第28話:【共鳴】空からの慈雨と、癒やしの奇跡
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第28話は、黄金の離宮で迎える初めての夜。
「誰にも見せたくない」とエルサを隠したはずのゼノス様ですが、二人の愛が深まりすぎた結果、とんでもない「奇跡」が漏れ出してしまいます。
独占したい皇帝と、溢れ出してしまう聖女の光。
地上から数千フィート。常識を置き去りにした高みに浮かぶ黄金の離宮『黄金の揺り籠』。
その初夜、下界の喧騒は雲に遮られ、ここには風の音と、私を抱きしめるゼノス様の熱い鼓動しか存在しなかった。
「……ようやく、静かになったな。ここには、もう誰も来ない。不快な王国の使者も、お前を崇め奉ろうとする有象無象もな。……エルサ、俺の声と、お前の吐息だけがあればいい」
豪奢を極めた寝室。
天蓋から滴るシルクのカーテンが揺れる中、ゼノス様は私を深い羽毛の海へと沈め、その重厚な体躯で私を覆い尽くした。
窓の外を見れば、星々が驚くほど近くにあり、かつて私が虐げられていた下界の闇は、遠く、記憶の底へ追いやられたかのように霞んでいる。
「エルサ……」
私の名を呼ぶ彼の声は、熱に浮かされたように掠れていた。
彼は私の首筋に、まるで自分の領土を刻印するように深く、執拗な口付けを落としていく。
吸い付くようなその熱は、これまでのどの夜よりも濃く、昏い独占欲に満ちていた。
王国の冷たい地下室で、自身の存在価値さえ見失っていた私に、彼は火傷しそうなほどの熱を与え、塗り潰していく。
「お前の力も、その体も、髪の一本、指先の震え一つに至るまで、すべて俺だけのものだ。世界を救う光など、今は忘れて俺だけを見ていろ。……いいな?」
「ゼノス様……っ、あ……。はい、私は……あなたの、ものです……」
彼の強引で、けれど壊れ物を扱うかのような矛盾した愛撫に、私の心と体は甘く痺れていく。
背中に回した指先に力を込め、彼という名の「熱」をすべて受け入れるように、私は深く身を委ねた。
その時だった。
ゼノス様の深い愛情と、私の彼を慕う熱烈な心が、限界を超えて共鳴した瞬間——。
私の胸の奥底で、かつてないほどの輝きを秘めた「聖女の力」が、せき止めていたダムが決壊したかのように爆発した。
「……っ!? エルサ!?」
純白の光の奔流が私たちの体を包み込み、離宮の窓から、壁を透過して外の世界へと溢れ出していく。
漆黒だった夜空は一瞬にして昼間のような輝きに塗り替えられ、黄金の離宮自体が太陽になったかのように白銀の光を放ち始めた。
その光は、やがて粒子となって結びつき、優しく、温かな「雨」へと姿を変えた。
光の雫は空中離宮の真下にある帝都アステリアへ、そしてその先に広がる不毛の大地へと、音もなく降り注いでいった。
「……何だ、これは。俺の魔力ではない。これは、お前の……」
ゼノス様が動きを止め、驚愕に目を見開いてバルコニーへと視線を向けた。
二人で窓辺に立ち、下界を見下ろせば、そこには信じられない光景が広がっていた。
私たちが愛を確かめ合うその下で、光の雨に打たれた大地が息を吹き返し、枯れ果てていた土から青々とした緑が猛烈な勢いで芽吹いている。
さらに、街の明かりが次々と灯り、病に伏せっていた人々が窓から身を乗り出し、天から降る「奇跡の雨」に打たれて歓喜の声を上げ、立ち上がっていた。
それは、ただ一人の男を狂おしいほどに愛し、愛されることで開花した、世界を救う「愛の奇跡」そのものだった。
皮肉なことに、ゼノス様が私を隠そうとし、二人だけの世界に閉じ込めようとすればするほど、私の聖女としての力は彼への情愛に反応し、より遠くへ、より広範囲へと救済の手を広げてしまう。
「……はは、皮肉なものだな、エルサ。俺がお前を誰の目にも触れさせぬよう空へ隠したというのに、お前の光は……ますます世界中に知れ渡ってしまう」
ゼノス様は自嘲気味に、けれど愛おしさを抑えきれない様子で苦笑した。
その黄金の瞳には、自分の妻がこれほどの奇跡を起こしたことへの誇らしさと、それでもなお彼女を誰にも渡したくないという、底なしの執着の色が混じり合っていた。
彼は私の腰を再び、今度は折れんばかりの力で抱き寄せると、抗いようのない力で私を己の胸板へと縛り付けた。
「だが、エルサ。どんなに地上の連中がお前を求めて祈りを捧げようとも、この『檻』から出すつもりはない。……お前の光が世界を救うというのなら、俺はその世界ごとお前を支配し、お前のために平伏させてやろう」
「ゼノス様……」
空に浮かぶ離宮から降り注ぐ、終わりなき奇跡の雨。
地上の人々が涙を流して天を仰ぎ、姿の見えぬ聖女に感謝を捧げる中、私はゼノス様の熱い腕の中で、ただ彼一人の愛に溶け、飲み込まれていった。
ここが私の天国であり、世界で唯一の居場所。
世界を救う光は、今夜も彼の手の中だけで、静かに、けれど激しく燃え続けていた。
第28話をお読みいただきありがとうございました!
ゼノス様の執着がエルサの力を呼び覚まし、図らずも世界を救ってしまう……。
隠したいのに隠しきれない、そんな二人の特別な夜を描きました。
この「愛の雨」が、さらなる 3,000 PV 突破への追い風になると信じています!
「二人の共鳴が尊すぎる!」「ゼノス様の独占欲がたまらない!」と思った方は、ぜひ【★評価】や【ブックマーク】で応援をお願いします!
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