第5話『聖女と魔王の娘が、レジ前で鉢合わせた』
夜。穏やかなコンビニに――冷たい風が吹く。
「……あら、あんた」
「おぬしこそ……なぜ、ここに?」
レジ前。
**リュミエル(元聖女)とラティナ(魔王の娘)**が、がっつり目を合わせていた。
「仲良くおでんでも食べる?」とレンが言う隙もなく、空気が一気にピリつく。
――だって、かつてこの2人、戦場で剣と魔法を交えた因縁のライバルだった。
「アンタが魔王の娘か。昔よりちょっと……かわいくなったわね?」
「おぬしも、聖女をやめたとは思えぬ威圧感だ。焼きそばパンは残しておけ」
「そっちこそ、アイス全買いとかやめなさいよ。私が楽しみにしてたミントが……!」
「……仕方あるまい、我らは宿命の敵……」
店内BGM:のんびりボサノバ
「……でもまあ、ここでは戦わない主義なんで」
「うむ。パンの前では、皆平等……だろう?」
「名言みたいに使うのやめなさいよ」
この日から、リュミエルとラティナは
**“レジ前バチバチ女子トーク枠”**として定着した。
「おでんの卵はどっちが食べるか」「どっちがレンに好かれてるか」など、
争点はくだらないが、空気はなぜか青春っぽい。
「……こりゃいずれ修羅場だな」と、レンはそっと棚の裏に隠れるのであった。