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追放された万能薬師は、隣国の冷徹皇帝に溺愛される  作者: La Mistral
第2章:隣国での「普通」が「異常」な無双

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第7話:帝国の「普通」は、聖女の「奇跡」

お読みいただきありがとうございます。

第7話は、エルサの「無自覚な規格外」がさらに加速します。

帝国の皆さんが何百年も悩んでいた問題を、エルサが「お掃除」の一環で解決してしまう……そんな温度差を楽しんでいただければ幸いです。

そして物語の裏では、あの愚かな王子が差し向けた「使者」が帝国の門を叩こうとしています。

嵐の予感を、どうぞお楽しみください!

「エルサ、顔色が悪いようだが……。昨夜は眠れなかったのか?」


翌朝、豪華な朝食の席で、ゼノス様が心配そうに私を覗き込んできました。


昨夜、私がほんの少し「お掃除」した離宮は、一晩中、春の陽だまりのようなポカポカとした魔力に満たされていました。


「いえ、あまりにベッドがふかふかで、空気も綺麗だったので……つい、うれしくて。……ただ、あの」


「なんだ? 言ってみろ。この国でお前に用意できないものなどない」


ゼノス様が真剣な顔で身を乗り出します。私は申し訳なさで身を縮めながら、ずっと気になっていたことを口にしました。


「あのお庭の池……すごく濁っていて、お魚さんたちが苦しそうなんです。あと、お城の壁も魔力の詰まりのせいで、少しひび割れが……。あ、あの! もちろん、私が勝手にお掃除させていただいてもよろしいでしょうか?」


私の言葉に、給仕をしていたメイドさんたちがガシャン、と銀のトレイを落としました。


ゼノス様も、手にしていたフォークを止めて絶句しています。


「……エルサ。あの池は、建国以来の『呪われた不浄の泉』だ。そしてこの城のひび割れは、強大すぎる俺の魔力に耐えきれず、結界が悲鳴を上げている証拠。……掃除でどうにかなる代物ではないぞ」


「えっ、そうなんですか? でも、ちょっと魔力の流れを整えてあげれば、すぐ綺麗になると思うんですけど……」


私は朝食の後、ゼノス様と一緒に庭園の池へ向かいました。


そこは確かに、ドロドロとした黒い泥が溜まり、鼻をつくような悪臭を放っています。


私は池の縁にしゃがみ込むと、水面にそっと指先を浸しました。


(お掃除のコツは、溜まった悪いものを、光の粒で押し流してあげること……)


指先から純白の魔力が波紋のように広がっていきます。


その瞬間。


「——なっ!?」


ゼノス様が声を上げました。


ドロドロだった黒い水が、一瞬にして底まで透き通るクリスタル・ブルーへと塗り替えられていったのです。死にかけていた魚たちは元気に跳ね回り、池の底からは失われていたはずの精霊の光がパチパチと弾けました。


「ふぅ。これで一安心ですね」


私が立ち上がって微笑むと、ゼノス様は私の肩を掴み、信じられないものを見る目で池を見つめていました。


「……エルサ。お前が今やったことは、一国の最高位魔導師が一生をかけても成し遂げられない『大奇跡』だ。それを、掃除のついでだと言うのか?」


「ええっ!? そんな大げさな……。ただの汚れ落としですよ?」


私が首を傾げていると、遠くの城壁から「おおおぉぉ!」という兵士たちのどよめきが聞こえてきました。エルサの魔力が城全体に行き渡り、数百年治らなかった城壁のひび割れが、まるで生き物のように修復されていったからです。


その頃、王国の国境付近では。


「……おい、なんだあの光は?」


カイル王子からエルサ連行の命を受けた使者たちが、アステリア帝国の城が神々しく輝き出すのを見て、恐怖に震え上がっていました。

第7話、いかがでしたでしょうか!

エルサの「普通」が帝国の常識を次々と破壊していく様子は、書いていて本当にスカッとします。

次回、ついに王国の使者がゼノス皇帝の前に現れます。エルサを「地味女」と呼び捨てる彼らに、皇帝陛下がどんな制裁を下すのか……ご期待ください!

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