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現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~  作者: はぶさん


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第200話:星からの客人(まろうど)と、陽だまりの教室

陽だまりの街は、歴史上初めてとなる『星からの客人』を迎える準備で、これまでにないほどの活気と、そしてほんの少しの緊張感に包まれていた。創造主アークが、ミカエラたち仲間と共に森の奥深くの遺跡へと旅立ってから数日が過ぎていた。


盟主アルフォンス・ライナスの朝は、日の出と共に始まる。書斎の机には山と積まれた羊皮紙が並び、彼は弟が不在の間、この陽だまりを守り抜く決意を新たにしていた。

昨夜、アークから『陽だまりの小鳥』を通じて届けられた報告――遺跡での育成チャンバー建設が順調に進んでいること、アーク自身の体調も安定していること――が、彼の心を軽くしていた。

「…ローラン殿、今日の予定は?」

「はっ。午前中は、星からの使者殿を交えた、アカデミーでの合同研究会。午後は、工房にて星屑鋼加工技術のデモンストレーションが行われる予定ですな」

「よし」アルフォンスは頷いた。「俺も両方顔を出す。アークがいない間、この交流を成功させることが、俺の今の最大の仕事だ」


正午。森の監視塔に立つエルフの斥候から、角笛による到着の合図が鳴り響く。街の門前に集まった人々が固唾を飲んで見守る中、森の緑の中から、一体の星屑の民がゆっくりと姿を現した。その体は白磁のように滑らかで、頭部には知性を宿す大きな水晶の『瞳』が輝いていた。『ウォッチャー』のような守護者ではなく、明らかに『対話』と『知識』を司る存在だった。


「ようこそ、陽だまりの街へ」

アルフォンスは盟主として、弟から教わった敬意の礼を以て使者を迎えた。使者は、美しい金属音のような『声』で応え、自らの胸のコアに指先を触れさせる、彼らの文化における『挨拶』を返した。言葉は通じなくとも、心は確かに繋がり始めた。


一行が向かったのは『ライナス・アカデミー』。そこでは、アズライトとフィンが、アークから託された辞書の試作品と『言語可視化装置』を準備して待っていた。使者――アズライトが敬意を込めて『エコー』と名付けた存在――は、アズライトが示した初歩的な光の紋様に対し、星々が巡るかのような、あまりにも複雑で美しい光の曼荼羅を水晶球に描き出し、返答してみせた。

「……なんと!これは、言語であると同時に、宇宙の法則そのものを表す数式だ!」

アズライトは、その高度な叡智の片鱗に打ち震えた。


だが、学びは一方的なものではなかった。フィンが『陽だまりの騎士』の物語(特に、アルフォンスが仲間を守る場面)を語り聞かせると、エコーは、その水晶の瞳をどこか切なげに揺らめかせた。彼の胸のコアが、陽だまりの黄金色の光を放つ。それは、彼が初めて『温もり』や『感情』という名の新しい理に触れ、失われた故郷や同胞の記憶に共鳴したかのようだった。

授業の終わり、一人のエルフの少女が、感謝を込めて一輪の『陽光草』を差し出すと、エコーはそれを受け取り、その胸のコアを、再び、温かく優しい黄金色に輝かせた。

その、あまりにも美しく心温まる光景に、アルフォンスは、この異星の隣人とも確かに心が通じ合えることを確信した。


午後、工房では、ダグとグンナルが、エコーによる『響き』の加工技術を目の当たりにし、言葉を失っていた。炎も槌も使わず、ただ澄み切った『響き』だけで、あの『星屑鋼』が自在に形を変え、陽だまりの紋章をかたどったオブジェを創り上げてみせたのだ。

「……鉄が、歌っているかのようだ」

二人の巨匠の瞳には、自らの常識を覆された絶望ではなく、未知なる創造の可能性への、純粋な闘志の炎が燃え上がっていた。


その夜、アルフォンスは『陽だまりの小鳥』を通じて、森の奥深くで奮闘する弟へ、その全てを報告した。

『――最初の授業は、大成功だ。彼らは、最高の『先生』であり、最高の『生徒』になるだろう。心配するな、アーク。俺たちの陽だまりは、星からの風をも、温かく包み込めるはずだ』


***


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