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第27話「魔法学園の臨時講師としてよばれたらしい」

深夜3時。

静まり返る夜明け堂に、ひたひたと、嫌な気配が近づいてきた。


「ねぇ、レン」


「うわっ!? ……リュミエルか。静かに来ないでくれよ、ホラーかと思った」


「臨時講師やることになったのよ。魔法学園で。拍手」


パチパチと自分で拍手する彼女。

その顔は不満と困惑と、ほんの少しの自信で混ざってる。


「――で、講義内容、考えてきたのよ」

リュミエルがドヤ顔で言った。


「“焼きそばパンの持つ浄化能力について”。どう、完璧でしょう?」


「…………え?」


聞き間違いかと耳を疑った。


「焼きそばパンよ。あの――炭水化物 on 炭水化物の奇跡。レン、いつも棚に補充してるじゃない?」


「え、あれって……普通のB級グルメだよね? 魔法とか関係――」


「あるのよ。私、体験したの。あれを食べたあと、闇の気配を帯びてた私が幸福に満ち満ちていったの。完全に浄化現象よ」


「え、それって単に“お腹が空いてただけ”じゃ……」


「黙りなさい、レジ番。元聖女が感じた“波動”を、庶民感覚で否定しないこと」


めちゃくちゃな理屈。でもリュミエルは真剣そのものだ。


「これこそ、魔法と信仰と食文化の融合よ。今どきの生徒が食いつくに決まってるわ」


「いや、むしろ食いつくの“焼きそばパン”のほうだけど……」


「そして講義の実演では、私が学生に焼きそばパンを与えて、みんなの笑顔を観察するわ」


「それ実験っていうか、ほぼ給食だよね!?」


「うふふ……神の恵みを、庶民にもわかりやすく伝える。それが本当の教育よ、レン」


まったく納得はいってないけど、なんか……ちょっと楽しそうだった。


「まぁ……失敗しても笑いは取れそうだし、いっか。それで、焼きそばパンにハマった生徒が買いに来てくれたら売り上げが上がるし」


「そういうところは抜け目ないのね、あんた」


こうして、“魔法学園”の講義テーマは――

**「焼きそばパンの持つ、聖なる浄化効果」**に決定した。

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