録後、突然慎吾がリナに暴言を吐き・・・直後、黒ずくめの男等に慎吾は包囲された。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   第14話  拉  致


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慎吾の無礼な発言に、怒り心頭のままエレベーターに向かったリナ。


一人の男とすれ違った瞬間・・・


リナ「・・・ ・・・」


エレベーターから出てきた黒ずくめの男・・・銃らしきものを持っているのが見えた。


(リナ「まさか・・・ドラマか何かの小道具よね?」)


そう言い聞かせ、エレベーターの中に入り【3】を押す。

ふと自分が来た道に目を見やると・・・


倒れている慎吾を、黒ずくめの男3人が囲っていた。


リナ「え・・・?」


不穏な空気を感じたリナ。閉まろうとしたエレベーターの扉を手で止め、事態を見つめる。



無様に床に倒れた慎吾は、右頬を抑えながら・・・


慎吾「・・・ ・・・」


3人の男に囲まれている事を確認した。目の前に一人、後ろに2人・・・3人とも慎吾を凝視している。


慎吾「・・・ ・・・」


背後の男を確認するふりをして、チラッとエレベーターの方を見た。

リナはエレベーターに乗っているものの、その扉は開いたままこちらを見ている。


(慎吾「ま、まずい・・・」)


正面に目をやると、さらに一人の男が向こう側の廊下から現れた。


スピリチュアル・カウンセラーの江浜である。


こちらも黒ずくめ。慎吾は4人の黒ずくめの男に囲まれた事になる。


**「*********。******* ・・・」


慎吾「う・・・」


慎吾はコメカミを抑える。


**「*********・・・」


慎吾「ぐ・・・」


慎吾は小さな悲鳴を上げながらゆっくりと立ち上がった。

リナのパンチで軽い脳しんとうを起こしているため、足下がおぼつかない。



エレベーターにいるリナの視界が江浜をとらえた。


(リナ「な・・・ 江浜氏!? 何が・・・?」)


江浜を含めた黒ずくめの男4人に囲まれた慎吾が、無理に立ち上がろうとしている。それを見ていたリナはただならぬ事態と感じ、エレベーターを降りようとした。


その時・・・


江浜「・・・ ・・・」


数m離れた慎吾に向け、江浜は右の手のひらを垂直に向ける。


江浜「おん!」


大きなかけ声と共に、その手のひらを数10cm押し出した。


慎吾「!?」


瞬間、慎吾の右肩に激痛がはしり、そのまま後ろに吹っ飛ばされる。


江浜、慎吾の直線上・・・エレベーターを出ようとしたリナにも、目に見えない風圧が襲いかかった。


リナ「きゃ!」


風圧に押され、エレベーターの中で尻餅をつく。


そのままエレベーターの扉が閉まり、下へと移動を始めた。


リナ「ちょ・・・ ちょっと待って・・・」


すぐにエレベーターの【開】ボタンを連打するが、その要求を受け入れられる事はない。


エレベーターは3階→1階まで降りた後、各階で停止しながら6階まで上っていく。



再度6階に降り立ったリナだが・・・



慎吾の姿はおろか、黒ずくめの男達、江浜の姿もそこにはなかった。



・・・ ・・・。


その頃、慎吾は・・・


黒ずくめの男に抱えられ、とある場所へと身を移されていた。


慎吾「・・・ ・・・」


リナに受けた右ストレートにくわえ、江浜に受けた【何らかの衝撃】で気絶寸前。


意識いしき朦朧もうろうの中、慎吾はとある部屋へと連れて行かれる。


男は、無造作に慎吾を床に放り投げた。


極限にまで気分の悪い慎吾は・・・


慎吾「・・・ ・・・」


ひどい頭痛のまま、気絶する。


江浜「・・・ ・・・」


気絶した慎吾を見て、江浜がつぶやいた。


江浜「だから警告したんだ。ここには来るなと・・・」



・・・ ・・・。


ただならぬ事態を察したリナは、TVS局内を駆け回る。


リナ「リュックを背負った、オタクっぽい男の子を見ませんでした?」


局内の人に聞き回るが、誰一人満足のいく回答をする者はいなかった。


(リナ「今、思えば・・・ 」)


あの慎吾が、自分に暴言など吐くはずがない。どう見ても、あの態度は不自然。


(リナ「だとしたら・・・」)


何らかの危険を察知した慎吾が、わざと自分を逃すためにひどい事を言った・・・


(リナ「そう考えるのが妥当・・・か・・・」)


【山嵐】の事など、すでに脳内にない。慎吾を見つけ出そうと、広い広いTV局の中を・・・ただ、ひたすら探し回った。


(リナ「ったく・・・ 気を遣うな!って、いつも言ってるのに・・・」)


慎吾のおせっかいにイラつく以上に・・・慎吾の異変に気づいてやれなかった自分にイラつく。


結局・・・慎吾を見かけたらすぐ連絡するよう、事務の人に電話番号を伝える事しか出来なかった。


これまでの事を振り返るリナは


(リナ「ひょっとして・・・ 拉致られた・・・?」)


そう思い始める。都内にうとい慎吾が、自分を局内に残して出て行くはずがない。


(リナ「もしそうだとして・・・ 何故、あいつが拉致られるの?

     それに男が持っていた銃は・・・本物?

 

     江浜氏はいったい・・・?」


多くの謎がリナの頭を駆け巡る。



・・・ ・・・。



慎吾「・・・ ・・・」


ふと慎吾は意識を取り戻した。


軽い脳しんとうのせいか、まだ視界がぼやけている。小さな部屋・・・六畳ほどの薄暗い部屋にいるようだ。


イスに座っていた。いや・・・イスに座らされ、縛られていた。


慎吾「・・・ ・・・」


両手は後ろでイスに縛られ、両足も1本のひもでぐるぐるに結ばれている。


目の前には・・・黒ずくめの男が2人いた。江浜の姿は見えない。

慎吾の意識が戻ったのを確認すると、1人が外に出て行く。


残った一人は慎吾から目を離さない。監視役だろうか?


慎吾「・・・ ・・・」


5分後・・・男は戻ってきた。そしてもう1人別の男が部屋に入ってくる。

その男は、折りたたみ式のパイプイスを拡げ・・・慎吾の前に置くと、向かい合うように座った。


「やぁ・・・ お目覚めかい?」


慎吾が目の前の男を確認する。


慎吾「あ・・・ あなたは・・・」


TV収録で、番組の中心人物だった・・・



あの男の姿があった。






             (第15話へ続く)

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次回予告


収録を終えた糸見は、出演者らに握手を求めていた。

楽屋に戻ると、中にはお笑い芸人のマリオがいる。


2人は握手を交わし、今後の確認作業を始めた。


そして・・・


時任マリオ・・・その素性が明らかになる。


次回 「 第15話  時任マリオ  」

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