表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を好きなやつの魔力を吸い取って奇跡を起こせる件。奴隷少女よ、だからといってそんなに俺にくっつくな  作者: 羽黒楓


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/93

第87話 最終決戦③

「ふはははは! 貴様ら馬鹿どもが潰しあうのはいい眺めだったぞ! さあ、救世主よ! 先日の意趣返しをさせてもらうぞ!」


 身長2メートルに及ぼうかというひげ面の大男。

 並みの人間では持ち上げることも難しそうな大剣を手に持ち、俺たちを余裕の笑みでねめつけている。


 そのステータス。

ガルアド

身体能力 S

教養 S

戦闘能力 SSSSSS

魔力 A

好感度 K


 くそ、なんて戦闘能力だ。

 こいつがこれだけの戦闘能力を持つということは……。


 俺はガルアドに言った。


「何人の奴隷を殺してきた?」

「ふはははは! 奴隷? 10匹ほど殺してきてやったわ! いちいち数える価値もないやつらだ! それだけではないぞ!」


 遅れて、空からブレイブドラゴンがテラスに降り立った。

 そのドラゴンは、口にバカでかい袋のようなものをくわえている。


「メールエのやつには不覚をとったが……。おかげで俺も学んだぞ! 戦闘の最中でもマナを取り込めるようにな! 見ろ!」


 ガルアドが袋を剣で切り裂く。

 中からまろびでてきたのは――。


 子供だった。

 まだ、5歳くらいの男女の、子供たち。

 全員裸で、後ろ手に縛られている。

 その胸には奴隷の刻印。

 それが、……十人も。

 全員目隠しされていて、ぐったりしている。


「な……ガルアド、お前!」

「ふははは! ガキの方が軽いから、たくさん運べるというものよ! これだけいれば、我が力が尽きることもそうそうないだろう……」


 ガルアドは、子供たちのうち、一人の女の子の髪の毛をひっつかむと持ち上げる。

 じたばたと暴れる女の子、ガルアドはニヤリと笑った。


「な……やめろ!」


 俺には叫ぶことくらいしかできない、なにしろここにいる全員の魔力はENPだ。

 そんなことしなくても俺にはもうガルアドに対抗する力などない。

 だが、ガルアドはそんなことは知らないのだ。


「ふはははははは! 哀れで無力なガキよ! 世界平和と繁栄のための、礎になれい!」


 そして、ガルアドはその大剣で、女の子の首を切り取った。

 ブシュッ! と血が噴き出て、返り血がガルアドの顔にかかる。

 首を失った女の子の身体はくたっと床に崩れ落ちた。

 ガルアドの持つ小さな首から、ポタポタと血がしたたり落ちている。


「なんてことを! このクソ野郎がぁぁぁぁぁぁ!」

「世界平和のためならこんな命ひとつ、犠牲のうちにも入らぬわ! ふははは!」


 ガルアドは生首をぽいと投げ捨てる。

 女の子の首はゴロゴロと床を転がった。

 ペロリと返り血をなめるガルアド。


 ビゴン!

 音が鳴って、ガルアドのステータスが変化する。


ガルアド

身体能力 S

教養 S

戦闘能力 SSSSSS⇒SSSSSSS

魔力 A

好感度 K


 くそ、こいつ!

 子供を!

 女の子を! 

 あっさり殺しやがった!

 くそ!


 頭に血が上りすぎて、俺はくらっとするほどの怒りに全身を支配される。

 目の血管が切れでもしたのか、視界が真っ赤になった。


「くっ、はぁ、はぁ……」


 脳内に怒りが満ち、アドレナリンが充満して息をするのも苦しい。


「ふはははは! さあ、あの時の再戦と行こうではないか、救世主よ! 俺はお前を殺し、そのマナを取り込む! そうしたら――」


 ガルアドはリリアーナを指さす。


「女王よ。お前は我が妻になり、次期国王を産むのだ。俺が国父となり、この国を平和に導いて見せる!」


 リリアーナが目を見開いて絶叫する。


「子供の命を奪ってなにが平和だ! この痴れ者が!」

「ふははは! 気の強い女は好きだぞ! 屈服させがいがあるからな! 抗え、抗え! 怒りに燃える女を犯すのもおもしろい!」


 シュリアとアリアがリリアーナを守るように前にでる。

 シュリアはガルアドを睨みつけているが、怯えの表情を隠しきれず、真っ青になっている。

 アリアも、全身を恐怖でカタカタと震わせているが、その目はしっかりとガルアドを睨んでいた。


 メールエはまだ床に横たわっている。

 ニッキーは意識を取り戻したが、まだ床に膝をついたままだ。

 ココは……。

 ずっと俺の腕に抱き着くようにしている。


「ふはははは! さあ、救世主よ、世界平和のために、我が贄となれい!」


 ガルアドが大剣を両手で握り、凄みのある笑みを浮かべて、俺に斬りかかってきた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ