表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

218/238

第218話:星見の丘の秘密と、失われた歌

#### 穏やかな日々、微かな違和感


星屑の民が街の「夜の守り人」となってから、陽だまりの街はこれまでにない平穏な日々を送っていた。夜間の小さなトラブルは彼らが未然に防ぎ、昼間は人間やエルフたちと共に働き、学び、少しずつこの星の文化に溶け込んでいく。

だが、その穏やかな日常の中で、アークだけが、彼らの様子に微かな違和感を抱き始めていた。


ある日の夕暮れ時。アークは、星屑の民たちが暮らす『星見の丘』を訪れた。そこは、街で最も高い場所に位置し、夜空を遮るものが何もない場所だ。

「……やっぱり」

アークが見たのは、数体の星屑の民が、まるで何かの儀式のように円陣を組み、夜空の一点を見つめている姿だった。彼らのコアは、いつもの温かい黄金色ではなく、どこか哀愁を帯びた、深い蒼色に明滅していた。

『……遠イ……』『……声ガ、届カナイ……』

アークの精神感応に、彼らの、言葉にならない寂寥感が流れ込んでくる。


#### 失われた歌


その夜、アークはエコーを書斎に招いた。

「エコー、君たちが毎晩見上げている、あの星のことなんだけど……」

『……我々ノ、故郷ノ星。モハヤ、存在シナイ場所』

エコーは静かに答えた。彼らにとって、あの星を見上げることは、失われた過去への追悼であり、同時に、自分たちが何者であるかを確認するための大切な時間だったのだ。

『……昔、我々ハ、歌ヲ歌ッタ。星々ニ届ク、魂ノ共鳴歌。ダガ、コノ星ノ大気デハ、ソノ歌声ハ、届カナイ』

彼らの本来のコミュニケーション手段である高周波の共鳴音は、この星の濃密な大気の中では遠くまで届かず、すぐに減衰してしまうのだという。彼らは、この星で新たな仲間を得た喜びを感じつつも、同時に、宇宙という広大な故郷から切り離された孤独感も抱えていたのだ。


#### 星への架け橋


「……届かないなら、届くようにすればいい」

アークの瞳に、創造主としての光が宿った。

翌日、アークはアズライトとリオンを呼び出し、新たな計画を打ち明けた。

「彼らの歌声を、この星の大気でも減衰しない『魔力の波』に変換して、空高く飛ばすための装置を作りたいんだ。名付けて、**『星詠みのスター・シンガー・タワー』**!」

アズライトが目を輝かせた。「なるほど!指向性を持たせた高密度マナ波動ならば、この星の大気層を突破し、外宇宙まで届く可能性は十分にあります!」

リオンも静かに頷いた。「風の精霊の力を借りれば、その波をさらに遠くへ運ぶこともできるでしょう」


建設場所は、『星見の丘』の中心に決まった。

ダグとグンナルが、星屑の民から教わった「響きによる加工技術」を応用し、星屑鋼と聖浄樹を継ぎ目なく融合させた、美しくも強靭な塔の骨組みを創り上げる。アズライトとミカエラが、塔の頂上に設置する巨大な水晶に、複雑な魔力変換回路と聖なる祈りを込めていく。

そして、星屑の民たち自身も、自らの故郷への想いを込めて、塔の装飾を手伝った。


#### 星空のコンサート


数週間後。『星詠みの塔』が完成した夜、街中の人々が星見の丘に集まった。

塔の頂上の水晶が、夜空に向かって淡い光の柱を放ち始める。

エコーを筆頭に、星屑の民たちが塔の周りに集まり、静かに歌い始めた。

**キィン……コォォ……ン……**

彼らの奏でる共鳴音は、塔の魔力によって増幅され、目に見える光の波となって、夜空へと昇っていく。

それは、哀しくも美しい、望郷の旋律だった。だが、そこには以前のような絶望はない。新しい故郷で、新しい仲間たちと共に生きる、今の自分たちの姿を、遠い星々の同胞たち(もし生き残りがいるのなら)へ伝えるための、希望の歌でもあった。


その歌声に合わせて、ミカエラとリオンが率いる聖歌隊も、静かに声を合わせた。

異星の歌と、この星の歌が、夜空で一つに溶け合い、見たこともない美しいオーロラとなって、星空を彩った。


アークは、その光景を見上げながら、隣に立つアルフォンスに微笑みかけた。

「……届くといいね、彼らの声」

「ああ。きっと届くさ。この街の想いも乗せてるんだからな」

夜空を見上げる星屑の民たちのコアは、再び、温かい黄金色に輝いていた。彼らはもう、孤独な迷子ではない。この星から、宇宙へ向けて歌うことができる、誇り高き『陽だまりの住人』なのだ。そして、いつかその歌声が、まだ見ぬ遠い星の誰かに届く日を、街のみんなが信じている。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価、フォローをいただけますと、執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ