表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

234/238

第234話:陽だまりの成長痛と、星の心臓の鼓動

####

陽だまりの日常、新たなる息吹


アークが夢見た『立体都市化計画』が、今、現実のものとなっていた。

陽だまりの街は、文字通り、三次元の広がりを持って息づき始めたのだ。

『大地の根(アンダー-・ルーツ)』では、ゴルン族の知恵と賢塔の魔術が融合した、地熱利用の『恒久魔力炉』が稼働を開始。ダグとグンナルの工房は地下へと移設され、その力強い槌音は、もはや地上の騒音ではなく、街の発展を支える、頼もしい大地の鼓動となっていた。

『天空の葉(スカイ-・リーブス)』では、ハーピー族の族長フィアが、誇らしげに、自らが育てた高山植物の収穫を行っていた。彼女たちが運んでくる希少な薬草や鉱石は、アークのポーション開発や、エコーたちの研究に、新たな可能性をもたらしている。


そして、その全てを繋ぐ『大地の幹』、陽だまりの街。

アルフォンス盟主の元、連合各国からの移住者や留学生がさらに増え、街は「幸福な成長痛」とも言うべき、嬉しい悲鳴を上げていた。

「アルフォンス様!西方の職人たちの気質と、南方の農夫たちの気質が合わず、工房で小競り合いが!」

「盟主殿!アカデミーの生徒が増えすぎて、フィン学長の授業が追いつきません!」

「兄さん!セーラさんが、新しい香辛料の組み合わせに失敗して、厨房で小さな爆発を起こした!」


「……くそっ!なんで俺が、全部尻拭いをしなきゃならねぇんだ!」

アルフォンスは、山と積まれた報告書を前に頭を抱える。だが、その顔は、不思議と充実感に満ち溢れていた。


その隣で、完全に体力を取り戻したアークが、兄の奮闘を、悪戯っぽい笑みを浮かべて見守っている。

「大変だね、盟主様。お手伝いしようか?」

「うるせぇ!お前は、お前の仕事に集中してろ!……で、森の奥の『彼ら』は、どうなんだ?」


####

創造主の探求、静かなる波紋


アークは、兄の問いに、穏やかながらも、どこか真剣な眼差しで頷いた。

「うん。エコーたちとの『共生の庭』での研究は、順調だよ」

アークは、この数ヶ月、仲間たちが街の運営に奔走する裏で、蒼の賢塔のアズライト、そしてエコーたち星屑の民と共に、あの『古代遺跡』の謎の解明に、その魂を注いでいた。

『共鳴の竪琴』による対話は進み、彼らの『星屑の言語』は、今やアカデミーで正式な学問として研究が始まろうとしている。

アークは、彼らの故郷を滅ぼした『星を喰らうもの(イーター)』の正体と、彼らが守ろうとした『世界樹の種』の真実、そして何より、この星の深部に眠る、あの『星の心臓』の謎に、一歩ずつ、確実に近づいていた。


「……彼らは、敵じゃなかった。僕らと同じ、この星の未来を案じる、孤独な隣人だったんだ。兄さんが、街で、異なる文化の架け橋になってくれているように、僕は、森で、異なる星との架け橋になる。それが、僕の仕事だから」

その、あまりにも頼もしい弟の言葉。アルフォンスは、照れくさそうに鼻を掻いと、「へっ、好きにしろよ」と、ぶっきらぼうに答えた。


####

緊急の報せ、星の心臓の鼓動


その、穏やかな日常を切り裂いたのは、アカデミーの研究室から響き渡った、けたたましい警鐘の音だった。

アークとアルフォンスが駆けつけると、そこには、アズライトとエコーが、血の気の引いた顔で、巨大な水晶の観測装置を見つめていた。

「アーク様!アルフォンス盟主!ついに、恐れていたことが……!」

アズライトが、震える指で、観測装置を指差す。

そこには、遥か森の奥深く、『古代遺跡』の真下を示す一点が、これまでにない速度で、激しく、赤く、明滅していた。


「……『星の心臓』の脈動が、再び、活性化を始めています!いえ、これは……!」

『警告』

エコーの、かつてないほど緊迫した思念が響く。『コレハ、脈動デハナイ。……**『共鳴』**ダ』

アズライトが、絶望的な声で続けた。

「我らが創り上げた、地底の『恒久魔力炉』、天空の『反重力リフト』、街を巡る『魔力貯蓄結晶』……!我らが街の発展のために生み出した、その全てのエネルギーの『揺らぎ』が、大地を伝い、あの、眠れる『星の心臓』を、刺激してしまっているのです!我らの『繁栄』そのものが、あれを、目覚めさせようとしている!」


その、あまりにも皮肉で、あまりにも絶望的な真実。

アークが、窓の外の、活気に満ちた街並みを見つめた。この、仲間たちが必死で創り上げた陽だまりそのものが、自らの足元に眠る、最大の脅威の、目覚まし時計になっていたというのか。


####

二人の決意


「……アーク」

アルフォンスが、弟の肩に、力強く手を置いた。

「どうやら、本当の『仕事』の時間が来たみたいだな」

アークは、兄の、その揺るぎない瞳を見つめ返した。

「うん。行こう、兄さん。僕らが、この星に『家族』として認めてもらうために。この星の、一番深い場所に眠る『心臓』と、本当の対話をしに」


アークの足元で、そのただならぬ気配を察知したウルが、主人のローブの裾を、不安げに、しかし、どこまでも信頼しきった様子で、ぎゅっと咥えた。

(大丈夫だよ、ウル。今度も、僕らが必ず、守るから)

アークは、愛しい相棒の頭を優しく撫でると、兄と共に、仲間たちが待つ、最後の戦場へと、その視線を向けた。


***


最後までお読みいただき、ありがとうございます。面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価、フォローをいただけますと、執筆の励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ