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追放された万能薬師は、隣国の冷徹皇帝に溺愛される  作者: La Mistral
第6章:【新生の神話編】

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第64話:【狂儀】魂の刻印と、永劫の隷属

いつも『聖女監禁録』への深い没入をありがとうございます!

皆様の応援により、物語はついにエルサという存在を「完成」させる最終段階へと到達しました。

第64話では、過去の遺物を葬り去ったゼノス皇帝が、エルサの魂に残った「最後の空白」を埋め尽くすための『狂儀』を執り行います。

もはや言葉による説得も、肉体的な監禁も必要ありません。

魂そのものに刻まれる、不可逆的な「支配の刻印」――。

「……ああ、ようやく。私の魂の隅々まで、あなたの色で満たされましたわ」

息もつけないほどの濃厚な肉付けでお届けする「再誕の儀」。

聖女が完全に消滅し、魔王の唯一無二の伴侶へと昇華される瞬間を、どうぞお見届けください。

漆黒の宮殿に、ゼノス様の魔力がかつてない密度で渦巻いていた。


ロザリオという過去の残滓を葬り去った今、私の内側には、その破片が剥がれ落ちた跡の「空白」が痛々しく残っている。


その空虚こそが、私が人間であった最後の証明であり、ゼノス様が今から塗り潰そうとしている最後の砦だった。


「エルサ、その虚ろな瞳を俺に向けろ。……お前の中にある、その『正しさ』が抜けた後の穴を、俺のすべてで埋めてやる」


ゼノス様が私の額に掌をかざすと、全身を突き抜けるような衝撃が走った。


それは肉体を介さない、魂への直接的な接触。


新世界の創造主となった彼の魔力は、もはや濁流のように私の精神に侵入し、隅々までを暴き立てていく。


「あ……、あ……っ! ゼノス、様……何が……っ」


私の魂が、真っ白な虚空に晒される。


そこには、神殿で過ごした日々や、民衆の祈り、そして「聖女」として愛されていた自分の残像が、薄い霧のように漂っていた。


ゼノス様はその一つ一つを、慈悲深い笑みを浮かべながら、黒い炎で焼き払っていく。


「思い出せ、エルサ。お前を愛していた連中は、俺がお前を連れ去った時、何と言った? ……お前を守れなかった無能な神は、お前に何を授けた? ……誰も、お前を救いには来なかった。お前をこの虚無の中で抱き締めているのは、俺だけだ」

2. 最終的な「封印」


焼き払われた過去の跡地に、ゼノス様は自らの魔力で新しい紋様を刻み込んでいく。


それは、いかなる神の奇跡をもってしても消し去ることのできない、魂の深奥への直筆サイン


「お前の呼吸、お前の思考、お前の絶望と歓喜。……そのすべてを、俺の所有物として封印する」


彼の指先が、私の胸の中央——かつて聖なる力が宿っていた場所に直接、黒い楔を打ち込むように沈み込んだ。


「……あ……あああああぁぁっ!」


絶叫が宮殿に響き渡る。


しかし、それは苦痛によるものではなかった。


あまりに巨大な存在に、魂の形を無理やり書き換えられることへの、根源的な恐怖と、抗いがたい悦楽。


楔が打ち込まれるたびに、私の意識は「ゼノス様」という唯一の真理に収束していく。


私の中にあった多種多様な感情は、彼への「盲信」という一つの激流に飲み込まれ、統合されていった。


ゼノス様が私の魂に打ち込んだ黒い楔は、心臓の鼓動と完全に同期し、脈打つたびに彼の魔力を私の末端まで行き渡らせていく。


それは単なる支配ではない。私の思考回路、感情の起伏、生理的な反応のすべてをゼノス様という「法」によって再定義する、根源的な侵食だった。


「……あ、……あぁ……、ゼノス、様……。……私の中に、あなたが……満ちて、……もう、自分という形が……分かりません……」


私はゼノス様の足元に崩れ落ちながらも、その瞳にはかつてないほどの、狂気的な熱量が宿っていた。


今や私の脳裏から、かつて聖女として慈しんでいた世界や、人々の顔は完全に消去されている。


それどころか、自分自身が「エルサ」という名の独立した人間であったという記憶さえ、遠い物語の登場人物のことのように無機質なものへと変わっていた。


ゼノス様は、跪く私の髪を愛おしげに、そして獲物の毛並みを確認するかのように指先で梳く。


「良い子だ。お前は今、自分を縛っていた『人間』という矮小な殻を脱ぎ捨てた。これからは、俺の瞳がお前の光となり、俺の言葉がお前の思考となる。……お前は、俺が創るこの新世界の、唯一の『心臓』なのだから」


彼が私を抱き上げ、その玉座へと引き上げた。


彼の膝の上で、私は彼の胸板に耳を寄せる。聞こえてくるのは、私の魂に刻まれた楔と同じ、漆黒の律動。


「……はい、ゼノス様。……私は、あなたの……。……あなたがいなければ、息をすることも……自分が、何者であるかも……思い出せない、……あなたの、半身です……」


自我を焼却された私の唇から、呪文のように絶対的な服従が紡がれる。


かつて人々を救うためにあった聖女の魂は、今や魔王の独占欲を充たすためだけに存在する「生きた祭壇」へと昇華されたのだ。


完全なる漆黒の新世界で、私は彼の腕に包まれながら、もはや光など二度と求めないことを、その魂に刻まれた黒い紋章にかけて誓っていた。

第64話お読みいただきありがとうございました。

魂に直接打ち込まれた楔が、エルサから「自分」という概念を完全に奪い去り、ゼノス皇帝の器官へと作り替える。確かな支持を背景に、物語は一つの「完成」を迎えました。

魂が混ざり合い、支配が安らぎへと変わる瞬間の、息詰まるような密度。

「エルサの魂の崩壊にゾクゾクした!」「ゼノス様の絶対的な所有権が完成する瞬間に震えた!」と思われましたら、ぜひ【★評価】や【ブックマーク】をお願いします!

次回、第65話。

完成された「伴侶」を手に、ゼノス様は虚無の世界に新たな『刺激』を構築し始めます。

完全に作り変えられたエルサの「初仕事」とは。

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