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第9話 死んだんだな

 ココが投げたのはただの土だったはずだ。

 しかし、今やそれはとんでもないスピードと威力を持つ、とんでもない数の砲弾となっていた。

 数百の光の玉が空気を切り裂いてダークドラゴンへ向かっていく。

 これが飽和攻撃ってやつか。


 ドラゴンの目に驚きの感情を見た気がした。

 やつは大きく口を開き、炎のブレスを吐こうとするが、光の玉のほうが早い。

 光球はドラゴンの防壁を障子みたいに簡単に破り、そしてドラゴンの巨体を貫いた。

 真っ黒だったドラゴンの身体。

 そこに、数百の穴が開いて、向こう側の空が見えた。

 即死だろうことは誰の目にも明らかだった。

ドラゴンの頭上にあるステータスが変化した。


●SSS⇒N/A

▲SSS⇒N/A

■SSS⇒N/A

✿SSS⇒N/A

★K⇒N/A


 それを見て、ああ、死んだんだな、と確信する。



 空を飛んでいたダークドラゴンは、重力に引っ張られるようにほとんど垂直に落下して、まだ燃え盛っている麦畑の中へと墜落した。

 ズゥン、と音がして、地面が揺れた。

 あとに残ったのは、屋敷が激しく燃えるバチバチという音。

 麦畑もあちこちでまだ燃えていて、あたりのそこかしこから煙が立ち上っている。


「やった! やった! やった! ほら、ほら、ほら、ほらね、私の言った通りですわ、ほんとうに救世主様です! 絶対、絶対、絶対、いつか救世主様が私を……私たちを救いに来てくださると、ずっと信じていたのですわ!」


 ココは恍惚とした表情で俺の顔を見る。

 その場でひざまずいて俺の手の甲にキスをした。

 ココの衣服は乱れていて、胸元も開いてしまっていた。

 俺は思わずそこを覗き込んでしまう。

 いや、別によこしまな気持ちはない。

 ……ごめん、少しはあったけど。

 でも、そこに見えたのは、なにかおどろおどろしい文字とマークが彫られた、入れ墨だった。

 ああそうか、これがきっと奴隷の証だ。


 シュリアはその場にへたりこんでいた。


「まさか……今まで誰も倒せなかったダークドラゴンを……あんなあっけなく……。本当に救世主様……?」


●C

▲A

■A

✿C

★B⇒S


 シュリアのステータスが変化する。


「そんな……まさか……馬鹿な……信じられん……。我が国最高の攻撃魔術師でも倒せなかったのだぞ……」


 ガルニもそう呟いて呆然と立ち尽くしている。


●A

▲A

■C

✿ENP

★D


 ガルニのステータスは変わらない。

 そのガルニが俺に近づいてきて、言った。


「客人、いったいあなたは……? 今のはあなたの魔法……だよな?」

「いや俺はなにも……この子では?」


 俺はココを目で指し示す。


「まさか! その奴隷はなんの訓練も受けていないんだ。検査したが素質も認められなかった。それに、奴隷として胸元に魔法で彫った入れ墨を入れている。魔法封じの刻印だ。魔法を使えるわけがない。絶対にだ。だから、今のは……あなたの魔法のはず……」




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