第8話:王子の使者、皇帝の圧に消し飛ぶ
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第8話は、いよいよ「王国からの使者」が帝国の門を叩きます。
エルサを連れ戻せと息巻く彼らに、ゼノス皇帝がどんな『歓迎』を見せるのか。
皇帝陛下の過保護(物理)をお楽しみください!
帝国アステリアの重厚な正門前に、場違いなほど着飾った一団が到着した。
かつて私が仕えていた、王国のカイル王子が差し向けた『連行部隊』である。
「おい、開けろ! 貴国に潜り込んでいる我が国の聖女、エルサを迎えに来てやったぞ!」
使者の男が、帝国の門番を鼻で笑いながら叫ぶ。
その手には、王家の紋章が刻まれた仰々しい書状が握られていた。中身は「恩赦を与えてやるから、今すぐ戻って水源を浄化しろ」という、傲慢極まりない命令書だ。
報告を受けた私は、ゼノス様に付き添われて謁見の間へと向かった。
私の姿を見るなり、使者の男は露骨に顔を歪めた。
「ふん、相変わらず地味な女だ。おいエルサ、カイル様が慈悲深くもお前の罪を許してくださるそうだ。感謝して、今すぐ我らと共に来い」
「……私の、罪……ですか?」
私は思わず聞き返した。
婚約破棄され、国外へ追放されたのは私の方なのに、いつの間にか私に「罪」があることになっているらしい。
「そうだ! お前が不当に国を離れたせいで、王都の水が汚れ、作物が枯れているのだぞ。万死に値する大罪だ! だが、カイル様は『戻ってきて掃除をするなら許す』と仰っている。光栄に思え!」
使者が一歩、私に詰め寄ろうとした、その時。
「——その汚い口を、今すぐ閉じろ」
謁見の間が、凍りつくような冷気に包まれた。
隣に座っていたゼノス様が、ゆっくりと立ち上がったのだ。
彼の瞳は鋭く、全身から溢れ出す「最強の皇帝」としての魔圧が、物理的な衝撃となって使者たちを襲った。
「ひ、ひぃっ……!?」
使者たちは膝から崩れ落ち、その場でガタガタと震え始めた。
王国の軟弱な騎士たちにとって、前線で魔王を屠ってきたゼノス様の魔力は、直視することすら許されない死の宣告に等しい。
「エルサは俺の恩人であり、この帝国の最高賓客だ。貴様らのような羽虫が、指一本触れることも、言葉を交わすことも許さん」
ゼノス様は冷徹な眼差しで、使者が持っていた書状を指差した。
すると、紙切れは青い炎に包まれ、一瞬で灰となって消え去った。
「カイルとかいう愚か者に伝えろ。エルサに触れたければ、我が帝国の軍勢すべてを相手にする覚悟で来い、とな。……失せろ。二度とその面を見せるな」
「あ、あわわわわ……っ!」
使者たちは返事もできず、這いずるようにして謁見の間を逃げ出していった。
嵐のような魔圧が収まると、ゼノス様は優しく私の肩を抱き寄せ、耳元で低く囁いた。
「怖かったか、エルサ? 心配するな。あんなゴミのような連中に、二度とお前を渡したりはしない」
「……ゼノス様。ありがとうございます」
私は震える手で、ゼノス様の服の袖をぎゅっと掴んだ。
王国にいた頃は、守ってくれる人なんて一人もいなかった。
でも、今は違う。
自分を必要とし、全力で守ってくれる人がここにいる。
そう確信した瞬間、私の胸の奥から、かつてないほど純粋で強力な魔力が溢れ出してきた。
それは、帝国の未来をさらに輝かせる、真の聖女としての目覚めだった。
第8話をお読みいただきありがとうございます!
皇帝陛下の「物理的なざまぁ」はいかがでしたでしょうか。
これまで理不尽に耐えてきたエルサを、圧倒的な力で守り抜くゼノス様……。
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