第11話:泥棒猫と、真の聖女の証明
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第11話は、ついに現れた「偽聖女アリア」との直接対決!
王国でエルサを虐めていた彼女が、帝国の圧倒的な格の違いの前にどう崩れ去るのか。
エルサの無自覚な「真の聖女」としての覚醒を、たっぷりとお楽しみください!
きらびやかな夜会の喧騒の中、それは突如として現れました。
「——待ちなさい! そんな地味な女に騙されてはいけませんわ、陛下!」
甲高い声が響き渡り、会場の視線が一箇所に集まります。そこにいたのは、ボロボロの馬車を飛ばしてきたのであろう、王国の新聖女・アリアでした。かつての美貌は見る影もなく、ドレスの裾は泥で汚れ、目は血走っています。
「アリア様……? なぜここに……」
私が驚いて声を漏らすと、アリアは私を指差して激昂しました。
「エルサ! 貴女が国を離れる時に、聖女の守護を盗んでいったのでしょう!? おかげで私の魔法が効かなくなったわ! 陛下、この女は泥棒猫です! 今すぐ捕らえて、王国へ突き返すべきですわ!」
会場にざわめきが広がります。「盗んだ?」「あの美しい女性が?」という疑念の囁き。ゼノス様の体が怒りでピクリと揺れるのが分かりました。ですが、彼は動くよりも先に、冷徹な声でアリアに問いかけました。
「ほう。では、その『盗まれた守護』とやらがあれば、お前はその澱んだ空気を浄化できるのだな?」
「ええ、もちろんですわ! 本来の聖女は私なのですから!」
ゼノス様はフッと冷たく笑うと、会場の隅にある、意図的に魔力を遮断していた「観賞用の枯れ木」を指差しました。
「ならば証明してみせろ。その木を今すぐ蘇らせてみろ。もしできなければ、貴様を帝国の法に基づき、不法侵入と侮辱罪で即座に処刑する」
「……っ!? や、やってやりますわ!」
アリアは必死の形相で枯れ木に手をかざしました。「光よ!」「浄化!」と叫びながら、彼女は持てるすべての魔力を注ぎ込みます。ですが、枯れ木からは不気味な黒い煙が立ち昇るだけで、蕾一つ付きません。それどころか、彼女の澱んだ魔力のせいで、木はボロボロと崩れ落ちてしまいました。
「そ、そんなはずは……! 私こそが、選ばれた聖女なのに……!」
絶望するアリア。その時、ゼノス様が私の肩を優しく抱き寄せました。
「エルサ、見せてやれ。……本物の『浄化』というものを」
「……はい」
私は一歩前へ出ると、崩れ落ちた木の残骸に、そっと手をかざしました。
魔法の名前なんて叫びません。ただ、心の中で(元気になってね)と、いつもの「お掃除」と同じ気持ちで魔力を流しただけです。
その瞬間。
会場全体が、目が眩むほどの純白の光に包まれました。
枯れ木だったはずの残骸から、瞬く間に緑の枝が伸び、一瞬にして純白の花が満開になりました。
それだけではありません。私の足元から光の波紋が広がり、夜会会場に飾られていたすべての花々が、生命の輝きを取り戻して一斉に咲き誇ったのです。
会場の空気が一変し、まるで森の中にいるような清らかな香りが満ち溢れます。
「な……あああぁぁ……」
アリアはその光景に圧倒され、腰を抜かして座り込みました。
これこそが、彼女が決して手に入れることのできなかった、エルサだけの「無自覚な神域」でした。
「警備兵。この不浄な女を連れて行け。……二度と、エルサの視界に入れるな」
ゼノス様の非情な宣告と共に、アリアは引きずられるようにして連行されていきました。
「エルサ、済まなかった。嫌なものを見せたな」
ゼノス様は私の髪に優しく触れ、独占欲の強い瞳で私を閉じ込めます。
「お前がどれほど尊いか、これでもう誰にも疑わせない。……今夜は、もう誰にも邪魔させんぞ」
耳元で囁かれたその声に、私の胸は甘く疼くのでした。
ざまぁ完了!……と言いたいところですが、まだアリアを差し向けた「あの男」が残っています。
エルサの光が強くなればなるほど、独占欲が深まっていくゼノス様にもご注目ください。
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