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現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


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第87話:王都脱出と、約束の地への集結

#### 鉄の鳥籠


アークが、最後の破片を『竜骨聖樹の器』に封印した、その直後だった。

地下聖域の天井から、微かな振動と共に、けたたましい警鐘の音が、鳴り響いてきた。

「……どうやら、僕らが盛大にパーティーを開いたことに、ようやく気づいたみたいだね」

アークの軽口に、しかし、カエルの表情は険しい。

「アーク様、王都の全ての城門は、教会の神殿騎士団によって、完全に封鎖されたはずです。我々は、完全に、袋の鼠……」


その、絶望的な言葉を、アークは、静かに遮った。

「ううん。ディアナさんが、僕らのための『秘密の抜け道』を、もう、開けてくれているはずだよ」

アークが、聖域の壁の一点に、そっと手を触れる。

すると、壁の月光苔が、まるで共鳴するかのように、銀月商会の三日月の紋章を、描き出した。

次の瞬間、壁そのものが、音もなく、内側へとスライドし、暗く、湿った、地下水路への入り口が、その姿を現した。


二人が、ディアナが張り巡らせていた、王都の地下を網羅する秘密のネットワークを駆け抜けている間、地上では、教会の神殿騎士団が、血眼になって『栗色の髪の少年』を探し回り、王都全体が、厳戒態勢の喧騒に包まれていた。その、地上の喧騒を、まるで遠い世界の出来事のように聞きながら、二人は、静かに、闇の中を進んだ。

そして、数時間後。王都のはずれにある、銀月商会の寂れた倉庫から、二人の、ごく平凡な旅人が、何事もなかったかのように、再び、朝日の中に、その姿を現した。

彼らが去った後、王都は、歴史上最大級の、犯人不明の「神殿襲撃事件」に、震撼することになる。


#### 約束の地へ


王都を脱出したアークたちは、一路、北へ。

全ての始まりの場所、そして、全ての終わりを迎える、約束の地を目指した。

道中、アークは、手に入れた三つの破片が、それぞれの器の中で、静かに、しかし、確かに、共鳴を始めているのを感じていた。失われた半身が、再び一つになろうとする、魂の律動。

その旅路は、もはや、迷いのない、確信に満ちたものだった。


そして、旅が始まって、一ヶ月後。

アークとカエル、ウル、そしてルナは、再び、あの、懐かしい、エルフの隠れ里へと、帰り着いた。


#### 英雄たちの集結


月光樹が、穏やかな光を放つ、静かな谷。

だが、そこにいたのは、彼らだけではなかった。

「――アーク!」

その、力強く、逞しくなった声。

振り返ったアークの目に、見慣れた、しかし、以前とは比較にならないほど、精悍な戦士の顔つきになった、兄アルフォンスの姿が、飛び込んできた。その傍らには、穏やかな、しかし、全てを見通すような笑みを浮かべた、賢者ローランもいる。

「兄さん! ローランさん! 無事だったんだね、村は!」

「ああ。お前のおかげでな。……よく、帰ってきた。本当に、よくやったな、アーク」

アルフォンスが、その大きな手で、弟の頭を、少しだけ、乱暴に、しかし、これ以上ないほどの愛情を込めて、かき混ぜた。


そして、谷の、もう一方の入り口から。

「――随分と、骨の折れる『お宝探し』だったようですわね、我らがパートナー」

軽やかな、しかし、絶対的な気品を纏った声。

そこに立っていたのは、旅装に身を包みながらも、その美貌と威厳を、一切損なうことのない、ディアナ・シルバー、その人だった。彼女の背後には、銀月商会の、精鋭中の精鋭である護衛たちが、控えている。


アーク・ライナスという太陽の周りに、全ての惑星が、今、集結した。辺境の未来を切り拓く、不屈の**『剣』**。その剣を導き、古の叡智を授ける**『賢者』**。主の道を切り拓く、忠実なる**『影』**。そして、世界の経済すら動かし、彼の野望を現実のものとする、美しき**『共犯者』**。世界の運命を賭けた最後の戦いのための、最高の布陣が、ここに整った。


#### 最後の舞台創造


「……みんな、集まってくれて、ありがとう」

アークは、集った、かけがえのない仲間たちを見回した。

「これから、最後の仕事を、始める。そのための、舞台を、創るよ」


アークは、眠れるエルフたちが眠る、月光樹の前へと、進み出た。

彼の懐から、水葬の王女の魂が眠る、『魂の庭樹』の種子が、取り出される。

彼は、その種子を、月光樹の根元に、そっと植えた。

そして、その大地に、深く、両手をかざす。


「**『聖域の調律サンクチュアリ・チューニング』**」


アークの魔力が、月光樹と、魂の庭樹を、そして、この谷全体を流れる清浄なマナを、一つの、完璧に調和した「究極の生命力フィールド」へと、編み上げていく。

月光樹が、これまで以上に、力強い光を放ち始める。その光に応えるかのように、眠れるエルフたちの魂が、祝福の光となって、その幹の表面に、無数に、明滅を始めた。

それは、まるで、夜空に、一つ、また一つと、新しい星が生まれていくかのようだった。彼らの魂が、これから始まる神聖な儀式を、心待ちにし、その成功を祈っている。アークには、その、温かい祈りの声が、確かに聞こえていた。


最後の儀式のための、祭壇は、整った。

アークは、仲間たちが見守る中、三つの『竜骨聖樹の器』を、祭壇の中心へと、静かに、並べていく。

一つは、古龍の墓場の為に。一つは、水葬の王女の為に。そして、一つは、偽りの楽園で苦しんだ、全ての生命の為に。

彼は、これまでの旅路で出会った、全ての魂に、静かに祈りを捧げた。

そして、愛する仲間たちを振り返り、静かな、しかし、揺るぎない決意を込めて、言った。


「さあ、始めよう。世界の、夜明けを創るための、最後の仕事を」


***


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