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追放された万能薬師は、隣国の冷徹皇帝に溺愛される  作者: La Mistral
第5章:【終末の楽園編】

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43/75

第43話:【収束】世界を拒む繭と、絶対的な帰依

いつも熱烈な応援をありがとうございます!

昨日2/20は、日間 2,474 PV という圧倒的な勢いで、物語はついに「究極の孤立」へと至りました。

第43話は、エルサの「聖女としてのアイデンティティ」が完全に破壊され、ゼノス皇帝の一部へと書き換えられる回です。

「お前の主は誰だ? お前の神は、誰が許した存在だ?」

自我すらもゼノス様に明け渡し、彼なしでは呼吸すら忘れてしまうほどに染まっていくエルサ。

その「美しき崩壊」を描き出します。

地上で蠢いていた数万の「羽虫」たちが、ゼノス皇帝の放った断罪の光によって黄金の灰へと変えられた後、空中離宮を包む結界はその密度をさらに増した。


それはもはや外敵から守るための壁ではなく、この空間を物理的、概念的、そして歴史的にも世界から完全に切り離し、孤立させるための「繭」であった。


ゼノス様は、エルサの中に微かに残っていた「聖女としての力」さえも、もはや彼女の存在を不安定にする不要な不純物として封じ込め始めた。


彼女がかつて祈りを捧げ、心の拠り所としていた神々を、彼は言葉と魔力をもって徹底的に否定していく。


「エルサ、もう空虚な空に向かって祈る必要はない。お前が助けを求めた時、その神とやらは地下室の暗闇に現れたか? ……いいえ、現れなかった。お前を救い、その冷えた体を抱き上げ、生かし、愛でたのは、実体のない神などではない。この俺だ。お前の慈悲も、祈りも、そのすべては俺一人に向けられるべき特権なのだ」


ゼノス様は、エルサがかつて身に着けていた、汚れを知らぬ聖女の法衣を彼女の目の前ですべて焼き払った。


燃え盛る白い布を見つめる彼女の肩に、彼は自らの魔力が濃密に織り込まれた、肌の一部のように吸い付く黒い薄衣を纏わせる。


その布地は、彼女がゼノス様から離れようとすれば無慈悲に締め付け、彼の指先が触れれば抗いようのない悦楽を与える、生きた「皮膚」であり、究極の拘束具であった。


離宮の中では、ゼノス様が許諾した「音」と「光」と「匂い」だけが、存在を許されていた。


彼はエルサの感覚そのものを、自分というフィルターを通さなければ何も感じられないように、精緻に調教していった。


「外の風がどんな音だったか、もう忘れただろう? 花の香りが、実は土の下に眠る死体の腐敗臭を隠すための、卑しい誤魔化しだったことも。この部屋の外には、お前を傷つけ、利用しようとする不快なノイズしか存在しない」


ゼノス様はエルサの視界を自らの大きな手で覆い、彼女の耳元で絶え間なく、甘い猛毒のような愛の言葉を注ぎ込み続ける。


エルサにとって、世界がまだ存在していることを確認する手段は、もはや「ゼノス様の語る言葉」と「彼が与える刺激」しか残されていなかった。


「……はい、ゼノス様。……私の目は、あなたという光を見るためにあり、私の耳は、あなたの声という真実を聞くためだけにあります。それ以外のものは……私にとって、価値のない、不快なノイズでしかありません」


エルサの返答は、もはや自発的な思考の結果ではなかった。


それはゼノス様の魔力の波長に同期し、彼の望む答えを魂が自動的に紡ぎ出す、純粋な「反射」と化していた。


彼女の魂は、外界という荒波から強引に引き剥がされ、ゼノスという名の巨大で温かな、しかし出口のない繭の中に、細胞レベルで取り込まれてしまったのだ。


ゼノス様は、もはや外界の地獄絵図をエルサに見せることさえやめた。彼女に与える情報は、すべて彼が都合よく改ざんした「世界の終焉」だけで十分だったからだ。


「地上はもう、見るに耐えない廃墟だ。お前の名前を忘れた愚民どもが、互いの肉を喰らい合い、泥を啜って生き永らえようとする獣の群れと化している。お前があんな汚泥にまみれた場所に戻る必要はないし、俺がそれを許さない」


それは、彼が自らの軍勢と魔力をもって意図的に引き起こした「結末」でもあった。エルサ以外のすべてが滅びゆく中で、この空中離宮だけが黄金の輝きを放ち、彼女を守り、育む唯一の宇宙となる。


「さあ、お前のあるじは誰だ? お前の神は、誰が許した存在だ?」


「……私の主は、ゼノス様。私の神は……私を救い、壊してくださった、あなただけです」


エルサが空虚な、しかし狂信的なまでに確信に満ちた声で答えると、ゼノス様は征服欲を満たされた獣のような顔で、彼女を深いしとねへと誘った。


窓を失い、月明かりさえもゼノス様の魔力によって模造された楽園で、二人は歴史からも、神話からも、そして人間という定義からも脱落し、永遠に終わることのない、閉鎖的な愛の深淵へと帰依していった。

第43話をお読みいただきありがとうございました!

ついにエルサの口から「あなたが私の神です」という言葉が引き出されました。

聖女が神を捨て、自分を監禁する男を信仰し始める……この救いようのない転落と純化を楽しんでいただけたでしょうか。

PV数 の伸びと共に、ゼノス様の独占欲も比例してエスカレートしております!

「エルサがもっと盲目になっていくのが見たい!」「ゼノス様の支配が心地よすぎる!」と思われましたら、ぜひ【★評価】や【ブックマーク】で応援をお願いします!

次回、滅びゆく世界が生み出した「最後の希望」を、ゼノス様がいかにして絶望に変え、二人の檻を完成させるのか。

どこまでも長く、物語を伸ばし続けていきます。

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