第61話:【創世】虚無の玉座と、名もなき半身
いつも『聖女監禁録』への熱烈な応援、誠にありがとうございます!
おかげさまで昨日は 日間 1,300 PV を記録し、第5章:【終末の楽園編】を最高の形で完結させることができました。物語はいよいよ、誰も見たことのない最終領域へと足を踏み入れます。
物理的な肉体、過去の記憶、そして世界そのものを泥の中で溶かし尽くしたエルサとゼノス皇帝。
第61話からは、すべてが消え去った「無」の宇宙で、二人が新たな世界の創造主として君臨する様子を描いていきます。
「……ああ、空も大地もありませんけれど、ここには『あなた』がいます」
聖女であることを辞め、ゼノスの心臓となったエルサ。
自我を去勢された彼女が、真っ白なキャンバスのような新世界でどのような「愛玩」を受けるのか。
さらに凌駕する、神話的で退廃的な肉付けにご期待ください。
二人だけの、終わりのない創世記が今、始まります。
そこには、上下も、左右も、時間という概念すらも存在しなかった。
ただ、どこまでも透き通った「虚無」が広がっているだけの空間。
かつて世界を埋め尽くした黒い泥は、ゼノス様の絶大な魔力によって濾過され、純粋なエネルギーへと変換されていた。
私は、その虚空の只中に浮かんでいた。
いや、「浮いている」という感覚すら不確かだ。
肉体という重荷は泥の底で溶け去り、今の私は、ゼノス様の魔力によって編み上げられた、光の衣を纏った精神体に近い存在となっていた。
「……ゼノス、様……」
唇を動かさずとも、その名は私の本質から溢れ出し、虚無に波紋を広げる。
すると、背後から底知れぬ質量を持った熱が私を包み込んだ。
実体を持たないはずの私の魂が、彼の触れる箇所から愛おしく、そして残酷に熱を帯びていく。
「目覚めたか、エルサ。……いや、もうその名で呼ぶ必要もないな。お前は今、俺という神の一部であり、この虚無に刻まれる最初の『法』なのだから」
ゼノス様の声は、宇宙そのものの響きとなって私を震わせた。
彼は虚無の中に、ただ一つの「意思」を投じる。
すると、何もない空間に漆黒の結晶が組み上がり、巨大な、あまりに孤独で傲慢な玉座が形成された。
ゼノス様は私を抱き寄せたまま、その玉座へと腰を下ろした。
彼の膝の上。それが、この新世界において私が許された、唯一の居場所。
「見ろ。ここには、俺たちを邪魔する太陽も、勝手に芽吹く草木も、勝手な祈りを捧げる人間もいない。すべては、俺とお前の吐息一つで形を変える、俺たちのための玩具箱だ」
彼が指先を払うと、足元に銀色の水面が広がり、かつて私たちが過ごした「空中離宮」の記憶を模した、より歪で、より排他的な宮殿が瞬く間に構築されていく。
だが、それは以前の離宮とは決定的に異なっていた。
窓の外には風景がない。あるのは、ただゼノス様の魔力が渦巻く灰色の空だけ。
逃げる場所も、帰る場所も、見るべき他者も存在しない。
ここは、ゼノス様の「独占欲」を物理的な法則として固定した、究極の監禁空間であった。
「……ああ、美しい。……空も大地も、もういりませんわ。……あなたが望むものだけが、私の世界のすべてです」
私は彼の胸に顔を埋め、陶酔の溜息を漏らす。
自我を去勢された私の精神は、この何もない世界を「欠落」とは感じない。
むしろ、彼以外のノイズが一切存在しないこの純白の監禁こそが、私が辿り着きたかった「救い」の形だと確信していた。
ゼノス様は、私の顎を指先で持ち上げ、虚無の中で唯一の色を持つ黄金の瞳で私を射抜いた。
「お前には、これから永遠をかけて、俺という存在をその身に刻ませる。……かつての神が人間を創ったように、俺はお前を、俺のためだけの『悦び』として再定義し続ける」
彼の魔力が、私の光の身体の深奥へと、これまで以上の深度で侵入してくる。
それは物理的な交わりを超えた、存在そのものの再構成。
私は、彼の指先が動くたびに、新しい色を与えられ、新しい声を教えられ、新しい従順を刻まれていく。
第61話、新章の幕開けをお読みいただきありがとうございました。
世界が消え、ゼノス様が創造主となったことで、監禁のステージは「物理」から「概念」へと移行しました。昨日は日間 1,300 PVという確かな熱量をいただき、この壮大な物語をさらに加速させることができました。
何もない世界での「独占」の濃度。
聖女という名前を捨て、ゼノス様の一部となった彼女の幸福を感じていただけたでしょうか。
「二人だけの創世記、背徳的すぎる!」「ゼノス様の全能感がたまらない!」と思われましたら、ぜひ【★評価】や【ブックマーク】をお願いします!
次回、第62話。
ゼノス様が、真っ白なエルサに「最初の教育」を施します。
何もない世界で、彼女はどのような「形」を与えられるのか。




