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霊峰からの帰還

統一暦2003年 第13月 第4日

地点 : 王国領 王国軍霊峰要塞

記録タイトル:王国調査・四日目 霊峰接近観察記録

執筆者: ルーカス・エルヴァレンテ 共和国魔術院第7分室調査員 共和国第七位魔術師



アーキナルの故障、調査員の魔力切れのため、この記録は人による記入となる。また、それに伴い途中の魔術の正確な計測は不可能であった。


霊峰から箒にいよる全速力で比較安全とされる標高630m程度の平原部に離脱。戦闘行動と箒の使用により、調査員の魔力が底をついた。これにより平原部から要塞までは徒歩による移動となった。幸い、外縁部の王国軍の活躍、女王の魔術により、戦闘行動は回避できた。

箒による移動中、天より巨大な雷が落ち、遠くに見えた魔物の消滅が確認された。強大な魔術であった。王都から800kmはあるだろうか?その遠距離から着弾させているのか?どういう原理で動き、どれほどの魔力を持っているのか?強大な魔術師は見たことあるが、それと比較してもあまりにも規格外だ。王国女王ら三皇を神の代行者とする文献はあるが、それが正しいと確信せざるを得ないほどに。


我々は、負傷者もなく、要塞への帰還に成功した。いくつかの植物、土のサンプルを持ち帰ることにも成功した。


運よく要塞の一室を拝借できたため、我々調査員はここで1日休息をとった。

要塞の内装について。空き部屋を3人で使用した。

食事の内容は最果ての要塞であるためか栄養を摂取するだけに特化した質素な食事であった。

ポウンカ草と雑穀と肉の抽出物をまぜ、体力回復用の安いポーションで練り上げ、保存性と栄養のため高温で一気に焼き上げたような味であった。おいしい作り立ての食事に保存魔術をかけ、輸送すればいいものを。一応100クイーンビルで融通していただけた。大変格安である。持ってきた共和国のふわふわのパンはとてもおいしかった。が、これで手持ちの非常食は尽きてしまった。

布団は硬かった。王国魔術師は布団を柔らかくする魔術といった実用的な研究をすべきである。これでは十分な回復は期待できないのではないか

明日以降、サンプルの解析、アーキナルの修理のため、王国南部へ移動する予定である。また王国南部の都市よりゲートミラーによる共和国への帰国が許可された。

「レポートにしては、主観が多いような気がするが。」

「教授、すみません。このようなレポートを書くのは初めてなもので。でも、せっかく人間が書くのだから、アーキナルでは書けないような文章のほうがおもしろいでしょう?」

「……調子のいいことをいうな。まあ、調査ご苦労だった。ゆっくり休みたまえ。」

「お気遣いいただきありがとうございます。教授も、お疲れ様でした。......魔力が枯渇してますよ。」


(小さな沈黙)


教授は口元に笑みを浮かべながらも、目の奥には未だ険しい光が残っていた。

霊峰の正体は、まだ解明の糸口すら掴めていない。

それでも今日一日の記録が、確かに未来への一歩となると信じて。


「……これからも、厳しい調査をすることがあるだろう。油断はするなよ。」

「はい、肝に銘じておきます。」


こうして今回の霊峰調査は幕を閉じた。

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