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現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


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第231話:帰還の凱歌と、三次元の設計図

####

陽だまりへの凱旋


『浮遊馬車・シルフィード二世号』が、陽だまりの街の上空にその姿を現した時、街全体から割れんばかりの歓声が上がった。

「帰ってきたぞ!」

「アーク様とアルフォンス盟主だ!」


馬車が広場に静かに着陸すると、タラップが降りるよりも早く、フィンやリーリエ、ダグやグンナルといった仲間たちが駆け寄ってきた。

「おかえりなさい、アーク様、アルフォンス盟主!」

「へっ、二人とも無事で何よりだ。で、土産話はどうなんだ?」


「ああ、ただいま!」

アルフォンスは、長旅の疲れも見せず(弟のアークはまだ少し疲労が残っているようだが)、集まった仲間たちに誇らしげに笑いかけた。

「土産なら、荷台に山ほど積んである。お前たちが腰を抜かすような、とびきりの逸品だ!」


荷台から降ろされたのは、ゴルン族から贈られた『地底虹石』や『氷河銀』といった伝説級の鉱石の数々。そして、解析不能だった古代機械の「安全なパーツ」だった。

その、見たこともない輝きを放つ鉱石を前に、ダグとグンナル、そして賢塔のアズライトは、まるで子供のように目を輝かせ、その場で鑑定作業を始めてしまった。

「おお……!この純度、この魔力伝導率!これさえあれば……!」


アークは、その熱狂を微笑ましく見つめながら、久しぶりに、我が家の温かい土を踏みしめていた。

足元では、ウルが、懐かしい陽だまりの匂いを胸いっぱいに吸い込むと、「きゅぅぅん!」と喜びの声を上げ、真っ直ぐにセーラの厨房へと駆けていった。(お腹が空いた!と叫んでいるかのようだった)


####

豊かさという名の、新たなる壁


だが、アークたちが持ち帰った熱狂も束の間。

その夜、『盟約の館』で開かれた帰還報告の席。

アルフォンスとアークが、空の民、地底の民との新たな盟約の報告を終えると、**留守を預かっていた父とローランが、**机の上に広げられた一枚の羊皮紙を叩き、厳しい顔で口を開いた。


「……喜ばしい報告だ。だが、喜んでばかりもいられないんだ、二人とも」

そこに記されていたのは、この数ヶ月で、陽だまりの街へと移住を希望し、殺到した人々の数だった。その数は、街の許容量キャパシティを、遥かに超えていた。

「聖浄樹の森が浄化され、安全になった。連合との交易で、仕事も溢れている。……だが、肝心の『家』と『土地』が、もう足りないんだ」

ローランが、厳しい顔で補足する。

「この谷は、天然の要害。それは強みでもあるが、同時に、これ以上の物理的な拡張が望めぬという、弱点でもあるのです」


『陽だまり連合』の成功が招いた、**『幸福な人口爆発』**。

それは、剣でも魔法でも解決できない、あまりにも現実的な、新たなる壁だった。


####

三次元の設計図


評議会が重い沈黙に包まれる中、アークだけが、その二色の瞳を、未来を見通すかのように輝かせていた。

彼の脳裏には、この数週間の冒険で得た、全てのピースが揃っていた。

空の民が教えてくれた『風の理』。

地底の民が教えてくれた『大地の知恵』。

星屑の民がもたらした『反重力』の技術。

そして、古代文明が遺した『暴走』という名の教訓。


「……兄さん。横がダメなら、別の道を探せばいい」

アークは、立ち上がると、真っ白な羊皮紙を広げ、その上に、誰も見たことのない、未来の街の設計図を、驚くべき速度で描き始めた。


「僕らが創るのは、**『立体都市スリーディメンショナル・シティ』**だ」


彼は、まず、大地の下を指し示した。

「第一に、**『大地のアンダー・ルーツ』**計画。ゴルン族の知恵と、古代機械のデータを応用し、この街の地下に、新たな居住区画と、工房を創設する。地脈の熱を利用した暖房、発光する苔を使った照明。地底は、もはや暗く冷たい場所じゃない。第二の、温かい陽だまりになるんだ」


次に、彼は、街の上空を指し示した。

「第二に、**『天空のスカイ・リーブス』**計画。ハーピー族の風の知識と、エコーの反重力技術を使い、この谷の、空中に、まずは、試験的な浮遊農園ファームと、風車を設置する。食料は、もはや大地だけで育てる時代じゃない。この谷の、限られた太陽の光を、誰よりも先に受け止める、新しい畑の形だ」


そして、彼は、街そのものを指し示した。

「最後に、**『大地のメイン・トランク』**。僕らが今いる、この街は、二つを繋ぐ、巨大な『幹』となる。空で生まれたエネルギーが、地下の工房を動かし、地下で生まれた富が、地上の暮らしを豊かにする。全てが、一つの巨大な『木』のように、循環するんだ」


####

未来への槌音


その、あまりにも壮大で、あまりにも心躍る『三次元の設計図』。

アルフォンスは、弟の、その無限の創造力に、呆れながらも、最高の笑顔で応えた。

「……はっ。空飛ぶ馬車の次は、空飛ぶ畑、か。とんでもねぇ弟を持ったもんだ。だが、最高に面白そうだ!」


ダグとグンナルは、「地底に、鋼鉄よりも硬い鉱石が眠ってるだと!?」と、すでに新たな工房の計画に目を輝かせている。

アズライトは、「浮遊農園!?風力と反重力による、エネルギー循環!?なんと美しい設計思想だ!」と、魔術師としての探求心に打ち震えていた。


アークは、その、仲間たちの熱狂の中心で、膝の上のウルを優しく撫でた。

(……さあ、始めようか。僕らの、本当の街づくりを)


陽だまりの街は、今、大地と、空と、そして地底の全てを、その温かい陽だまりへと変えるため、新たなる時代の、最初にして最大の、創造の槌音を響かせようとしていた。


***


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