第1話:聖女の座を捨てた日
はじめまして。
数ある作品の中から目に留めていただきありがとうございます!
追放された聖女が、お隣の国でやりたい放題愛されるお話です。
ストレスフリーな展開を目指します。楽しんでいただければ幸いです。
「エルサ・ミルフォード! お前との婚約を破棄し、聖女の称号を剥奪する!」
王立神殿の謁見の間。
私の婚約者であった第一王子、カイルの声が傲慢に響き渡りました。
彼の隣には、桃色のふわふわした髪をした男爵令嬢、アリアが寄り添い、勝ち誇ったような笑みを浮かべています。
「……理由は、伺ってもよろしいでしょうか?」
私が静かに問い返すと、カイル王子は鼻で笑いました。
「理由だと? お前の魔法は地味すぎるのだ! 傷を癒すと言っても、ただの薬草を煎じるだけ。聖女ならもっとこう、アリアのように光を放ち、一瞬で奇跡を見せるべきだろう?」
「カイル様、そんなにエルサ様を責めないであげてください。……エルサ様は、才能がないなりに頑張っていたんですから」
アリアがわざとらしく私を庇うふりをします。
彼女が使うのは、一時的に痛みを消し去るだけの『発光魔法』。根本的な治療にはなりませんが、見た目だけは派手で、無知な貴族たちを騙すには十分でした。
「お前の代わりはアリアが務める。お前のような『地味女』は、今すぐこの国から出て行け。二度とその汚い顔を見せるな!」
私は内心で深く溜息をつきました。
この十年間、私がどれほどの魔力を使って、この国の痩せた土地を浄化し、王族の食事に毒が混ざらぬよう解毒を施してきたか。
彼らは「それが当たり前」だと思い込み、私の存在を「ただの雑用係」だと定義したようです。
「……分かりました。謹んでお引き受けいたします」
「ふん、物分かりがいいな」
私は首元に手をかけました。
そこには、王家から「聖女の証」として与えられていた魔導具のチョーカー。
実はこれ、聖女の証などではなく、私の規格外の魔力を抑え込み、城全体に強制分配するための『魔力吸い取り機』だったのです。
「これもお返ししますね」
パチン、と金具を外した瞬間。
ドォォォォォォォォン……!
「な、なんだ!? 地震か!?」
「ひっ、空気が……重い……っ!」
カイル王子とアリアがその場に膝をつきました。
抑えられていた私の魔力が解放され、大聖堂の巨大なステンドグラスがびりびりと震え、ひび割れていきます。
「エルサ……お前、何を……っ」
「いいえ、ただの『地味な薬師』に戻っただけですわ」
私は冷ややかな視線を彼らに向けました。
私が城を去れば、結界は消え、水源は淀み、明日にはこの国中の花が枯れ落ちるでしょう。
でも、それは「光の聖女」であるアリア様がなんとかしてくれるはずです。
「それでは、ご機嫌よう」
私は一度も振り返ることなく、混乱する神殿を後にしました。
【作者より】
ここまでお読みいただきありがとうございます!
「スカッとした」「続きが気になる」と思っていただけたら、ブックマークや評価をお願いします!
最後までお読みいただきありがとうございます!
エルサの逆転劇はここから始まります。
もし「続きが気になる!」「王子ざまぁ!」と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】をポチッとして評価やブックマークをいただけると、執筆の励みになります!




