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現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


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第45話:英雄の凱旋と、経済戦争の狼煙

#### 長い帰り道


『忘れられた王の道』を踏破し、山脈の向こう側へと抜けたアーク一行。

彼らは、そこから数週間をかけ、山脈を大きく迂回し、見慣れた故郷の森へと、ようやく帰り着こうとしていた。

その旅路の中で、一行は、それぞれに内面的な成長を遂げていた。

アークは、『山の心臓』の脅威を胸に、来るべき大きな戦いに備え、領主としての覚悟を新たにし、アルフォンスは、護衛隊長としての自信と、仲間からの信頼を得て、その顔つきは、出発前とは比べ物にならないほど、精悍なものへと変わっていた。


一行が、見慣れた森を抜け、村を見下ろす丘へと差し掛かった、その時だった。

風が、そよ、と彼らの頬を撫でた。

その風に乗って運ばれてきたのは、懐かしい、故郷の「匂い」だった。

それは、『陽だまりの湯』から立ち上る、聖浄樹の清らかな木の香り。セーラの厨房から漂う、アークイモのシチューの、温かい匂い。そして、自分たちが耕した、畑の土の匂い。

彼らが、命がけで守り抜いた、平和そのものの香りだった。

その匂いに、一行の目から、熱いものが、こみ上げた。


#### 英雄の凱旋


村の遠見台が、一行の帰還を知らせる。その報は、瞬く間に村中を駆け巡り、老いも若きも、男も女も、全ての村人が、仕事を放り出して、村の入り口へと殺到した。

「おかえりなさい、アーク様! アルフォンス様!」

「よくぞ、ご無事で……!」

涙ながらに、彼らの無事を喜び、その功績を称える、仲間たちの声。

アークとアルフォンスも、駆け寄ってきた両親と、そして、フィンたちと、涙の再会を果たした。


その夜、村の広場では、これまでで、最大の祝宴が開かれた。

その祝宴の中心にいたのは、アークではなく、兄のアルフォンスだった。

「アル兄ちゃん、聞かせて! でっかい岩の虫を、やっつけた話!」

フィンを始めとした村の子供たちが、アルフォンスを取り囲み、目を輝かせてせがむ。

アルフォンスは、最初、照れくさそうにしながらも、やがて、誇らしげに、自らの初陣の武勇伝を語り始めた。その姿を、アークが、少し離れた場所から、満足げな、そして、心からの尊敬の笑みを浮かべて見守っている。

アルフォンスが、名実ともに、村の子供たちの「英雄」となった、その決定的な瞬間だった。


#### 戦勝報告会


祝宴の翌日。書斎には、アークと、彼の「側近」たちが、引き締まった表情で集まっていた。

ローランとアルフォンスが、今回の冒険の成果を、領主である父に、正式に報告する。危険な魔物、古代の謎、そして、その全てを乗り越え、山脈の向こう側へと至る、安全な交易路を、完全に確保したことを。

父は、二人の報告を、誇らしげに聞き終えると、アークに向き直り、問いかけた。「……道は、開かれた。それで、お前の、次の一手は、何だ?」


#### 経済戦争の宣戦布告


アークは、待っていましたとばかりに、静かに、しかし、力強く、自らの計画を語り始めた。

「僕らは、もう、守るだけじゃない。ここから、反撃を始めるんだ。戦場は、村じゃない。**『市場』**だよ」

彼は、二つの作戦を提示した。

一つは、山の向こうの中立都市へ、秘密の隊商キャラバンを送り、奇跡の作物やポーションを売りさばき、莫大な資金と、信頼できる交易相手を確保する**『キャラバン作戦』**。

そして、もう一つが、この作戦の、本当の狙いだった。

「その資金を使って、僕らは、ゲルラッハに搾取されている、他の商人たちを、味方に取り込むんだ。彼らに、ゲルラッハの通行料よりも、安く、そして、安全な、僕らの『秘密の道』を使わせてあげる。その見返りに、僕らの商品を、彼らの販売網に乗せてもらう。ゲルラッハの支配という、巨大なダムを、僕らは、商人という、小さな蟻の一穴から、内側から、崩壊させるんだ」


それは、武力ではなく、経済と情報で敵を打ち破る、あまりにも大胆不敵で、あまりにも鮮やかな、経済戦争の宣戦布告だった。

アークは、その最初のキャラバン隊のメンバーを、その場で指名した。

「総司令官兼交渉役は、僕が務める。護衛隊長は、兄さん。軍事顧問兼外交顧問として、ローランさん。そして、斥候兼護衛として、狩人のカエル。この少数精鋭で、最初の道を切り拓く」


父は、息子が描く、あまりにも壮大な戦略に、息を呑んでいた。

(……わしが、長年かけて築こうとしてきたのは、ただ、この村が、誰からも忘れられ、静かに存続することだけだった。だが、この息子は、違う。守るだけではない。攻めるのだ。剣ではなく、富で、知恵で、世界と戦うのだ。……良いだろう。その戦、この父が、そして、ライナス家の全てが、お前の、最初の兵となってやる!)

彼は、やがて、不敵な笑みを浮かべると、息子に、そして、未来の領主に、力強く告げた。

「……面白い。やれ、アーク。お前のやり方で、あの強欲な代官の鼻を、へし折ってやれ!」


***


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