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現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


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第86話:創造主の怒りと、偽りの楽園の終焉

#### 最後の対峙


警報が鳴り響く、地下工房。

アークとカエルは、もはや、隠れることをやめた。

全ての元凶が眠る、その中心へ。ただ、ひたすらに。

道中、立ち塞がる歪なキメラたちを、アークは、もはや一瞥もくれることなく、『安息の抱擁』で、一体、また一体と、静かに、土へと還していく。その、あまりにも慈悲深く、あまりにも絶対的な力の前に、警備の神殿騎士たちは、恐怖に足が竦み、道を開けることしかできなかった。


やがて、二人は、工房の中心、動力炉室へとたどり着く。

そこには、禍々しい紫色の光を放つ、第三の破片が、巨大な拘束具に繋がれ、脈打っていた。

そして、その前に、一人の、白衣をまとった、痩身の男が、恍惚とした表情で、佇んでいた。

「……素晴らしい。素晴らしいぞ、君は」

男――この工房の主、主任審問官ドミニクは、アークの姿を認めると、まるで待ち望んだ好敵手に会えたかのように、歪んだ笑みを浮かべた。

「君のその力! それこそ、我らが目指す、神の御業そのものだ! さあ、我らと共に……いや、君という最高の**『素材』**を、我が探求の礎とすることで、我らは共に、神へと至るのだ!」


#### 創造主の怒り


アークは、その男に、もはや一片の憐憫も感じなかった。彼が向けるのは、ただ、創造主が、自らの庭に蔓延った、致命的な**『バグ』**を、削除する際の、冷徹な意志だけだった。

「……君たちの、歪んだ設計図は、もう、いらない」


アークは、懐から、原初の賢者から授かった、たった一粒の種子を、取り出した。

それは、この星の、全ての生命の始まりの記憶を宿した**『世界樹の原木の種子』**。

「――僕が、本当の『生命』の、設計図を、この世界に、上書きしてあげる」


#### 浄化の創生


アークは、その種子を、動力炉の真下の、冷たい石の床に、そっと置いた。

そして、自らの魂の、その全てを、その一点へと、注ぎ込む。


「**『浄化の創生ジェネシス・パージ』**!」


次の瞬間、世界が、産声を上げた。

種子から、原初の、純粋な生命力そのものである**「光の根」**が、爆発的に広がったのだ。

それは、もはや、植物の成長などという、生易しいものではない。

**世界の理そのものが、新生する**、圧倒的な光景だった。

光の根は、無機質な工房の床や壁、冒涜的な機械装置の全てを、まるで砂の城のように、優しく、しかし、抗いようもなく、生命の理へと分解・吸収していく。

瘴気に苦しんでいた水槽の花々は、その呪縛から解放され、最期の瞬間に、本来の美しい光を放って、感謝の想いをアークへと届けながら、マナへと還っていった。

瘴気のパイプラインは砕け散り、苦しみに満ちた水槽は、その水ごと、清浄なマナへと還元されていく。


「ば、馬鹿な……! 我が、神への探求が……! こんな、原始的な力に……!」

主任審問官ドミニクは、自らが築き上げた、完璧な偽りの楽園が、本物の「生命」の奔流の前に、いとも容易く飲み込まれていく光景を前に、ただ、絶叫した。

光の根は、彼をも優しく包み込み、その歪んだ魂を、浄化し、そして、無へと還していった。


#### 偽りの楽園の終焉


やがて、光が収まった時。

そこに、もはや、禍々しい工房の姿は、なかった。

そこは、壁一面に、穏やかな光を放つ月光苔が生え、その中心には、清らかな水が湧き出る、小さな泉がある、静かで、美しい、**地下の聖域サンクチュアリ**へと、完全に**「新生」**していた。

そして、泉のほとりには、一本の、ひときわ美しい白亜の野花が、健気に咲いていた。それは、アークが弔った、名もなきキメラの魂が、この新しい聖域で、ようやく本当の安らぎを見つけた、証のようだった。


泉の中心。

アークが植えた種子から芽吹いた、一本の、神々しいまでの、美しい若木が、静かに佇んでいた。

その、若木の根元に。

全ての拘束から解き-放たれ、その禍々しい光を、完全に鎮めた、第三の**『陰の世界樹の破片』**が、まるで、主の帰りを待っていたかのように、静かに、浮かんでいた。


アークは、魔力を完全に使い果たし、カエルの肩を借りながらも、その破片へと、ゆっくりと歩み寄る。

そして、三つ目となる『竜骨聖樹の器』に、その最後の破片を、静かに、封印した。


世界の半身を取り戻すための、三つの欠片。

その全てが、今、確かに、彼の手に。


アークは、自らが創り出した、あまりにも美しい聖域を見回した。

(……待ってて、ウル。待ってて、眠れるエルフの民)

(もうすぐ、本当の春を、届けるから)


彼の、世界の運命を賭けた冒険は、ついに、その最終局面を迎えようとしていた。


***


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