終幕:黄金の揺り籠(エピローグ)
王宮の最深部、外界の光さえ届かぬ「黄金の鳥籠」には、今夜も絶えることのない執着の香りが満ちていた。
エルサは、新王の冷徹な知略による安らぎと、ゼノス様の野蛮な熱情による支配、その二つの重力に魂を委ね、深い微睡の中にいた。
彼女の胎内で脈動する紋章は、もはや彼女自身の心音よりも強く、三人の運命が完全に溶け合ったことを証明するように熱を帯びている。
「……あ、……ぁ、……幸せ……。……私……には……、……お二人以外……、……何も……いらない……」
かつて自由を求めた瞳は、今や主君たちの姿を映すためだけの鏡となり、かつて慈愛を説いた唇は、二人の王への服従を囁くためだけの器官へと成り果てた。
しかし、その顔に浮かんでいるのは、聖女と呼ばれていた頃には決して見せることのなかった、蕩けるような法悦の微笑みである。
新王が彼女の髪を指先に絡め、永遠の支配を契約するように額に口づける。
ゼノス様が彼女の腰を抱き寄せ、誰にも渡さぬという誓いと共にその肌を貪る。
彼女はもう、二人の王という絶対的な監獄から逃げ出すことはない。
いや、この監獄こそが、彼女にとって唯一の救いであり、楽園なのだ。
窓のない寝室に、重なり合う三人の吐息だけが溶け込んでいく。
明けることのない夜の帳の中で、エルサは「共有の財産」として、そして「愛欲の聖母」として、永遠に終わることのない、甘美な隷属の夢へと沈んでいった。
(『三人の共有財産』―― 完)




