御白様
「だったら、良いネタがあるよ」
「え?マジ?ついにツチノコ発見か?」
「違う」
私は大塚紫苑、オカルトや超常現象を扱う出版社『アー』で夫の剣奉明と運営している副経営者兼探偵の女だ。ネタ切れだったので可愛そうに思った私が提供した。まぁ、行くのは自分だけなんだけどね。
「何だよ、ツチノコじゃないのかよ、ネッシーでも良かったけど...で、どんな?」
「青森市の御白様」
「いやぁ、あそこの町はオカルト界隈でも結構危険な場所だからなぁ人も死んでるし」
「カルト教団(御白教)に乗っ取られたとか何とかでしょ?」
「何でそんな事紫苑が知ってんだよ?」
「あそこの地元出身者だから、取材駄目だよね?」
「駄目駄目、危険だから絶対に行かせません!」
ちなみに出版社名の『アー』は太平洋あたりに突如沈んだとされる『アトランティス大陸』から来ている。それもそうだよね取材許可出してくれるわけないか...。
「あの場所に言った奴は二度と帰ってこれないんだぞそれでも行くのか?」
「いやいや、行くわけないでしょ、それに元現地人なんだから教えられることは全て教えるよ」
「そっかぁ、じゃあ詳しく教えてくれ!」
「ところで、もう芸能人の不倫ネタはやらないの?」
「やろうと思えばできるけどな、他の出版社も同じことをやってるし売上が伸びなくなって従業員に給料払えなくなった」
「それで辞めて行っちゃたわけ?」
「ま、そういう事だな。だから今はオカルト雑誌にシフトチェンジ」
「オカルトもライバル多いでしょ?」
「まぁ、そうだな...けど何故か買ってくれるんだよなぁ」
「やっぱり、非日常を求めてるからかな?」
「たぶんそれもあるな、UMAとか心霊もある意味ファンタジーだからね」
「じゃ早速執筆しますか」
青森県から東京の大都市まで結構距離あるので新幹線を乗り継いで高校進学の時に逃げるように出て行った。いくら仕事と言っても取材にすら行きたくない。
「今、どうなっているんだろう?」
記事の作成中ふと思った。ある時を境に建物の看板や壁がカルト宗教『御白様』の影響が昔より強くなっていた。若者から老人まで性別に関係なくいつの間にか広がっていた。昔の今頃は私は巫女だった。
「少し休憩しようか...」
「『御白様』のために」気付いたら私以外町の人たちは狂ったように神に祈りをささげていた。何かに洗脳されたかのように。けど私だけ影響なかったな。死んだお父さんがくれたお守りのお陰かな?。確か魔を祓う力だ有るとか何とか。
「どうした?何か悪いことでもおもいだしたか?」
いや、そんなわけないじゃん。『御白様』か...岩木山に封印されていた神様らしい。ただしそれは頭のネジが外れたカルト信者からの味方で私や一般の人からすればただの悪魔だ。




