第35話「ユノ、冷蔵庫を氷の城に変える」
昼下がりの夜明け堂。
レンは冷蔵庫の前で眉をひそめていた。
「……開かない」
ドアに手をかけても、冷蔵庫はまるで凍りついたように固く閉ざされていた。
いや、実際に凍りついていた。
「……これ、やったのユノでしょ?」
返事はない。
だが、ドアの隙間からうっすら漏れる冷気の中に、白銀の髪がちらりと見えた。
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数時間前。
ユノは「うるさいから静かにできる場所にこもる」と冷蔵庫へ入っていった。
冷気の精霊として、冷蔵空間は彼女の本領。
だが、どうやら本気を出しすぎたらしい。
庫内温度:マイナス48度。
野菜室:つらら発生中。
飲料棚:ペットボトルがカチコチ。
スラ:完全氷漬け。
「……スラが氷の彫刻みたいになってる……!」
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なんとか庫内に入り込んだレンが目にしたのは、まるで氷の宮殿。
冷蔵棚が柱に、肉とジュースがシャンデリアのように凍りついている。
「……どう? 静かでしょ」
奥で玉座のような冷凍庫に座り、無表情でお茶を飲んでいたのは――当然、ユノだった。
「どうって……これ、営業妨害レベルだよ……?」
「静かなのが一番なの」
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最終的に、ユノの“氷温度”を下げてもらうことで事態は収束。
レンは冷蔵庫内に、ユノ専用の座布団と紅茶ポットを設置し、
「最大温度はマイナス5度まで」という取り決めを作成。
「……ルール守ってくれるなら、ここで過ごしてもいいよ」
「ふーん、まあ悪くない」
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そして翌朝、レンが冷蔵庫を開けると、整然と並んだ商品と共に、
そこには“すやすやと寝るユノの姿”が。
「……そこ、ベッドじゃないからね」




